製作:2018年イタリア
発売:アメイジングD.C.
遺跡見学ツアーに参加していた大学教授のエマ。しかし現地へ向かう車が故障。そこへ突如現れた仮面とローブの怪しい男達に殺害されてしまう。
そして目が覚めると、時刻はその日の午前4時へと巻き戻っていた。彼女は何をしても彼らに殺され、同じ時刻へ戻ってきてしまう死のループにはまりこんでしまっていた。
中年女性が死のループから脱出しようとあがくタイムサスペンスでありながら、ゴア描写に妙に気合が入っててホラー色強めな味付け。
死ぬたびに時間が戻り、死を回避するために色々やる。という設定はもはや目新しくも何ともありません。が、過剰なグロ+おばさんループということで、精神病院を舞台にハラワタをぶちまけながらループしまくるおばさんの苦難を描いていた「メイズ・オブ・タイム」とはよく似ていますね。
結論から言えば全然面白くはなくて、中盤で一旦止めて30分ぐらい寝てしまったぐらいには意識を保つのが困難な映画でした。
映像的にもホームビデオに毛が生えたくらいの雰囲気。そこんところも「メイズ・オブ・タイム」と似たようなクオリティです。こうなるとあとはどんな珍しい毛が生えているのか?を楽しみに鑑賞するしかありません。
しかし、ジャケットでも大々的に謳っているように、34もの映画祭で世界各地を熱狂させたとかなんとか…毎度のことながらモンドセレクションとかカーオブザイヤー並みに信用できない宣伝文句。34はさすがに多すぎですね。
どう好意的に見ても熱狂するほどの何かがあるようには思えんのだが…
↑ジャケットだけではなく本編再生時にもしっかりと誇らしげに出るわ出るわ「34冠」の証。
ただ、よく見るとインディペンデント系の映画賞のようですね。確かに自主製作映画として観ればよく出来てる方かもしれません。主に内臓とか。
で、タイムループものだしSFなんだろうなと思いきや、意外にもSF要素は限りなくゼロ。本作は純然たるオカルトホラーでした。それもイタリアらしく魔女物で、死のループはいけにえの儀式がどうのこうのと呪い系。
↑遺跡見学ツアーに行こうとすると殺されるので、部屋に閉じこもってみたり車で別の場所へ出かけてみたりするがどうしてもマスクの男に襲われてしまう大学教授のエマ。
刺されたり切られたりハラワタをえぐり出されて喰わされたりと自主製作映画にしては大盤振る舞いなゴア描写で殺されまくります。そこら辺が映画祭で熱狂の元になったのでしょうか?
目ん玉えぐり出しなどもあり意外と見せ場には事欠かないかもしれません。あと、サービスというか何というか、この主役のおばさんがやたらと脱ぎまくります。頑張ってるのは分かるが、そこはありがた迷惑な気がしないでもない。
こういう死のループの謎を解くスリラーはいかに法則性を見出しどんな脱出法を思いつくのかが見どころとなる…と思うんですが、本作の死のループは誰でも思いつきそうなことを一通り試して絶望した後、なんとyoutubeを見るだけで謎が大体全部解けます。それもけっこう詳細な解説付きで。さすがyoutube、オカルト知識の宝庫ですね。まさに現代のアカシックレコード。謎解きの妙味もくそもないね。
そして最大の問題は、「続く…」で終わっているということ。ラスト付近で思わせぶりな濃い新キャラを3人も投入し「本当の戦いはこれからよ」てな雰囲気全開でぶった切ってるけど…本当に次回作が作られるんでしょうかこれ。
果てしなく怪しいと言わざるを得ないし別にそれほど観たくもならないっていう。
そんな感じで特におすすめするほどでもないインディペンデントイタリアンホラーですが、「
メイズ・オブ・タイム」を楽しめたような猛者ならこちらもいけるかもしれません。