製作:2018年アメリカ
発売:アメイジングD.C.
元刑事のコールは、デッドゾーン(深宇宙?)で消息を絶った調査船アトロパ号の追跡をしていた。難なくアトロパ号を発見し乗り込んだコールだったが、その時正体不明の宇宙船と激突してしまう。だが、その宇宙船もまた同じアトロパ号であった。
過去と未来が激突!という宣伝文句を見て、
↑もしかしてバリントン・J・ベイリーの傑作SF小説「時間衝突」のような豪快なアイデアの映画なのではないか?とウキウキして借りてきました。
が、「未来から過去へと逆行する時間軸との衝突」といったトンデモ系SFではなく普通に小ぢんまりとしたループものでしたね。まあサブタイトルでループものであると言ってるし衝突するというのも嘘ではないんですが。「グラビティ」はあまり関係なさそう。ちなみに公式のあらすじは一番の見どころをすごく具体的にネタバレしてしまっているので、鑑賞前にあらすじを読むのは絶対にやめた方が良いです。
本作の舞台は時空の歪みが存在する深宇宙、そこにたまたま迷い込んでしまった調査船アトロパ号での出来事を描いた映画です。そこではアトロパ号がなぜか時間を逆行してしまい、過去からやって来るアトロパ号との衝突を避けられず、それを何度も繰り返してしまっている…という話。
普通タイムループものといえば、主人公は何度も過去に戻されるが体ごと戻るわけではなく意識だけが継続するもので、いわば一種の無間地獄からの脱却を目指すという話が一般的です。これがもし肉体ごとタイムループしてしまうと、ループすればするほど自分が増え続けてしまい、未来の自分に宿題を手伝わせようとした青いタヌキみたいなことになってシリアスな映画では収拾がつかなくなってしまいます。
しかし本作の場合は乗組員も含めて宇宙船丸ごとタイムループに巻き込まれており、繰り返せば繰り返すほど乗組員と宇宙船が増殖しまくるという悪夢のような光景をかなりのインパクトで描き出してきます。
ループものでよくあるように「これ前にもあったな」と登場人物がループを意識することが一切無く、あくまでも物質的な根拠だけで延々と続くループ地獄に巻き込まれていると示すところがユニークな点でした。ループしていると言ってもトライ&エラーで解決を図るのではなく、彼らが生き延びるチャンスはただの1回限りというわけですね。
さり気なくマイケル・アイアンサイドが船長役で出ていますが、特にこれといって印象に残るようなことは何もしていません。尺がたったの70分しかないので人間ドラマは主役の男女間の愛情に絞られています。その辺はありがちです。まあ短いのは観やすくて良いことなんですが、ラストだけはなんだか無理心中みたいで微妙に納得が行きませんでしたね。結果だけを見れば、間違った行動とも言えませんが…
どうして時間が逆行しているのか?
逆行しているのは宇宙船だけでその中の人間の意識や状態は逆行していないのはどうしてなのか?
あの惑星の周囲がそういう領域ならばアトロパ号以外の物質も無限に増え続けて恐ろしいことになっていくのでは?
サンダースやジェンセンの行動が短絡的すぎるのでは?
とかそういう部分を色々掘り下げて90分映画にしても良かったんじゃないかなとは思います。
まあB級SF映画が嫌いでなければオススメです。
1. 【映画観賞】グラビティ
この映画は、タイムループを題材にしていますが、他の類似の作品と大きく異なる事があります。それは、物語の設定上、時間を遡っている状況にはありますが、登場人物たちは誰もループしていない、という事実です。そして、そのループも物語上では一回だけの事象になります(この物語の彼らにとっては…)。
「如何にしても次の衝突を防ぐか」に焦点を絞って物語が展開するのも、個人的には好感が持てました。
Re:【映画観賞】グラビティ
これ、やけに短いと思ったら本国では映画ではなく1話10分で全7話のミニドラマだったらしいですね。
それを先に知っていれば、切れ目にヒキを作ったりしてるのを意識しながら楽しめたんじゃないかとも思うんですが。まあ普通はこういう形態のドラマが日本に入って来ることもなさそうだし、わざわざつなげて映画として出すくらいだから本国でも評判良かったんでしょうね。