これがサメ映画かどうかは意見の分かれるところでしょうが、
タイトルに「シャーク」と入っているのでここではサメ映画として取り扱います。
とはいえもし「
ピラニア」シリーズのパロディだったら困るので
本作のためにわざわざ「
リターンズ」も含めて事前に予習をしておきました。
…結論から言うとそれは全く無駄な行為で、
「ピラニア」シリーズのパロディなど皆無なうえにサメ映画らしさも皆無。
滑りまくってるキャラクターと会話、ホームビデオみたいな映像の羅列、
2014年製とは信じがたいほど質の低いCG等、「ザ・Z級クソ映画」
以外の何物でもない、まさに
「創造してはならなかったハイブリッド・キラー」でした。
何もかもがどうしようもないクソかというとそこまでではなく、
設定自体は微妙に凝っていて、パクリではない、何かオリジナリティあふれる変わったものを見せてやろうというフロンティアスピリットらしきものは感じられます。なので、
「生物兵器としてボツになった小魚サイズのサメ『ピラニアシャーク』をペット用として一般向けに売り出す」という導入部はけっこう興味をそそるものがありました。
またそれを売り込んで儲けようとする2人組もなかなかいい味を出しています。
5600万ドルもかけた生物兵器がボツになったので
ペット用として必死に売り込みをかける2人組。
そう、(アメリカでは)誰だってサメが大好き。
私は日本人ですが小魚サイズのサメが発売されたら飛びついてしまいそうです。
さっそく胡散臭いテレビショッピングで大々的に紹介されますが、
それによるとピラニアシャークは
「祖母の焼いたクッキーのような安らぎ」が得られ、
こじれた夫婦仲の修復にも効果バツグンということで前評判も上々。
予約段階で1000万ドルを売り上げて滑り出しは大成功。
…しかし、いざ飼育してみると、爆発的に繁殖力が強く、すぐ共食いを始めてしまうと
SNSで悪評が流れ出しビジネスパートナーに非難されてしまいます。
一種の自虐?
勝利の美酒に酔おうと思いきや
世間やTVショッピング会社の思わぬ反応に顔をしかめる2人組。
しかし今更後戻りはできません。
どうでもいいけどこの人、ハンス・グルーバーに似てますね。
「悪評は最強の宣伝」確かにそうかもしれません。
「あの映画は最悪だった」「あの店は最悪に不味い」「あのゲームは超クソゲー」
どれも好事家の好奇心を刺激する評判と言えます。
私も「評判の良いもの」よりも「最悪だった」と言われているものに突撃したくなるという習性がいつまで経っても治まりません。
それに、宣伝になるというのであれば、
私も安心して本作をボロクソにけなせるというものです。
…と思ったけどそれすら面倒なぐらい本筋のストーリーがつまらない。
「ピラニアシャークがニューヨークの下水道に捨てられ、ちょっと繁殖して数人殺しただけで
軍がニューヨークへの核爆弾投下を決定。さっそく遂行しようとする中、銃で武装した害虫駆除業者が酒を下水に流して退治しようとする」
つまらん…。あまりにもどうでもよすぎるので割愛します。
この映画で多少なりとも面白かった部分はあくまで
ピラニアシャークで儲けようとしたこの2人だけなので…。
ちなみにそんな彼らの名前は最後まで出ませんでした。
ラストは逃亡先の南国で休暇をエンジョイする2人組。
わざとらしい笑顔と、合成感丸出しな背景が実にいい味を出しています。
彼らはクソ映画における一服の清涼剤と言えたでしょう。
でも、わざわざ本作を見る必要は…
無い。