製作:2018年アメリカ
発売:ソニー・ピクチャーズエンターテインメント
仲良し女子高校生4人組はある日、インターネット上で拡散されていた「スレンダーマン」を呼ぶ呪いの動画を見てしまう。それから彼女たちは半信半疑ながらも奇怪な悪夢に怯えて過ごしていた。そしてある日、一人が突如失踪。スレンダーマンの仕業なのか?
「
ザ・ミッドナイトマン」や「
バイバイマン」などと同系統の、ネット社会における都市伝説をテーマにしたティーン向けライトホラー。
スレンダーマンって何だと思ってとりあえずwikipediaを見てみたら、発祥というか考案者が明確なうえに記事がやたら長くて詳細でした。考案者がガッチリ著作権を握って商売しているというのが笑えます。そんなものをどう恐がればいいのか分かりませんが、アメリカでは実際にスレンダーマンを信じてしまった12歳の少女が殺人未遂事件を起こしてしまったとのこと。デジタルネイティブにはそんなに説得力のある存在なんですかね。
本作、序盤の不穏なムードはボチボチ悪くはないんです。けど失速するのも早い。
女子高生4人組が好奇心からスレンダーマンを呼び出す儀式をしてしまうという超定番な導入なんですが、ネット動画を再生しながら特定のタイミングで目を開けるだけ…というかつてないお手軽さ。呪いの動画は「リング」チックな不気味さを出そうと頑張っている感はあるものの、今更20年前の劣化コピーをやられてもという気はします。
こういうのはある程度の手間暇をかけてこそ「やっちまったかも…」という説得力が生まれると思うんですよね。ミッドナイトマン召喚の儀式は結構めんどくさそうでしたし。
↑お分かりいただけるだろうか。
スレンダーマンの不気味な姿を…
どうやら子供を誘拐するのが主な目的らしいですね。
そして彼女たちのうち一人が失踪し、残った3人もスレンダーマンの幻覚に怯えるようになるのであった…
…ってまた幻覚メインなのかよ!
と文句を言いたくなるぐらい、最近のインターネット・オカルト系アメリカンホラーには幻覚を見せられてばっかりです。
「〇〇マンに追い詰められた!やられた! → 幻覚でした」をひたすら繰り返しまくるといういつものパターン。
普通に殺ってくれ。
それとも怪人は人間の脳内にいるのだ…というメッセージですか?
だとしたらそこをもうちょい突き詰めてほしいが…
いかなる超常的恐怖シーンが出てこようとも、どうせ幻覚だろ…と分かり切ってるために怖がりようがない。そのうえ、その恐ろしい幻覚もやたらチープでむしろ笑いを誘ってきます。主人公が彼氏とイチャ付いてる時のアレとか妹が病院に担ぎ込まれた時のアレとか、あまりにも陳腐でダメダメすぎてビックリです。逆にある意味そこが本作の見どころとさえ言えます。
本作のピークは仲間の一人が失踪したあたりで、その後はどうにもこうにも「なんもやることねぇや」っていう製作者の愚痴が聞こえてきそうなほど、ストーリー性も謎解きもなんもないです。幻覚で時間稼ぎしてるだけなのが痛すぎる。
この手の映画では主人公がオカルト否定派っていうのは珍しかったし、ヒントをくれる謎のチャット相手の正体とか失踪者の父親とかもう少し膨らませられそうな要素はぽつぽつあったはずなのになあ。
あと、スレンダーマンから逃れるにはあるものを捧げる必要がある…という設定。
その辺が何だかウヤムヤになるのも勿体ない。てっきり最初の失踪者は友達を助けるために捧げたのかと思ったんですが。
それでもスレンダーマンのビジュアルさえ良ければ短所はいくらでも帳消しに出来たんですが、正直そこさえもいまいち。暗くて見えんし。なんでこのキャラクターがそんなに広まってるのかも分からないぐらい魅力に欠ける。
ということで、「ザ・ミッドナイトマン」「バイバイマン」と比べてもかなり劣るクオリティであったと言わざるを得ません。せいぜい「
THAT/ザット」とどっこいどっこいかも…って感じでしょうか。
まあ残酷シーンの類も一切ありませんし、10代前半の少女が集まって鑑賞する分には適度に騒げて悪くないのかもしれません。