またしてもローランド・エメリッヒ作品のパチモンです。
原題は「コールド・ゾーン」。
低予算丸出しではあるものの、登場人物がだいたい理知的なので、いらんもめ事を起こさない分、余計なストレスなしで観ていられます。この手のB級ムービーとしてはそんなに悪くないしオリジナルタイトルにして出せば良かったのに…。
エメリッヒの方は確か2004年の映画でしたが13年後でもまだまだ需要がある、
ということですかね。
しかしディザスターパニック映画ってモンスターパニック映画に比べると
どうしても地味で薄味になりがちだと思うんですが、どっちが人気あるジャンルなんでしょうかね?
いくらスケールが大きくてハデな映像を出せると言っても、人を直接襲うのは所詮自然現象ですからね。エメリッヒ級の製作資金をかけた大作じゃないとどうしても味気ないことになりがち。
本作では即死級に超低温の嵐が規則的な間隔で襲ってくる、という設定です。前述の味気なさを緩和するためか、怪物のような咆哮をあげて襲ってきます。
ジャケットやあらすじからはスケールの大きな災害を想像しますが、そこは低予算なので
舞台はアラスカのド田舎限定、登場人物はある一家を中心とした数人だけという超ミニマムスケールでの展開となります。ガッカリする人はいるかもしれませんが、この業界では極めて自然なことです。
人間ドラマ的にはまあまあ良く出来ている方じゃないでしょうか。
私のハードルが低いだけかもしれませんが、バカ者たちによる不愉快ないがみ合いやもめ事がほとんどないというだけでも高評価を与えたくなります。ただ、逆に他者を救うために我が身を犠牲にするような聖人ばかり出てくるので、それはそれでちょっと鼻につくかもしれません。
まずまず無難に出来ている一方で、本作には大して尖ったところがなく、見どころに欠けるというのが難点です。予告編では「絶対零度」で襲ってくるという煽りがあったので本編でもそのワードが出てきたら突っ込もうと思ってましたがそこまではいってませんでした。
作中の描写だと華氏ー80度以下でしたかね。
嵐が来た時に外にいると即死するほど超低温のわりには、カマクラでやり過ごすシーンもあったり、道路が濡れていたり木々が凍り付いていなかったりしたような気がしますが。そんな細かいことまで言うのは酷というもんですかね。
ヘリで逃げたわりに生き残れなさそうなラストだけはちょっといただけませんが、まあどうでもいいでしょう。
そんなわけでぼちぼちまあまあ悪くない出来のために大した刺激もなく、つまるところ語る要素もあまりない本作なんですが、
最大のツッコミどころはアマゾンのDVD商品ページにありました。
アルバトロス配給の低予算パチモンであるにもかかわらず、レビュー数300件越え。
「インデペンデンス・デイ2016」のページでは騙されてしまった方たちの怨嗟の声が90件ほどあって驚きましたがさらにその3倍以上。
インデペンデンス・デイはリサージェンスと時期がかぶってたから分かるけど
なんで今更デイ・アフター・トゥモローでそんなに被害者が出てしまうのか?
と思いきややけに評価が高い。しかもブルーレイ版へのリンクまであります。こんなヘボいCGをブルーレイで観ても仕方がないのに。
…そう、このパチモンはアマゾンさえも騙すことに成功したのです。
本家「デイ・アフター・トゥモロー」のレビューが本作のものとしてそのまま載っているのでした。これ、余計被害が拡大しないか? アルバトロスなんか知らん一般の人は普通に騙されますよ、これは。
と心配しましたが個人的には家の小さなモニターで観る分には本家「デイ・アフター・トゥモロー」とそんなに差はないかな。
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デイ・アフター・トゥモロー2018」