製作:1997年イギリス
発売:マイピック
昔住んでいた雪山の山荘で一人暮らしを始めたエイミー。だが、その近辺ではあらゆる生物が消えるという異常事態が発生していた。彼女はそれを調査にやってきた生物学者マーシャルと一緒に原因を探ることになる。それは、異常に速く繁殖し、進化し続けるトカゲモンスターの群れであった。
2001年頃にテレ東で放映されていたのを何となく鑑賞し、あまりのチャチさに仰天した覚えのあるイギリス製のトカゲ・パニックホラー映画です。私の趣味がB級モンスターパニックへと本格的に傾倒していく切っ掛けとなった思い出深い作品でもあります。
これは将来絶対もう一度見たくなるはずだ!と思い、DVDはずいぶん前に確保しておいたのです。が、今では結構入手困難のようですね。アマゾンはおろかぽすれんにも在庫がないし、デジタル配信もされていない。これは世界から忘れ去られる前に再見し、記録に残しておかねばなりますまい。
…と意気込むほど大層なものでもありませんが、今見るとチャチいどころかむしろかなりよく出来ているように見えるから実に不思議です。これをヘボいと思える感性がもうどこかへ行ってしまった。
昔見たときは、それはもうゴム人形丸出し、糸で引っ張って操作しているような動きのトカゲに大笑いしたものなんですけどね。現代にはびこる手抜きCGに比べたらアナログ人形の方がよほど血の通った暖かみが感じられていいもんですね。
↑なんの理由もなく発生し、ニュージーランドかどっかの雪深い田舎町で暴れまくる突然変異の毒トカゲ。職人が一つ一つ手作りしているような味わい深い造形です。車のダッシュボードに収まるくらいのサイズしかありませんが、進化の速さがウリとなっており、銃を撃てばすぐ硬くなって通用しなくなるし水槽に入れればすぐにエラ呼吸を覚えるし、毒を噴射して目潰ししてくるなどかなりの芸達者です。
しかし寒さには適応し切れなかったのか、猛吹雪の屋外に追いやられると人体の中に侵入してくるというグロ技を披露。人形トカゲのわりに思いのほかスプラッターしており、DVDにも「絶叫お勧めポイント」だの「絶叫写真館」だのと前時代的な特典が付いててマニアの心を和ませてくれます。
この毒トカゲについては「なんか知らんけどいきなり発生した」以上の説明が何もなく、なんてテキトーな映画なんだと感心しますがその一方で人物描写に関しては無駄に丁寧です。と言ってもチョイ役も含めて5人しか出てこないし、まともに掘り下げられるのは主役の2人だけではありますが。雑貨屋の親切なおばさんやエイミーの飼い猫が無残に殺されてしまうのはかなり後味が悪い。結構残酷なわりに会話はだいたい英国的な黒いユーモアを交えたコミカルな雰囲気、それでいて全体的な流れはシリアスそのもの。
そんな人間ドラマがこのトカゲパニックと有機的に結合していたとも言い難く、どっちつかずな不協和音が好事家にとって得も言われぬ珍妙な風味を醸し出しているのです。
とはいえ、アサイラム社やポロニア作品など先鋭化されまくった低予算映画に慣れ親しんだ今となっては本作はだいぶまともな映画に見えることも事実です。個性的であることに変わりはありませんが、この程度のインパクトではそれほどの迷作とも珍作とも言えますまい。
インフレ(デフレ?)に置いて行かれた前世紀の遺物。そんな悲しい表現が似合う古臭いトカゲ映画ではありますが、B級モンスターパニックマニアの心に消えない焼印を押してくれる程度の熱量はありますので、もしどこかでお見かけの際はぜひご覧になって頂きたいと思います。
1. 無題
二丁拳銃でトカゲを撃つところが妙に記憶に残っている。
雑貨屋のおばちゃんも良い人だったのに死ぬなんて残念。
Re:無題
そう、どうってことないB級映画なんですが、
何か妙に記憶に残るんですよね。