グリフ・ファースト監督による、何の変哲もないクソのようなモンスターパニック映画です。
っていうかコレも沼と湿地帯が舞台かよ。この人毎回同じロケ地で撮ってるんじゃないだろうな…。
…まあそれはそれとして、本作はあの「エドワード・ファーロング」主演
…ということになっています。
…いや、なっているように見えます。
エドワード・ファーロング氏は、まあいちいち説明するのもアレですが
ターミネーター2のジョン・コナー役だった人で、
世界中の人がその美少年ぶりを目に焼き付けたことでしょうが、
その後は絵に描いたような転落人生を歩むことになり
ついにはこんなジャンク映画にまで出るようになってしまったというお方です。
ただ、落ちぶれたということは知られていても、
近年の出演作を実際に観たという人はそれほど多くないのではないでしょうか。
私も彼の姿を観るのはT2以来、2度目です。
…とまあそんな感じで、モンスターパニックというより完全に
「あの人は今」
を見るような気分で再生ボタンを押したわけなんですが、
なるほど本作の主人公ポールは金髪で線の細い30代の男で
そこそこかっこいいと言えなくもないかな?
でもアゴの割れ方がゴツイな?
という程度で思ったほど「見る影も無い」という風でもない。
むしろマコーレー・カルキンのような顔つきにも見え、子役時代が全盛期だった人は似たような雰囲気を醸し出すようになるのかなあ…などという印象を持ちました。
ポールは酒浸りで、沼地をボートで観光案内する仕事も満足にこなせないダメ男。
そんな彼が巨大クモとの戦いを通して立ち直り、活躍してヒーローになっていく。
という実に王道なストーリーなわけですね。
落ちぶれた俳優に合わせて書かれた脚本とも取れます。
終盤で女王グモとの決戦に赴くシーンではターミネーターのテーマに
そっくりなBGMが流れるなど、
主人公ポールとエドワード・ファーロングをダブらせる気の利いたメタ演出がクソ映画なりに何かしらの感動を生み出しているような錯覚をもたらしてくれました。
…そう、それはただの錯覚でした。
何と本作の主人公ポールはエドワード・ファーロングではなかったのです。
エドワード・ファーロングはただの脇役の小太りなオッサンでした。
不覚にも最後まで全く気付かなかった…本編を見終わってからこの記事を書くために、念のためファーロング氏のウィキペディアをチェックしようとして初めて気づきました。
彼が主演でも何でもなかったことに…。
え、そっちだったの!?という驚愕。
この衝撃を何と言い表せば良いのか?
ミステリ小説で叙述トリックに引っかかって世界が反転して見えた時のようです。
これほど意識外から強烈な一撃をもらったのは久しぶりです。
監督にそんな意図があったはずもないのに。
ちなみに他の人の感想も少し探ってみましたが、案の定というか
主人公ポールをエドワード・ファーロングだと勘違いしたままの人が他にもいるようでした。
そりゃあそうでしょうね…
まさか、あのオッサンの方だったとはね…
確かにちょっと個性派のオッサンだったけどもね…
吹き替えの声が若々しすぎて変だなとは思ったけどね…
ポール役の人やファーロング氏の画像はここには貼りませんので、
気になってしまった方はぜひとも本編をご覧ください。
純粋にクモ映画として見た場合、お世辞にも面白いとは言えないのが残念でなりませんが。
一応クモはこんな感じです。
CGはヘボいが、愛嬌がある感じで嫌悪感はあまりないタイプ。
ただ、グリフ・ファースト監督の場合、サメだろうがワニだろうがクモだろうが
戦いの舞台は沼と湿地帯ばっかりで全部同じような味に感じます。
どうしてそんなに沼にこだわるのか?
倒し方だけはちょっと斬新でしたね。