数あるサメ映画の中でも、キワモノ中のキワモノである本作。
バカで野蛮なアメリカ人に激辛ソースを食わせられ、
手榴弾を食わせられて死んだサメが亡霊となって人類に、
いやアメリカ人に復讐するという内容。
なんかここまで来ると、「サメって怖いよね」「何このサメ型モンスター?」というふうにサメに興味を惹かれるというより、
「アメリカ人って変だよね」「何でこんな変な映画作れるの?」
というふうにアメリカ人に対して奇妙な関心を抱いてしまいます。
彼らの闇は深い…
主人公格のクールな少年が又吉直樹氏に似ていて何か気になりますが、
基本的に人間ドラマ的にはどうでもいい作品です。
この作品での見どころはただ一つ、幽霊と化したサメがどんな風に人間を襲ってくれるのか?ということだけ。
その観点からすると…まあ、悪くはないです。
ゴーストシャークは水のある所ならどこにでも出現。
コップの中から風呂場まで何でもありなのでスタッフのアイデア力が試されます。
CGはサメ映画としても下の下といっていいヘボさですが、
その代わり人間の方は首が飛んだり、半身や手足を食われたりと切り株描写には力が入っています。
しかも、子供も容赦なく食われて切り株になります。
これはかなり予想を裏切られたポイントで、子供までもが無残に食われるサメ映画というのは観たことがありません。いや、そういえば本家ジョーズで子供食われてたかな。
でも例外はそれだけです。色んな意味でチャレンジングなサメ映画と言えるでしょう。
ただ…質は悪くないものの、数が少ない。
高校生グループがゴーストシャークの謎を解くために色々と奔走するシーンに多くの尺が割かれているのですが、どうせ何でもありのオカルトなので激しくどうでもいい。
だいたい、魔術書だ何だと慣れないスピリチュアルな要素をこねくり回したところで、けっきょく最後はダイナマイトで爆破するだけ。実にアメリカンな単細胞さ。
せっかくサメ幽霊などという、変化球どころか消える魔球を繰り出してきておきながらいつも通りの爆破オチにするなど、上等な料理にハチミツをぶちまけるがごとき蛮行と言わざるを得ません。
一方、例によって現実を認めようとしない市長と保安官が出てくるのですが、
さすがにプールに透明なサメが出たという話を信じられるわけもないので
いつものパターンよりかわいそうといえばかわいそうです。
しかし市長の秘書がゴーストシャークの入った水を飲んでしまい、
市長と保安官の目の前で真っ二つに裂けて中からゴーストシャークが出てきます。
ここはその珍しいシチュエーションのゴア描写と安いサメのCGだけでもなかなかの見ものですが、
それを目の当たりにして
「何これ…何?」
みたいな表情で固まる市長たちが非常に良い味を出しています。
しかも一部のカットはなぜか静止画。
ここは大いに笑わせてもらいました。
この2人のリアクションこそが本作一番の見どころと言っていいでしょう。多分。
というか、本作を観た人はだいたいこんな顔になるんじゃないでしょうか。
好事家を自称する人間ならこのシーンのためだけに本作を鑑賞しても後悔するはずがありません。
その手の人にはオススメです。