製作:2015年イタリア
発売:アットエンタテイメント
イタリアの片田舎、とある山村で行われていたクランプスの祭り。5歳の少年トンミはクランプスを怖がって森の中へ一人で逃げ込んでしまい、行方不明となる。
5年後、発見されたトンミは無事両親の元へ返されるが、母リンダは息子ではなく別人ではないかと疑い始める。
「クワイエット・プレイス」(2018年アメリカ)
「クワイエット・フォレスト」(2016年メキシコ・フランス)
に続く、クワイエットシリーズ待望の最新作!!
…なんていうわけはなく、全然関係ないイタリア映画でしかも2015年製作のサスペンス。
「ラスト5分に驚愕必至!!」とか何とか定番の煽り文句が書いてあるわけですが、ラスト5分じゃなくて開始5分で驚愕しましたよ。こんなオープニングは前代未聞じゃないですかね?
さてその前にちょっと言っておきたいことがありまして。
映画鑑賞の際は字幕か吹替えかどちらかを選択するのが一般的かと思いますが、私はよく「字幕を出したまま、吹き替えで鑑賞」します。なぜかと言うと大抵の場合字幕と吹き替えでは翻訳者が異なるからです。
字幕は瞬時に意味を読み取れるように簡潔な文章にしなければならない、という制約があります。しかし吹き替えにはそんな制約はないため、長いセリフも普通にしゃべらせることができます。結果、伝えられるニュアンスにかなりの差が発生することも珍しくない。
俳優の生の声が聴ける点においては字幕にも理がありますが、情報量が多いのは明らかに吹き替えの方なのです。さらに、音声を吹き替えにしつつ、字幕も残しておけばその違いを楽しむことも出来るというわけです。
(吹き替えが収録されてるB級映画は3分の1ぐらいしかないですけど)
で、本作には吹き替えがあったのでいつも通りの設定で鑑賞しようとしたのですが、
オープニングから明らかに様子がおかしい。
イタリアの山奥の寒村で「クランプスの祭り」とかいう、欧州版なまはげ祭りみたいなイベントが行われている映像が流れているのですが、音声ではなぜか
「ハッチを締めろ、ハンドルは左45度だ」
とか
「今ので熱核爆発が起きたぞ」
だの
「目的は、四次元におけるワームホールの生成」
などと、ド田舎の寒村でなまはげを怖がっている子供が発するとは思えなさすぎるハードSFチックなセリフが連発されるのです。
しかもなんか物質を異次元に送ったり受け取ったりする新技術を開発し、投資家に見せて資金援助を頼もうとしているらしい。
こんなド田舎の寒村で一体何が起こっているんだ!?
さらに、その新技術のデモンストレーションは失敗すると放射線漏れから最悪の場合
宇宙の崩壊まであり得るとのこと。
なまはげ祭りで
宇宙崩壊とな!? 何ですかそれ怖すぎるでしょう。未来人がジャマしに来たとか何とか言ってますし、どうやらド田舎の寒村を舞台にしたハードSFらしい……ってそんなわけないと気づいたのは5分ぐらい経ってからでした。
これ…違う映画の吹き替えデータが混入しとる!!!アットエンタテイメントさん何やってるの…
「この子供、何かがおかしい」
とか言ってる場合じゃないですよ。このディスクがおかしいですよ。
しかし、公式HPを見てみるとどうやら吹き替え無しで発売しているつもりのようなので、本来の吹き替えデータがどっか行ったという悲劇が起こったわけではなさそうです。不幸中の幸いですね。
もう面白すぎるからこのまんま最後まで観ちゃおうかな、などと思ったりもしたんですが、本来の内容と全く違う吹き替え音声を聞きながら観ているとさすがに著しく混乱してきたのでやめました。
…これでようやく本作の内容について触れられるわけですが、
テレビのサスペンスドラマ的な感じだったかなあと。
家庭不和と不幸な偶然と人間の悪意が重なって色々ありました的な。
冷たく静かなトーンで淡々と不愉快な人間ドラマが積み重ねられた末の、驚愕の真相とやらは確かにある程度の驚きをもたらしてはくれます。が、偶然に頼りすぎじゃないのって感じだし何より冒頭の宇宙崩壊ハードSFに比べたらもはやカス同然のインパクトに過ぎません。あえてオススメするほどのものでもないと感じましたが、「クワイエット・フォレスト」に比べたら数千倍は面白いので暇つぶしにはなるかと思います。っていうか何の吹き替えデータだったんだろ。
関連記事(?):「
クワイエット・フォレスト」
「
クワイエット・フィールド」
「
クワイエット・プレイス」
2019/3/15 追加:「
シンクロニシティ」
1. 吹き替え変なのでググってココにきました
何かB級テイストのストーリーに覚えがあったので、レンタル履歴遡ってタイトル調べました(笑)
Re:吹き替え変なのでググってココにきました
地味に気になってたので助かりました。
こんな吹き替えのDVDを借りてしまったら、そりゃググりますよね。
何の吹き替えデータか判るとはあなたも相当の達人ですね。
そのシンクロニシティとやらも今度借りて見てみるとします。