製作:2018年アメリカ
発売:ニューセレクト
ホンジュラスのジャングルにエイリアンの宇宙船が墜落。偵察に向かったアメリカ軍部隊は何者かの襲撃を受け、一人を残し全滅。仲間を見捨てられないエイドリアン中佐は部下を率いて現地へ急行する。しかし、そこにはプラズマキャノン(?)や投擲ブレード、ビー玉爆弾を駆使する脅威のハイテク装備で身を固めた最強ハンターが待ち受けていた。
邦題に「プレデター」と入ってるパチモンは地雷率が極高である。
…という傾向がある事はB級映画ファンにとっては初歩的な知識です。
そして、邦題に「vsネイビーシールズ」と入っているB級映画には大体ネイビーシールズが出てこない。
…という現象もまた、B級映画ファンにとって(略)
それではそんなリスキーなワードである「プレデター」と「vsネイビーシールズ」がかけ合わされてしまった結果、どのようなB級映画が出来上がってしまったのか。
ジャングルの中でアメリカ軍と宇宙人が戦うということで、うわべは本家「プレデター」とほとんど一緒。本家に対するリスペクトはそこそこ感じられます。屈強であるはずのアメリカ軍人にしてはやけに貧弱な体型の奴が多い気がしますし、一切統制が取れてなくてほとんど誰も上官の指示に従ってくれませんが。
そんな地球最精鋭特殊部隊が、ジャングルで謎の見えない存在に襲われ次々とやられていくのが前半の見所です。
しかし光学迷彩で揺らめくプレデターの影などの描写も無く、本当に何もないところからプラズマ弾が飛んでくるだけ。しかも役者が弾に反応する素振りがほとんど無いから危機的状況なのに何だかノンビリした不自然さが漂ってます。プラズマ弾を後付けで合成するのは当然なんでしょうけど、もうちょっとひるむとか焦るとかした方が良いのでは…
プラズマ弾が命中して手首から先がちぎれてしまったァァ!!
…という一見過激なスプラッターシーンも一応あるにはありますが、もう明らかに手が長すぎるっていう。切断面は結構リアルに作り込んであるのにもったいない。それはそれで珍しい見所とも言えますが。CGを多用しているくせになんでそこは特殊メイクにこだわったのか。
たった一人の生き残りを助けるために危険地帯へ突入し、次々と倒されていく地球最精鋭特殊部隊員たち。プライベートライアンか何かを思い出さなくもない理不尽な展開です。
しかし、戦って倒されるというよりは怪しいビー玉などに触れて勝手に自滅してしまう奴が実に多い。端的に言ってアホしかいない。それは以下のような会話にも表れています。
生存者「敵は人間じゃない、死にたくなければ逃げろ…」(と言い残して死亡)部下「どういう意味です?」中佐「わからん」いや…意味は分かるでしょうよ。
何が分からんのか分からなくてこっちが混乱してきますよ。
↑そして散々姿を引っ張ってようやく姿を現したプレデターは…
第一印象としてはロボコップ。
動きが鈍重すぎて全然
「地球外最強ハンター」っぽくない。
と思ったら本当にハンターじゃなくて宇宙船が故障して困ってるだけの通りすがりの穏やかな宇宙人でした。攻撃してきたのはただ「こっち来んな」と言いたかっただけ。悪いのは警告を無視した地球最精鋭特殊部隊の方だった。
なんという無益な争いだったのか。
「最強のハンターは、どっちだ。」って煽り文句のむなしさときたらね。どっちもハンターじゃないってオチ。
「新プレデター 最強ハンター襲来」もそうだったけどプレデターのパチモンはいらんひねりが多い気がします。私はただ普通に人類とプレデター的なエイリアンがひたすら全身全霊で殺し合う映画を見たいだけなのに。それが基本的な消費者ニーズだと思うんですよ。
結局終盤で見せてくれたコンピューターガントレットだけが後半の見所でしたね。あれは本家プレデターの物に結構似ていて悪くない出来栄えだった。自爆ではなく停戦に使ったというのがまた微妙な余韻を残してくれましたが。
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