製作:2018年アメリカ
発売:ブロードウェイ
西暦2037年、宇宙を旅する人類がまた新たな惑星を発見した。そこに居住可能かどうか、または利用可能な資源があるか調べるためにに降り立った6名の調査隊。大気も重力も人類にとって丁度良い塩梅のその惑星は、しかしステルス宇宙エリマキトカゲに支配されていた。
邦題に「ジュラシック」とついてるB級映画は特に危険度が高い。
…という傾向があるのは周知の事実かと思いますが、本作はそんなジュラシックパチモンの中でもかなり濃厚な刺激臭を放つゲテモノでした。低予算・80年代風・超テキトー…というB級映画三種の神器から繰り出された超絶ぶん投げエンディングにはもう唖然を通り越して陶然としてきたくらいです。ここまでひっどい締め方の映画は100本に1本あるかないか…いや、全然締まってないんですけどね。
いずれにせよ、やべぇものを観たな…という気分にはなれます。
本作の導入は未知の惑星を調査するということで、雰囲気的にはSFです。
正確に言うなら、80年代特撮番組風のSF映画です。昔のウルトラマンを観ている気分になりました。
え…これ本当に2018年の映画なの?…と疑ってしまいたくなるのはよくあることですが、それにしても宇宙船からBGMから服装から何から何までやけに古臭い。まあ、もしかしたら低予算を逆手にとってわざとそういう雰囲気を出しているのかもしれません。
↑一見地球とよく似た惑星で快適そうに見えたが、なんと地中から巨大グラボイズが登場。それはいいのですが、この巨大グラボイズの出番はこれだけ。まあコイツがメインだと邦題が「トレマーズ・エクスペディション」じゃないとおかしくなるから仕方ない。
ここは素直にジャケット絵のような巨大恐竜が襲ってくることに期待したいところです。大気があるというご都合主義のせいで調査隊が宇宙服を着てないことはこの際目をつぶります。
と思ったら、恐竜がなかなか出てこない!襲ってこない! それもそのはず、彼らはプレデターのように周囲に溶け込んで姿を隠して行動するステルス宇宙恐竜だったのです。そういう設定ならあんまり画面に出さなくて済みますからね。なかなか上手い節約法です。しかしサイズ的には結構小さめ。ヴェロキラプトル程度ですかね。やっぱりジャケット絵は何一つ中身と関係なかった。
↑特に人間を襲ってくる気も無く、隊長からも「戦ってはいけない、逃げろ!」と指示されているのになぜかスポーツハンティング的なノリでしつこく仕留めようとするアホ調査隊員。行動原理が全く理解できないアホアホ隊員ばっかりで観ているとこっちまで知能が下がりそうです。もう手遅れかもしれませんが。
銃も子供のおもちゃにしか見えなくて微笑ましすぎます。
それでもコイツはまだマシな方で、一番ひどいのは未知の惑星を調査しに来ているというのにその辺の水たまりで指先の傷を洗っちゃう奴です。隊長に止められてもジャブジャブ。しかもナイフで遊んでて切っちゃったというしょうもなさすぎる傷。何しに来てるんだ。何が彼らをそこまでアホにさせるのか。
案の定彼はおかしな奇病にかかって大量に吐血しますが、特に隔離もされず。アンドロイドに診察された結果どこにも異常なし。むしろ異常しかないのに。その後発狂して自殺してしまっても、その奇病についての考察とか警戒とか何も無し。本当に何だったんすか。ついでに言うとステルス恐竜についても全く考察とか調査とかする気が無い。なんでなの。
そんなこんなでアホ共は訳のわからない死に様を晒して行き、火葬か土葬かでモメるなど2037年の未知の惑星での話とは思えない事象を積み重ねて行き、ついには隊長とアンドロイドの2名だけになってしまう。皆を死なせてしまった…と嘆く隊長。
これはなんと悲壮感・絶望感あふれる物語なのか!と感心していると、急に明るいBGMが流れだし、2人で前向きに資源の調査に勤しむ展開。ステルス恐竜はそんなにどうでもいい存在なのか?
ラストは本当に酷い。
開いた口が塞がらないとはまさにこのこと。
人によっては激怒してもおかしくないレベルの放り投げ方ですよ。
「飽きたからもうやめようぜ」
「締め方分からんしこの辺で切っとけ」
って感じでしたね。
年末の忙しい合間を縫って、しかも新作料金払ってまで自分は一体何を観ているんだ…というような虚無的思考に耽りたい方、もしくはクソ映画マニアの方にはオススメです。
関連記事:「
ジュラシック・サバイブ」
1. 無題
Re:無題