5月10日から16日は愛鳥週間(バード・ウィーク)ですが、
世の中にはこんなタイトルのサメ映画も存在します。
愛鮫週間とは一体どのようなテーマで見せてくれるサメ映画なのか。
本作のストーリーは、
麻薬王が息子の死に関わった8人を絶海の孤島に集め、
様々な種類のサメと戦わせるデスゲームを行う。
というものです。
「ソウ」のパクリ系統ながら、サメを使ったデスゲームというのは
なかなか珍しいコンセプト。
しかも主演はレイクプラシッドシリーズなどでおなじみのヤンシー・バトラー。
サメ映画としてはボチボチなクオリティを期待しても良いのではないか?
…と思ったんですが、残念ながらかなりの威力を誇る地雷映画でした。
そもそもが主演扱いされてるヤンシー・バトラーは
麻薬王の愛人役という非常にどうでもいいポジションで、出番も大してない。
いや、別にそんな好きな女優さんでもありませんが…。
サメの神を信仰しているただの危ないおばさんでした。
絶海の孤島に集められた8人がプロフィール付きの画面で紹介されます。
全体的にどうにもテレビ番組臭さが拭えません。
テレビムービーということではなく、バラエティ番組的な意味で。
彼らはまずヨシキリザメとオオメジロザメの子供、
2回戦はシュモクザメ、3回戦はイタチザメとのバトルを強いられます。
やりたいことはわからんでもないのですが、
なぜ戦いの舞台が暗い地下洞窟ばかりなのか?
まあそりゃCGの出来をごまかす以外にないでしょうが、
その代わり暗くて何をやってるのかよく分からんという本末転倒ぶり。
ちなみに一番の見どころはシュモクザメの歯を細い枝にくっつけて作った槍を投げるシーンです。役者の演技も槍の効果も何もかも文字通り投げやり過ぎて大変驚かされます。
他の見どころとしては、
砂浜に仕掛けられた地雷原を突破するくだりでしょうか。
地雷を踏んでしまってもすぐに足を上げて走ればセーフ?
そんなんでいいならカンボジアの人々も苦労しないでしょう。
爆発のえらいやっつけな合成ぶりといい、
こんな時に髪の毛を気にして走っている女性といい、
観る人を例外なく唖然とさせてくれる素晴らしい珍場面です。
しかも後ろのハゲはしっかり地雷を拾っており、後のサメバトルで有効活用します。
地雷ってそういう使い方出来るの?
なおヤンシー・バトラーだけはなぜか地雷を踏んだだけで足を上げる間もなく
爆死させられます。何という納得のいかない死に様か。
しかも持ってたモリが爆風で都合よくクルクルと飛んでいき生存者に渡る。というカートゥーンアニメのようなおもしろ物理法則を見せられ、少しだけ眠気が軽減されました。
一応脅迫されている、とはいえなぜ彼ら8人は自ら進んでサメと戦うのかが
よく分からないんですが、その中でもここは麻薬王から何の指示もされてないのに
わざわざ海に突撃して無駄死にするという意味不明さが極まったシーンです。
いよいよサメのCGが明るい日差しの下に晒されるのは良いのですが。
クオリティはだいぶキツイ。「
ジョーズ・リターン」を彷彿とさせる造形のサメです。
あと全体的にサメが小さいんですよね。
死んでしまった人は顔写真がドクロで上書きされます。
…とまあそんな感じのC級クソサメ映画でした。
ヘッポコさを愛でる以外にはどうにも楽しむ方法が見つからない困った作品です。
それでも「
ジョーズ・イン・ジャパン」などと比べれば1億倍くらいは良く出来ていますから、「平均点よりはだいぶ下だけど最底辺でもない」という、インパクトに欠ける非常に微妙なポジション。
…いや、大半の人間は単純でわかりやすい刺激しか理解できないだけなんだよ。
本来こういう一見毒にも薬にもならない微妙な作品にこそクソサメ映画ならではの複雑玄妙な味わい深さが隠されているんだよ。と言えるような通な方のみご覧ください。