製作:2018年アメリカ
発売:プライムウェーブ
西暦2019年、「コングリング」という寄生生物の脅威に晒された人類は、2045年に夜間に人工衛星から寄生生物駆除光線を発射する「ミッドナイトサン計画」を発動する。しかし、それは地球の環境を激変させ、長い氷河期をもたらすことになる。
そして西暦2549年、理想郷「シャングリラ」を目指して旅を続けるグループがいた。
「デイ・アフター・トゥモロー」のパチモンである以上は当然ディザスターパニックムービーなんだろなと思って手に取ったわけですが、見てみてビックリ全くディザスターでも何でもないSFアクション映画でした。原題は「Shangri-ra:Near Extinction」 。
しかも約1時間20分という短めの尺の中にネタがギッチリと詰まっている割に説明もほとんどなく、やたらと難解な内容に2度ビックリ。冒頭からの超展開に理解するのを放棄しようとボンヤリ眺めていたら驚愕のラストで3度ビックリ。そういう話だったの?
2018年作品の中でも
屈指の珍作でした。
ストーリーの導入は冒頭に書きましたが、本作はまず設定の下地が字幕だけでバババっと表示されます。いきなり何を言ってんだこの映画、と思う間もなく理想郷シャングリラとやらを目指して旅しているらしいヴァルガスという男をリーダーとする男女数人のグループが出てきます。そしてヒロイン役がサラ・マラクル・レイン。もうちょっとマシな映画に出れないものなのか? こう言っちゃなんだがこの人以外凄まじい大根ばかりですよ。
彼らが理想郷へ向かう旅路を描いた映画なのかと思いきや、序盤でその手がかりとなるらしい研究所跡(という設定の廃屋)にたどり着いた後はその中で延々とすったもんだするだけで外に出なくなります。時系列ごちゃ混ぜで様々な回想が入り乱れるので画面が単調ということはありませんが…。
それより何より、大した説明も無くオリジナル造語が連発されるのが最大の問題です。ついていけないっつーの。
この感覚、去年の「
エイリアン:ファイナルカウントダウン」にそっくりです。一応最後まで観ればある程度は分かりますが、終盤まで明かされない要素も多くて困る。
ということで、造語の解説でもしてみます。
これから観る人の手助けになるかもしれません。
まず全ての原因らしい
「コングリング」。
↑2019年に生物兵器として開発されたものらしい。ラブクラフト系のような触手モンスターで、本来知能も繁殖力も無いはずだったがノコギリエイの遺伝子を組み込んだせいでその両方を獲得し人類の手に負えない存在にまで成長してしまった。しかも人体に寄生し、全ての機能を乗っ取ることができる。
「ミッドナイト・サン計画」…人工衛星から特殊な光線を発射することで、コングリングに寄生された人間のみを焼き尽くすことができる。しかし、これのせいで地球が氷河期に入り文明社会が崩壊。500年経っても人工衛星はコントロール不可能のまま。
「治療者(ヒーラー)」…傷を治す能力者。すぐに死んだのでそういう場面は見られず。
「グリーンアイズ」…ヴァルガスたちを追う謎の特殊戦闘部隊。
「イカンカール教団」…アサシンクリードみたいな戦士たちを所有し、生贄の儀式とかおっぱじめる危ないカルト教団。教団名に反してみんな巻き髪を額にくっつけている。
「アルカイ」…なんか最重要キーワードっぽいのに最後まで観ても分からんのだが?
「トランプタワー遺跡」…500年前に栄華を誇った世界の支配者が住んでいたという建造物。
「エイリアン:ファイナルカウントダウン」もそうでしたが、すごくゲームっぽいんですよね。なんかみんなテレパシーとかアバカムみたいな特殊能力をそれぞれ持ってるし。会話でも造語に限らず「これで体力回復できる」とか「さあ体力を回復よ」などといかにもゲームチックなセリフが目立ちます。監督はゲーム世代に違いない。
↑アクションは良い意味でゲーム的ではあります。やったことないけど多分アサシンクリードみたいな感じ? 曲がった刀一本で銃弾をはじき返して首チョンパ。
理想郷シャングリラを目指す旅とは言ったものの所詮手がかりのひとつでしかない研究所跡から全然出て行かないし、クライマックスは追手を撃退するだけ。
結局「理想郷はきっとある!俺たちの本当の戦いはこれからだ!」エンドには違いないのですが、その中で明かされる真相には仰天しました。
いや、伏線は貼りまくりだったし真面目に見ていれば普通気付くとは思うのですが、難解な造語と乱雑な回想の多様によってたびたび意識を飛ばされてケムに巻かれてしまい気づけなかった私の負けと言わざるを得ませんね。
何が何だか訳が分からんまま変な終わり方をした「エイリアン:ファイナルカウントダウン」に似ているようで大きな差をつけたと言える見事などんでん返しでした。