Ｂ級以下の映画を観ることの意義とは何か

こうなると、知人によく言われるあの言葉が突き刺さってきます。

「なんでわざわざそんなの観てるの？　もっと面白そうなの選べばいいじゃん」

実に身も蓋も無い。
しかしその通りではあります。

「インベスターＺ」という投資漫画にも、損切りになぞらえてクソ映画愛好家を揶揄するようなくだりがありました。
　　　　　
　

「大抵の人は面白くない映画を観ていても席を立つことはない……なぜか」
「それはチケットを買ってしまったから」

「せっかくお金を払ったのだからせめて最後まで観よう　途中で出たら損をすると思っているからだ」

「退屈でなんの楽しみも得られない　全て無駄な時間を過ごしているにもかかわらず……」

（↑「インベスターＺ」より）




まあ、これは投資家的には正解でも、映画好きにとっては実に的外れな考え方ではあります。
金がもったいないから最後まで観ようなどと考える映画好きはまずおらんでしょう。金銭関係なく、ただ「この映画を最後まで観る価値はゼロだ」とまで思わない限りは退席しないというだけの話です。０点つけるほどひどい映画もそうそうないですからね。本当に何の楽しみも無く無駄な時間とまで思えるほど酷い映画なら誰だって見るのをやめますよ。


…と思ってたんですが、昨日観た「クワイエット・フォレスト」は「本当に何の楽しみも無く、無駄な時間」と中盤で確信できたのにも関わらず、最後まで損切りできませんでした。芸術映画としては良いのか知らんけどエンタメ映画のつもりで観ると０点。私の場合は「最後まで観ないと感想書けないから」という理由でしたが…



一生懸命好きでもない仕事に多大な時間と労力を費やし、金を稼ぐ。
それは何のためか？
と言えば、趣味を楽しんで人生を充実させるため、と考えています。


そんな楽しい趣味の時間があれほどの苦痛に満ちた睡魔との闘いであっていいのかどうか。いや、よくない。


しかし「面白そうなのを選ぶ」ということはつまり、他人の評価をアテにして選ぶということです。これが無性に気に喰わない。そりゃ、私も「フィルマークス」や「みんなのシネマレビュー」を読みふけることはありますよ。
しかしそこで絶賛されている映画ばかり観たとしても、そんなのはただの確認作業です。「こういうのが高得点なのか」と客観的に見つめてしまうだけ。いらんフィルターがかかってしまうのです。そんなんじゃ感想を書く意味も無い。レストランへ行く前に食べログで評価を確認するのも、有名な観光名所を巡るのも同じことと言えますね。


「えっあの名作をご覧になってない？」
「えっあの名店で食べたことがない？」


実に腹立たしい言葉です。
みんなが観た物ばかり観て何が楽しいのか？
ハクが付いてることがそんなに重要か？
何の先入観も無く鑑賞して初めて「純粋な感想」を抱くことが出来る。それが知りたくて映画を観るんじゃないのか？　どこの馬の骨とも知れない映画を観ずして「趣味：映画鑑賞」と言えるのか。




ただ、それじゃ結局どうするんだ？

と問われると、どうしようも無いと言わざるを得ない。

映画鑑賞なんてただ座って画面観てるだけじゃん？そんな受け身一方で趣味とは言えないじゃん？と言う人もいますが、
Ｂ級（以下）映画鑑賞とはやはり「闘い」でもあるということです。
時には大ハズレという名の正中線五連突きを喰らうこともあります。常人なら悪くすると即死。私が今回何とか生き延びられたのは、今までの辛く永い積み重ねがあったからこそなのです。それに打ち克つ鋼の精神力が身に着いていた。それこそがＢ級（以下）映画ばかり観るという一見無駄な行為に崇高な意義を与えたと言っても過言ではないのです。



















…というのはもちろんウソで、素直に大ヒット有名作ばかり追ってる人の方が普通に充実した人生を送ってると思います。私はただゴミ箱を漁って生ゴミしかねえとクダを巻いてるホームレスのようなへそ曲がりに過ぎません。

まあ、時々はメジャーな作品も見てますし時には人のオススメを素直に聞くこともありますけどね。