特に面白そうに見えなかったので今まで放置してましたが
かなり出来の良いサメ映画でした。
原題は「BAIT」(餌)と異常なほどシンプルなのでどんな邦題をつけるのか、配給会社のセンスの見せどころだと思うんですが「パニック・マーケット」はちょっと地味すぎましたね。
なぜ松竹が本作を販売したのか分かりませんが、いつものようにアルバトロスあたりが買い付けていたら「地獄のサメ釣りマーケット」とかになっていたかもしれません。
大洪水に呑み込まれた一軒のスーパーマーケット。そこに閉じ込められた13人の生存者たち。水中からは巨大な人喰いザメが、天井からは人喰いガニの大群、水上には高圧電線が垂れ下り・・・。しかも、13人の中には強盗犯、殺人鬼が潜んでいた。次々と彼らを襲う危機また危機!いま、地獄のスーパーマーケットからの脱出を求め、彼らの生命を賭けた挑戦が始まろうとしていた!
(松竹DVD倶楽部より)
松竹とはいえ
「人喰いガニの大群」とか地味にフェイクワードを忍ばせていますが、クモみたいな気持ち悪いカニがチラりと出てくるのは確かだしおおむね紹介文通りの内容です。
イオンモール的な大きなスーパーマーケットでのサメパニック映画だと思っていたのですが、実際は地方のローカル食料品店的な小ぢんまりとした規模のスーパーでした。
洪水が起こって閉じ込められ、とりあえず商品棚の上に登ってからは全く動きが無く、スケールは相当小さい。というかソリッドなシチュエーションのスリラーです。
サメがうろつく中、ブレーカーを落としに行くため金属カゴでグリズリースーツならぬシャークスーツを作成。
これにはかなり意表を突かれましたが、見た目は実にマヌケです。一瞬また天然コメディ映画になるのかと思いました。
泳ぐのではなく歩くために足元に中身入りの缶飲料を付けているのがポイントか。
しかしサメが本気で噛んだらこんな金網ぐらい簡単に破られそうですが。
「包み紙のままバーガーは食わねえ」とのこと。
人間をバーガーとすると包み紙は衣服に相当するのでは?
なるほどホホジロサメもこれは食えないわとスルー。
サメのCGもかなりよく出来ていますね。
しかしあまり大きなサメではないように見えます。
実際全長3m半であると明言されていますし、サメ映画に出てくるやつとしてはかなり小さめの設定です。それなりに人間喰ってましたが一人か二人喰らえばもう腹いっぱいになるんじゃないかな?
なんとかブレーカーを落とすことには成功しますが、この腐れスーツのせいで泳げないわ水面にも顔を出せないわで無事溺死。これはいくらなんでもかわいそう。というかなんか他にやりようがあっただろ? ホースの長さが足りないことぐらい想定しておきなさいよ。つーかあんな何メートルもあるホースをシュノーケル代わりにしてもうまく呼吸出来ないような気がしますが…。
スーパーマーケットの店内だけでは画面の変化が乏しく、間が持たないと思ったのか、地下駐車場でも同じように半分水没した中での別グループによるサメパニックが並行して描かれます。
が、これは誰がどう見ても単なる水増し要素。
そもそも1階が半分水没しているのになんで地下が完全に水没していないのか?
3.5mもあるサメが入って来る隙間があるはずなのに。
サメがいてはスーパーから出られないので、悩んだあげくサメ釣り。
シャークスーツに続いてなかなか珍しい対策行動を見せてくれます。
しかし生きた人肉の味を覚えてしまったサメは今更牛肉などに喰らいついてはくれません。
肉は熟成させた方が旨いんですけどね。サメ的には温かい生き血が旨く感じるのかな?
なので、ここは生きてる人間をエサにして釣りをするしかない!
という今までにありそうでなかった流れになります。
タイトルも「BAIT」(餌)ですからこの生餌によるサメ釣りが本作最大の見せ場のようなもんですね。この生餌の人選とそこに至る流れ、カタルシスの与え方にはなかなか感心しました。
私が序盤の伏線を忘れていただけなので普通の人は容易に予想できるんでしょうけども。
ところで本作の主役であるゼイヴィア・サミュエルという方はなんでサメ映画に出てるのか分からんぐらいのすごいイケメンなんですけども、彼がサメを倒すシーンはやたらアクロバティックでケレン味にあふれており、超絶にスタイリッシュでした。
それまではイケメンながらわりと地味な存在感だったので驚愕かつ感動。どうしてこんなやつがスーパーの品出し係をやっていたのか。
ネタバレになるので具体的には述べませんが、本作ではおそらくサメ映画史上最高にカッコいいサメとのバトルシーンが観られます。
それはもうシャークスーツやサメ釣りのことなどどっかに吹っ飛んでいくぐらいのインパクト。
これは珍しくイケメン好きなミーハー女性にもオススメできる優秀なサメパニック映画と言えるかもしれません。
スケールの小ささや細かいツッコミどころが多いなど難点もありますが、
トータル的に見ればサメ映画としてはかなり上位にランクされる出来です。
初心者からマニアまで幅広い層を楽しませることのできる秀作と言えるでしょう。
1. 中国で観たw
結構B級の中では面白い方だと私も思います。
Re:中国で観たw
それと英語が得意ではないということは、つまり得意じゃないけど使いこなせるということですよね。
もしかしてリアルでエリートな国際的ビジネスマンの方なんでしょうか? そういう方も「ヘルガール」や「パニックマーケット」のような映画を好んで観ているのかと思うと何か頼もしさのようなものを勝手に感じてしまいますね。