製作:2013年カナダ
発売:アメイジングD.C.
手を触れずに子供を不審死させたと噂され、神父に悪魔憑き呼ばわりされた少年ロビー。刑事の娘ヘザーはそんなロビーと恋仲になるが、彼の周囲で不審死が再び発生。悪魔を倒したい神父と娘を守りたい刑事は手を組み、真相を突き止めるべくロビーの正体を探り出す。
例によってあの「エクソシスト」シリーズとは全く何の関係も無い「新エクソシスト」ですが、わざわざサブタイトルで「悪霊祓い」とまで付けておきながら全く悪魔祓いも悪霊祓いもしようとしない映画。それどころかスリラーとかホラー映画ですらなく、高校生の恋愛ドラマ映画でした。宙に浮いてる女の子は出てこないし、主演っぽく映ってるクリスチャン・スレイターはただの脇役。タイトル&ジャケット詐欺もここまでくるといっそ清々しい。
本作の中心人物は、手を触れずに人に危害を加えることが出来る少年ロビー。神父は彼を悪魔憑き…というか、預言書に書かれている悪魔そのものだと言います。しかしやっていることを見れば、いじめっ子をぶっ飛ばしているだけなので悪魔というよりはサイコキネシス能力を持った人間です。理性を失って白目になったりゲロを吐いたりしませんからね。
で、そんなロビーがある日ヘザーの通う高校に転校してきます。
ロビーをひと目見たヘザーとその友人は「なんかすごいイケメンが来た!」「なんてイケメンなの!」とドキドキ。
ミステリアスなイケメン転校生との出会い。いかにも少女漫画の導入でありそうな展開ですね。
しかし、
↑ボロいピックアップトラックから颯爽と降りてきたサイコキネシス少年ロビー。
イケメン…か?
いや、顔立ちは整っているような気はします。多分。しかしその奇妙なヘアースタイルはイケメンにはふさわしくないのではないか。というかそのヘアースタイルは一体何なのか。ソフトモヒカンの一種なのかと思って色々調べてみたけどこんなの全然出てこないよ。私が流行とかファッションに疎いから知らないだけですか? これがカナダ人的にはファッショナブルなメンズのヘアースタイルなのですか? 自然にこうなるわけはないしおそらく相当こだわりの髪型なんだろうなあ…気が付けば彼の髪ばかりが気になってストーリーが頭に入って来ないんですよ。
…あと、どうしてジャケットにこの人だけ映ってないの?
↑ヘザーはそんなイケメン転校生ロビーと仲良くなろうとするが、ヘザーのことが好きな不良少年たちがからんできて取り合いの喧嘩に発展。私はこの手の青春恋愛映画は普段全く観ませんが実によくありそうなテンプレ展開。それだけに個性的な頭にばかり目が行きます。しかしよく見るとTシャツの後ろだけズボンの中に入ってたり、姿勢が変だったり、サイコキネシスで不良少年をミンチにしたりと色々おかしい。
↑高校生の恋愛劇というのも、たまに見ると瑞々しい感性を刺激されますですね。
などと心にもないことを言いたいところですが、いくらなんでも高校生に見えないにもほどがある。髪型のこだわりは強そうなのに服装は妙にてきとうなのも気になる。モテモテサイコキネシス悪魔少年というよりはコマンドサンボとか柔道で無慈悲に敵を叩きのめしそうな殺人マシーン的ビジュアルではないですかね。
いずれにせよ悪魔とか悪霊の気配が全くしないのですが、なぜかクリスチャン・スレイター神父は彼のことを悪魔だと決めつけ、刑事に対して「奴は地球を大混乱に陥れる強大な悪魔だ。私を信じろ」などとサイコっぽい表情で強く主張しまくり、娘を守りたい一心で目が曇った刑事はそれを信じてロビーを追いつめて行きます。
神父「奴は悪魔だ」刑事「どうやって証明するんだ?」神父「カマをかければ正体を現すだろう。そしたら殺せ」いや、少しくらい祓おうとしてやってくださいよ。
ロビーは悪魔憑きじゃなくて悪魔そのものだから祓わないってことですか?
「新エクソシスト」というより「新オーメン」の方がまだいい邦題だったのでは?
…まあそんなジャマが入りまくるせいで逆に彼らの恋愛はより一層盛り上がりラブラブになっていくが、最後の方で意外な真実が明かされ悲劇的な事件が起こってしまい…という感じで、見た目に反して人間ドラマ的には大したインパクトは無いものの特別クオリティが低いというわけではなくボチボチ観られるレベルの作品ではあります。真面目に作ってあります。
しかし、誰が得をする映画なのかは全く見当もつきませんでした。