製作:2013年アメリカ
発売:コンマビジョン
小さな田舎町で銀行強盗を働いたオッサン3人組。しかしいざ逃走する時に車のエンジンがかからず、仕方なく居合わせた女性を人質にとって逃亡。とりあえず湖畔の別荘へと潜伏するが、そこで待っていたのは最凶獣ジュラシックビーストであった。
ポロニア・ブラザーズ・エンターテインメント製作による、マーク・ポロニア監督作品。
多分ポロニア監督宅の近所であろう貯水池で、おそらくポロニア監督の身内が多数出演しているおかげで見た目にはいつもと変わり映えのしなさすぎる一作。
町内会のおじさんおばさんがボランティアでむりやり駆り出されて老人ホームで演劇をやらされているのを観ているような感覚のZ級映画と言って良いでしょう。
ストーリーはどうでもいいにもほどがあるというか、銀行強盗3人組と巻き込まれた女性がウダウダ無意味な会話をしているだけなので特に何も無し。意識を保つことが困難とまでは申しませんが、字幕を読まないと内容についていけないということもないので眠っても特に問題はありません。誤字脱字も目に付くし。字幕を付ける人も相当やる気が無かったとみえますが、誰もその人を責めることなどできますまい。我々鑑賞者は恐竜(?)の唸り声が聞こえた時だけ目を開ければ良いでしょう。いや、実際のところ開けなくてもさほど問題はありません。つまり70分間ずっと眠っていても構わないというか、その方が有意義な時を過ごせることに疑いの余地が無い。
↑何といってもこのポロニア・ブラザーズ・エンターテインメント・クオリティ。好事家的には癖になる味わい。長いので以下PBEと略しますが、例によってハリボテとストップモーションアニメを使い分けるスタイルです。ハリボテの時はなんかカワイイが、ストップモーションアニメの時はなんかキモイ。飛び散る血糊はなんかの醤油ダレみたいだし、燃え盛る炎もいつも合成。身内に火傷の危険を負わせられませんからね。それがPBEクオリティ。
↑ハリボテの時は全身像が決して映らない。首から上とヒザから下しか作ってないと思われる。とはいえ、造形はそこそこよく出来ているような気がします。これを改造してフランケンジョーズを作ったのではないでしょうか。だからフランケンジョーズが妙にトカゲっぽかったのかな。
しかし本作の最大の問題点は、このジュラシックなビーストをめちゃくちゃ出し惜しんでいるということです。個人的には「フランケンジョーズ」も「ビッグ・クラブ・パニック」もヘボイなりにそこそこ楽しむことが出来たのですが、それは安いモンスターを惜しげもなくさらけ出していたからというのが大きい。モンスター以外の何もかもが無意味なZ級映画なのに、そのモンスターすら出し惜しんでしまっては後に何も残らないではないですか。しかも、「フランケンジョーズ」も「ビッグ・クラブ・パニック」もモンスターの出自をしっかりストーリーの本筋に絡めてきていたのに、本作はそういうの一切無し。ただいきなり出てきて襲ってくるだけ。なんで恐竜がいるのか全く誰も触れません。クマでも良かったんじゃないの。クマいそうなところだし。なんで恐竜なの。
↑合成たいまつを振り回すスキンヘッドの刑事とジュラシックなビーストによる大立ち回り。これが本作の唯一最大の盛り上がり。ラスト10分ぐらいのところです。どうしようもなさすぎるが、これしかない。
「フランケンジョーズ」や「ビッグ・クラブ・パニック」が世に出てしまった今となっては、何の価値も感じられない下位互換的シーン。まあ、本作はそれらよりも前の作品なのでPBEも少しずつ成長した結果がフランケンジョーズなんだなあという感慨に浸ることは出来ました。
そんなポロニア監督の次回作はまた「Land shark」とかいうサメ映画らしいので国内盤の発売を座して待ちたいと思います。
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