原題も邦題も、ジャケットの表もウラも、これほどまでに混沌としたサメ映画がかつて存在しただろうか…。
もう説明(イイワケ)は不要!
舞う!襲う!!吠え~る!!!
映画史上最凶合体生物兵器のトンデモ頂上決戦!?
今度の相手は、次元を超えた<狼×鯨>合体モンスター!!シャークトパス最大の危機!オクトパス・ホールドが炸裂!?
(ジャケ裏より)
ただでさえシャークトパス自体がもうかなりカオスなモンスターなのに、
「オオカミクジラ」って何だよ? 字幕だとホエールウルフ表記?
しかも正確にはクジラっていうかシャチみたいです。
同じような生き物かもしれないけどさあ…。
そんな狼鯨は粗暴な性格の元プロ野球選手で、デザイン的には無駄に可愛らしい。
飼い主のマッドサイエンティストにはほとんど駄犬扱いされてます。
私は初見でポケモンか何かの一種かと思ってしまいました。
本作の主演はキャスパー・ヴァン・ディーンです。
スターシップ・トゥルーパーズに出ていた頃は将来有望な若手スターみたいな扱いだったような記憶があるんですが、本作ではもう飲んだくれでどうしようもないヒゲのオッサン役がすっかり板についてます。
どうしようもないのはキャスパー・ヴァン・ディーンだけではなく、本作はだいたい全体的に何もかもどうしようもないです。
脚本のマット・ヤマシタとかいう日系人らしき名前の男が主犯なのでしょうか?
こういうクソサメ映画の主な稼ぎ場所が日本だというのは本当なのでしょうか?
ヒロインの婦警役の名前がアカリ・エンドウという名前でやはり日系人っぽいですが、日本にはこんなクソサメ映画を借りる人が何万人もいるのでしょうか?
↑狼鯨の飼い主であるマッドサイエンティスト。
しかし狼鯨がちゃんとおしっこシートに用を足さないわ、
想定以上に大飯喰らいだったわでウンザリしてしまい…
まさかの里親募集。しかもビラを落っことしてしまい…
狼鯨本人に見られてしまうという大失態。
ペットを飼いきれないという身勝手な理由で捨てられてしまう。
そんな愛玩動物の悲しみを皮肉たっぷりに表現した秀逸極まりない名シーンですが、彼にも元プロ野球選手としてのプライドがあり、シャークトパスと戦って勝つことで己の優秀さを証明しようとします。多分。本作の瘴気にあてられて私も何を書いているのか分からなくなってきました。
シャークトパスのCGだけは相変わらず大変良く出来ています。
まあ、それが出来なくなったらC級クソサメ映画からただのZ級クソ映画に降格しますからね。
シャークトパスももう海にこだわらないというか普通に街中に出没しまくりです。
それどころかツイッターもやっているらしく、キャスパー・ヴァン・ディーンの相棒が「オレもフォローされてる!」と喜んだりしていました。サービス精神旺盛になったもんですね。
シャークトパスVSホエールウルフなシーン。
狼鯨がシャークトパスと戦おうとする理由はたぶん前述のとおりだと思いますが、
シャークトパスの行動原理は最後までよく分かりません。
食後に触手のツメを使ってシーハーシーハーするシャークトパス。
こういうキャラでいくことにしたのか…
キャスパー・ヴァン・ディーンがトチ狂って変なことをほざいているのを見て、
お目目パチパチしながら頭コリコリするシャークトパス。可愛らしい仕草ですね。
調子に乗って握手しようとするキャスパー・ヴァン・ディーンに往復ビンタをかます厳しいシャークトパス。
でも迷ったら地図で現在地を教えてくれる優しいシャークトパス。
ショッピングモールで人間を追い回すシャークトパス。
ツルツル滑る床は触手と相性が悪い様子。
部分的に面白かったシーンをいくつか紹介してみましたが、全体的にはもうデコレーションケーキの上に刺身を盛り付けてデスソースをぶちまけながら焼肉定食を注文しているかの如き混沌の渦。少なくともモンスターパニック映画とは言えず、コメディと言っていいのかどうかも怪しいくらいです。
おそらく
シャークネードシリーズに対抗意識を燃やして、色んな要素をブチ込めるだけぶち込んでとにかくごった煮にして笑いをとってやろうとしたんでしょうね。努力した痕跡は見てとれました。
しかし肝心のシャークトパスと狼鯨の最終決戦…
狼鯨が元プロ野球選手だから、球場に行くに違いない!とばかりにそこを決戦場に仕立て上げ、なぜかプロレスのゴングと共に両者リングイン→試合開始となる流れはボチボチ盛り上がるんですが…一瞬で決着がついてしまうのはいただけません。CGを動かす余力がもう無かった?
ということで、よっぽど変なものを観たいという、好奇心に自信のある好事家の方のみご鑑賞下さい。