ある好事家の記録 主に変な映画の感想

変わった映画を見つけたらそれを語りたいブログ。  主にモンスターパニック映画、特にサメ映画の感想が多め

クワイエット・フォレスト 感想



製作:2016年メキシコ・フランス
発売:トランスフォーマー

謎の怪物によって荒廃した世界、深い森の中で父・兄・妹と暮らしていた少年アルヘル。ある時、父と狩りに出た兄が帰って来なかった。兄は怪物にさらわれたと話す父。だが諦めきれないアルヘルはガスマスクをつけ、外の世界へと踏み出す。








「ボーン・アイデンティティ」の続編が「ボーン・スプレマシー」「ボーン・アルティメイタム」だったみたいな感じで、まるで「クワイエット・プレイス」の続編のように見えてしまうジャケットで登場したバッタモン。
モンスターパニックホラーなら何でも来いの私にとってはそれなりに楽しみな一本でした。





しかし!

これが!

ゲボ吐きそうなぐらいにつまらない。
いや、心の中ではもう吐いてましたね。

教育テレビの盆栽番組より面白くないんですよ。
というか恐ろしく眠たいです。睡眠薬を盛られたのかと疑うほどに眠くなった。いやもう目から摂取する睡眠薬と言っても過言ではない。

そしてとてつもなく陰気臭いんです。
内容も暗ければ画面自体も暗い。そもそも怪物とか一切出てこないし。セリフも非常に少ない。台本とか2ページぐらいしかないんじゃないか。何してんのかも分からんし何がしたいのかも分からん。分かろうと努力したいが、絶え間なく襲い来る眠気との激闘でそれどころでもない。

確実に言えるのは、観客を楽しませる気が一切無いということ。エンタメじゃありません。

それってつまりアート映画なんじゃないの?
と思われるでしょうが、多分その通りです。こりゃどう見ても芸術映画ですわ。
メキシコアカデミー賞5部門ノミネートとか書いてあるし、あのアレハンドロ・ホドロフスキーの息子が重要な役で出ているくらいなので、私には理解不能でも芸術映画としては良い作品なのかもしれません。

問題はそんなものを、
全編にわたる緊迫感と恐怖のサバイバルは、今年のホラー映画で最大の話題作『クワイエット・プレイス』をも超える。最高に怖くて面白い、真の傑作エンターテイメントがメキシコからやってくる!
(トランスフォーマーHPより)




↑こんな風にノリだけで宣伝してしまう配給会社の方です。
ジャケにもご丁寧に「”それ”に気付かれたら即死」などと即物的なモンスターホラーですよというアピールをしておきながらこれ(しかも微妙に「IT」にも便乗してやがる)。


外でマキ割りしても銃をぶっ放しても何も襲ってこない。
なんか情緒不安定なホドロフスキーじじいが暴力をふるい、病弱な妹が虫の死体をビンにコレクションしたり、気持ち悪い操り人形やオオカミが意味ありげに出て来たりなんかして、



↑少年はテーブルの下に潜って体育座りをしていたのであった。
てな感じの陰気臭さMAXな生活が淡々と映し出されるばかり。
まあこれも何か深い意味があるんでしょうね。おフランス大好きなインテリゲンチャなら何か読み取れるのかもしれませんね。


大抵のジャケット詐欺を笑って楽しめる私でも、さすがにこれは無いと思いました。
ヒレカツ弁当を買ったはずなのにタマネギのカツしか入ってなかったぐらいの凶悪犯罪と言わざるを得ない。ジャケットに釣られて借りた人は100%キレるか眠るかしたことでしょう。訴えたら確実に勝てる案件ですよこれは。

トランスフォーマー社に比べればプライムウェーブ社やアメイジングDC社などカワイイもの…かもしれません。大体なんで「トランスフォーマー」なんていうまぎらわしい社名にしたのか意味が分からんし。この単語、商標登録とかされてなかったんだろうか。

コメント

1. 無題

私もどんな作品でもなにかいい所を見つけたり、自分なりの考えでその映画の流れを解釈して楽しむ人間なのですが、この映画はそれが全く出来ませんでした。最近のホラー映画でよくある、実はこういう話だったというようなドンデン返しを期待してたのですが、それも無し。なんであの家族があの森でひっそりと暮らしていたのかさえ説明がない。テーマが分からない。なんか力が抜けました。

Re:無題

コメントありがとうございます。

この映画は売り方がわからないからしかたなくパチモンに仕立てたというより、
「何でもいいからクワイエットプレイスに便乗できそうな映画を探してこい」
という指示のもと発掘されてきた映画なんじゃないか、という気がしてます。

映像的には全くダメな映画って雰囲気でもないんで、芸術映画愛好家なら何らかの解釈をしてくれそうなんですけど、そんな人はそもそもこんなパチモンを手に取らないっていうね。意図的にせよあまりに顧客層を外しすぎた映画でしたね。

2. 無題

まさしくなうで見てますよ
GEOのレビューからここまでみんな酷評w眠いし不安しかありませんw

Re:無題

酷評をチェックしたうえで夜中の3時半に鑑賞とはかなりのチャレンジャーですね!
眠らずに完走出来たら尊敬しますよ。

3. クソつまんな

全く意味わからんかったw
しかもふつーに乳出すやんwそしてなんかあるかなーっち思ったけどなーんもないですやんw

Re:クソつまんな

この映画観ちゃった人かなり多そうですな。
配給会社のマーケティング力が凄いのかパチモン力が高いのか。
乳云々ということは眠らず真面目に観通したようですね、ご苦労様でした。

4. 無題

とても意味の分からない作品です
ひどすぎです

Re:無題

どうもこんばんは。
これでこの映画に対するコメントも4件目ですね。
パチモンに騙された人々の憩いの場にでもなってくれれば幸いです。

5. 無題

前知識無しで、パッケージにつられてこの映画を見ました。被害に遭われた方が私以外にもいるようで、安心しました。

Re:無題


どうもこんにちは。
思いのほか釣られた人が大量にいたようですので、どうかご安心ください。
正しくは「クワイエット・フィールド」なので次はお間違え無きようお祈り申し上げます。

6. 糞ではないと思う

配給会社の邦題詐欺については完全同意です。
映画の内容は、フランス映画に有りがちな抽象的で結論の出ないやつでしたね。
とはいえ、結論を考えるのがめんどくさいから投げっぱなしジャーマンみたいな糞映画でもないと思います。

全編通してみると、「家の外は本当に危険(隣人を含め?)で、子供に分かりやすいよう父親は脅かして外出しないようにしていた」説と、「精神異常者の父親が子供達を監禁していて、それに気付いた(反抗した)兄まで殺しちゃった」説の二つの筋書き、どちらも否定できないように作られた映画です。
筋書きや結論が無いので投げっぱなしではなく、予め二つの可能性を暗示しておき、観客に選ばせることを目的とした映画だと思いました。

はっきり言ってエンターテイメントホラー映画としてみると拍子抜けなのですが、純粋にホラー映画として捉えるなら中々怖い映画ではあったと思います。
子供は親から多くを学び、他に頼る大人がいなければそれが全てになってしまいます。
外界から完全に隔離された世界で、片親の父に対する不信感というものは絶望的なもののはずです。

少年の夢の中のシーンはとても抽象的で、老人や兄がブラックボックスを開けると、中から光が溢れ出す演出、自分に瓜二つの人形から「目を覚ませ」と言われるシーンなんかをみていると、少年は薄々父親が嘘をついていて自分達を閉じ込めている事に気付いていた様にも思えます。
明示こそされませんが、中盤現れる少女は兄の死を必死に伝えようとしていた様にも見えるし、実のところは父親がサイコパスだったのかなと私は思いました。

それでも唯一の心の拠り所だった妹を(たぶん)失い、他に信じられる人も居ない(年上の少女も死んでしまった)少年は狼の居る森で一人で生きられるはずもなく、結局は父親の操り人形として生きるしかない。
という救いのない映画なのかなーと。

個人的には筋書きが全く感じられなかった「マザー」とかよりはずっと良い映画だったと思いました。
でもやっぱりあの映画でも思ったけど、配給会社は原題や映画の内容をもっと尊重したマーケティングをして欲しいですね…。
私はこの映画に罪はないと思うのです。

Re:糞ではないと思う

コメントありがとうございます。
いや、これはもうコメントというより解説ですね。ただのクソ映画じゃないとは思っていたので結局この映画は何だったんだろう、ということがずっと引っかかっていたので大変ありがたいです。時々ネットで考察を探したりしてたんですけど、全然見つかりませんしね。この映画が「本来見るべき人」の目に触れることは滅多にないんだろうなとつくづく思います。

私も「観客に解釈を委ねる」系の映画が全くダメというわけではないのですが、いくらなんでも何かしらの映像的な面白味だとか、もしくは多少なりとも刺激的な展開が無ければ
>全編通してみると
ということが出来なくなってしまうんですよね。
映画はまず娯楽であるべきだと思っているのでこういう純粋芸術はつらい。ホラーとして観れば、とは言っても心理ホラーの類ですから主人公の状況や心理に理解が及ばなければ怖がることも許されないという印象です。

「マザー」というのはダーレン・アノロフスキーの映画ですよね。あれは尺が長いので私はスルーしてしまいましたが、あれも宣伝方法に問題ありなんですか。まあ「マザー」のことは分かりませんが、もしこの「クワイエット・フォレスト」で内容をしっかり尊重して芸術映画ファンに向けてアピールしたらどれだけの需要が見込めるものなんでしょうかね。少なくとも全国のレンタル店に並ぶことはないような気がします。もしトランスフォーマー社が買い付けなかったらそもそも日本に入って来なかった可能性が高いわけで、実に痛し痒しですね。

しかし一応「メキシコアカデミー賞」とか「ホドロフスキー」とか難解な芸術映画であることを察せるワードはあるわけで、私のようなB級ホラー映画ファンは詐欺ジャケットからその辺を見抜いて適切な鑑賞の心構えをする、というスキルが必要になりそうですね。実にわけのわからん世界です。

7. 返信ありがとうございます

あーすみません、私が言った「MOTHER」は、パスカル・ロジェ監督の方です。
知名度も評価も高い映画ではないので、作品の存在すら知らない方も多いかもしれませんが…。
そちらの方は邦題詐欺ではないのですが、邦題や日本版ジャケットが核心部分のネタバレになっているのです。

はっきりいってそちらも映画の内容がとても抽象的(というか無いに等しい)で、私にはゴシックホラーの空気感と映像美、妊婦の神秘性くらいしか感じられませんでした。
そしてその「妊婦」というキーワードが、劇中では中盤まで伏せられているのですが、この邦題という…。

「芸術映画ファンに向けてアピールしたらどれだけの需要が見込めるものか」はおっしゃる通りでしょうね。
正直なところ、「クワイエットフォレスト」は「芸術映画の空気感を持たせた低予算ホラー」というのが実態なのでしょう。

玄人好みな要素があるにしても、作品全体がその域に達していれば世界展開も違ったはずです。
それこそ「ぼくのエリ 200歳の少女」みたいにハリウッドリメイクされていたでしょう。
ちなみにその映画の日本版は、本編のある核心部分に「修正」がかかっていて、映画のメッセージ性が湾曲されていたりもするんですが…。

「クワイエットフォレスト」と真に並べるべきは「THAT」でしたかね。
あちらも言うまでもなく「it」に便乗した邦題とジャケットです。
しかし本編で怪物には固有の名前があり、「THAT」とはほとんど呼ばれません。
そして(悪い意味で)印象的な、ジャケットの少女が風船を持つシーンなど本編には存在すらしないのです。
内容自体はありがちなB級ホラーといった具合ですが、「it」と比較さえしなければ、観れないほど酷いものではなかった様にも思います。

これらの映画そのものに便乗商法の罪はないのですが、どうしても期待を裏切られると映画自体に悪いイメージがついてしまいますよね…。
阿漕な商法は一時的に利益が上がるのかもしれませんが、(期待される)内容が伴わなければ結局は顧客離れを招き、配給会社どころかレンタルDVD業界全体の衰退を招く様に思えてなりません。

Re:返信ありがとうございます

どうもこんにちは。「マザー」は違う方のでしたか。フランス映画繋がりで挙げてたんですね。「ぼくのエリ」も挙げるところを見ると欧州映画がお好きな方でしょうか。だからこそ色眼鏡抜きで「クワイエット・フォレスト」を鑑賞できたんでしょうね。
そういう人にとっては欧州映画が配給会社に変に歪められて入って来ることに苛立ちを感じることでしょう。


「THAT」は私も鑑賞済みです。ジャケットがほぼ「IT」そのまんまでしたね。こういった阿漕な便乗商法は顧客離れと業界の衰退を招くという心配は最もですが、これが長い間変わることなく続いてきたことを考えると、実はそれほどでもないのかもしれません。私も便乗商法と分かってるのに文句を言いながらもついつい借りてしまいますからね。「またやってるよ(笑)」って感じで。なので無くなってしまうとそれはそれで悲しかったりします。


しかし「THAT」は「IT」と無関係でクオリティも高くないとはいえ、方向性は同じでした。パチモンは本家の下位互換であればそこまで腹は立たない(多分)。
「クワイエット・フォレスト」がいわゆるクソ映画ではないのにこうまで際立った不興を買ってしまったのはその点が大きいかと思います。これがもし「イット・カムズ・アット・ナイト」の便乗作品としてリリースされていればまだまともな評価が得られていたはずです。しかしこちらは「~プレイス」ほどネームバリューが高くない上にすでに「イット・カムズ」などという便乗作が出ていたために見送られたんでしょうね。映画がヒットするかは時の運もあるでしょうが、こういった泡沫作品はなおのことややこしい宣伝戦略の上で世に出ているかと思うと、やっぱりパチモンを借りるのはやめられない。
まあ、何も考えずに単純に便乗している可能性も否定できませんが。

8. ホラー⁉️

GEOでレンタル、いま観終わり思った事は何も無い。

ひたすら頭の中の森で?が回り続けております。

タイトル通りなのかと納得。

ただ、思ったなはGEOよ、コレはホラーコーナーに置くなよ!
レンタルとして、置く前に観ないのかよっ!
ツタヤに鞍替えしますよ、これで2週間の間に3本続けてガッカリ映画が続きましたよ。

Re:ホラー⁉️

コメントありがとうございます。
また新たな被害者が一人…
レンタル店がこういうマイナーな作品もいちいち全部観てチェックしてるとは思えないんですよね。下手に観ちゃうと店員が良心の呵責に苛まれるかもしれないし、だったら知らん顔して並べてしまえばいいって感じなのかなと。
あと、残念ながらTSUTAYAもGEO同様この映画をモンスターホラー扱いしてますから鞍替えしてもあんまり意味はないですよ。


プロフィール

HN:
岩石入道
性別:
男性
自己紹介:
B級~Z級映画が主食。ホラー、モンスターパニック系が特に好き。目についたサメ映画全てチェックしたい
krgm200@gmail.com

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