すでに語り尽くされているであろう、クソサメ映画の古典中の古典。
しかし、私は今まで観たことがありませんでした。
レンタル屋にはなかなか置いてないし、中古DVDはプレミア付きで
8千円はするし…。
で、忘れかけていたらたまたまブックオフで安く売ってたのを見つけたので今更ながら喜んで購入したというわけです。状態すごくいいけど
8千円も出して買う人いるかな?
これ、ジャケットはすごいカッコイイですね。
もちろん本編にはこんなカッコよすぎるサメは出てこないでしょうから
輸入業者オリジナルデザインなんでしょうが、なかなかいい仕事をしてますね。
コレクターとして所有する喜びを満たしてくれるクオリティのジャケ絵と言えます。
わざわざ買った甲斐がありました。
実際に本編で出てくるのは案の定こんなのです。もう慣れてますから驚きません。
サメというよりナマズ、というかアンコウに見えますね。
本編中でも「サメ」とは一言も言われてなくてただのでかい深海魚扱い。
…本作を邦題だけでサメ映画に分類していいのかどうか悩むところですが、
まあジョーズに便乗した作品なのは間違いないので一応サメ映画ということにしておきます。
ハワイのリゾート地にコイツが現れてパニック、という話ですが
前半は思ったほどひどくないです。
観光客を食い物にする詐欺師を主役にどうでもよい人間ドラマが展開してるような
してないような雰囲気で極めて退屈ですが、
21世紀のクソサメ映画と比べてもそれほど大きな差はないと言えます。
例えば「
ロスト・ジョーズ」の苦痛度がその辺のワラジムシの行動を67分鑑賞するようなものだとすると、本作は庭のカエルを85分鑑賞するようなもの、と言える程度には楽しめます。
アンコウザメが人を襲うシーンでは泡と赤い水がゴボゴボしているのをドアップで映すだけのワンパターンかつ手抜き仕様ではありますが人が何人も喰われるだけまだ良いと言えなくもありません。
そして後半ではアンコウザメ退治に懸賞金1000ドルが出ることになり、
我先にと海へ繰り出す観光客と地元民。
リゾート地だけに観光客は金持ちが多いように見えましたが当時の1000ドルって今だといくらぐらいの感覚なんでしょうかね。
そういやジャケ裏には1994年製作と書いてあるんですが中身はどう見ても70年代です。
煽り文句や紹介文でウソが書かれているのには慣れてますが、データベース的な部分にまで堂々とウソを書くのはどうかと思いますね。ジュラシックパークにあやかりたかったという商売上の事情もあるのでしょうが。
日本刀を持ち、「やったるでぇ」ばかり連呼する鈴木さん。
明らかに日本人を小馬鹿にしている扱いです。
怒る人もいるかもしれませんが、本作はアメリカ人も凄まじいバカしか
出てこないので日本人だけを特別バカにしているわけではないように思います。
ものすごい小さい船…いや船と呼ぶのもどうかという乗り物で人喰い巨大アンコウザメ退治に乗り出す観光客。
こいつらが無謀なバカなのか、アンコウザメの脅威が大したことないのか観ていてよく分かりません。いや、両方かな…
そして終盤、本作最大の見どころ。
主人公の詐欺師が海洋生物学?の教授と手を組み、アンコウザメを生け捕りにしようとして失敗。教授が致命傷を負います。
教授を助け上げて優しい言葉で励ます詐欺師。
海に捨てないでくれ!ってそんなことわざわざ頼まないと
捨てられてしまうものでしょうか。
70年代のせいか人の死がかなりぞんざいに描かれるシーンが多く、
人の命が軽い時代だなあと感じてしまいます。
まあ今でもそんな風に感じる事件は多々目にしますが。
あんな恐ろしい奴に喰われたくない。
私は自分が死んだらその死体がどうなろうとどうでもいい派ですが。
ちゃんと埋葬してほしい人もいるでしょうね。
そして、このあとエサに爆弾をくくりつけてアンコウザメを爆殺しよう、
という作戦に移るのですが。
「エサのことなんて考えてなかったよ」
という軽いノリで教授の死体がエサになり、爆破退治成功。
ブラックジョーク的なね。
教授の遺言は単なる前振りだったというね。
脱力系クソサメ映画でした。
まあ、「
ロストジョーズ」や「
デビルシャーク」や「
ケージ・ダイブ」
よりは遥かに面白いことは間違いないのですが、「
ジュラシック・シャーク」や「
アイス・ジョーズ」より面白いか?と考えるとちょっと悩みますね。まあかろうじてその2作よりは上かな…カメラワークとか編集とかがね。
クズしか出てこないし、クライマックスで教授の死体をエサにするという非人道的行為が見られますし、クズ・ウォッチング的には楽しめますが肝心のアンコウザメの映るシーンがあまりにも少ない。砂金掬いのような「良かったところ探し」を出来る人でなければ何も得ることのない映画鑑賞となってしまうでしょう。
2018年現在の視点で意見を述べさせてもらうと、映像がちょっと古臭いのを除けば最近のクソサメ映画とあまり遜色がない、つまりこのジャンルは40年近く経っても大して進歩がない。ということがわかりました。にも関わらずクソサメ映画の量産は途切れることなく続いている。というのは興味深いことですね。一体人はなぜクソサメ映画に惹かれるのか? 今後もサメ映画感想記事を通してその辺を分析していきたいと思います。
そういや本作のDVDですが、さすがに
8千円も出して買ったら後悔するでしょう。
せいぜい出せる上限は1980円ぐらいですね。
レンタル出来るならそれに越したことはありませんが。