個人的に「VS」ものの映画はあんまり好きじゃなくて、それでも
「エイリアンVSプレデター」とか「フレディVSジェイソン」のように
実績のある人気キャラクター同士が戦う映画なら全然良いのですが、
本作のようにいきなり「ロボシャークVSネイビーシールズ」とか出されても
「何それ?」
としか思えずいまいち観る気が起きません。いや普通の人は大体そうでしょう。
とはいえ、そんな食わず嫌いもそろそろ卒業しなければな…
ということで一応手に取ってみたわけなんですが、
予想に反してこれは素晴らしくテンポよく中身の詰まった快作コメディ映画でした。
「ロボットのサメ」
…が出てくる映画を果たして「サメ映画」にカテゴライズしていいのかどうか
ちょっと悩みましたがそれさえ許容出来れば本作は
「サメ映画オールタイムベスト10」に名を連ねることが出来るほどの名作サメ映画と言っても決して過言ではありません。
ところでこれに邦題付けるとしたら、おそらく「ロボシャーク vs. ビル・ゲイツ」にした方が売れたと思うんですけどやっぱそれは禁じ手なんですかね。ビルゲイツもそんなことでいちいち怒らない気がするんですが。
主役はネイビーシールズの人間というわけではなく、むしろアメリカ海軍の方は傲慢で聞く耳を持たない嫌な奴らとして描かれています。
特に何の説明もありませんが、宇宙からの飛来物を喰ったサメがロボ化。
CGのクオリティはまあまあフツーといったところですが出し惜しみなしでよく動くところは賞賛に値します。
ところで「ロボシャーク」と聞くとワニがロボ化した「ロボクロコ」を連想する人も多いかと思われますが、本作を吹き替えで鑑賞していると
「ロボットのワニもいたけど、今度はサメか」と言及してもらえて少し嬉しい気持ちになれます。映画鑑賞は字幕派という方も多いでしょうが情報量は吹き替えの方が上なので、特にこの手のB級映画では吹き替えでの鑑賞を推奨しておきたいところですね。
ロボシャークが小さすぎない? というかアザラシに見えない?
…というのは置いておいて、ロボシャークは海や川で暴れるのではなく、
水道管を通って主にシアトルのカフェやら下水処理場やら高校やらに出没し、
そのたびに主人公のリポーターや海軍が駆けつけるという
ゲームのステージ制みたいな見せ方をしてきます。
水道管を通るというアイデアは「
ピラニアシャーク」、
ショッピングモールで暴れる絵面は「
シャークトパスVS狼鯨」と
近年のサメ映画の珍アイデアを存分に取り入れているようです。
…と思ったんですが、本作も含めてこれらの正確な製作年度がよく分からないし、
別に詳しく調べる気もないので本当のところは不明です。
ちなみにロボシャークにツイッターでフォローされてる!
という珍シーンもありますが、
シャークトパスも同じことやってるんですよね。
どっちが先にやったんでしょうかね。
個人的に一番盛り上がったのが、
「ネイビーシールズなど知るか!オレが何とかしてやる!」
とばかりに出てきたビル・ゲイツが自ら最前線に出向いて
ロボシャークと対決するくだりですね。
こんなもん「ロボシャークVSビルゲイツ」の邦題付けても許される範疇でしょう。ネイビーシールズとの闘いよりもはるかにインパクトがありますからね。なぜそうしなかったのか。
高校のプールから飛び出すロボシャーク。
そういえば「
ゴースト・シャーク」を見た時は
さすがにプールから飛び出してくるサメなんてこの映画くらいしかあるまいと
思ったものですが認識が甘かったようです。
2010年代に入り、サメを可愛く見せてくるサメ映画が増えてきたなと
「
シャーク・ショック」やシャークトパスシリーズの時にも思いましたが
本作ももちろん例外ではありません。
あざといぐらいに可愛いアピールをしてきます。
それによってアメリカ海軍の悪辣さがより際立っていますが
本作は何やら「カナダ・ブルガリア合作」映画らしいですね。
「SNSのせいでまともな戦争もできん!」
いい感じに皮肉が効いた名セリフです。
ロボシャークと海軍やゲイツとの戦いだけではなく、
報道リポーターたちの特ダネ争いや海軍司令官と役人の掛け合い、
ロボシャークと心優しい少女の触れ合いなど見どころがギッチリ詰まって
退屈する暇もない良作ですが、オチだけはちょっと微妙な感じ。
普通にシリーズ化するなり、
実績を積んだところで「ロボシャークVSロボクロコ」のような
VSシリーズ化もやってほしいと思うんですが素直に続編を作ろうとしたら
多分「ロボチワワ」になってしまうところが痛い。
いやそれはそれで観てみたい気もしますけどね。
ということでこの手の馬鹿映画に抵抗が無ければぜひオススメのサメ映画です。