その招待状が届いたら、“あれ”が来る
原因不明の突然死を遂げた親友の携帯から、謎のアプリへの招待状が届く。
“あれ”は、アプリを使用した者にだけに見える。“あれ”は、どこにでも現れる。
“あれ”に狙われたら、決して逃れることはできない―。
“あれ”が見えたら、あなたも終わり。大ヒット作『IT/イット』に続く、トラウマ必至のショッキング・ホラー!
(ニューセレクトHPより)
さっそく出てきました、大ヒット作「
IT/イット “それ”が見えたら、終わり」のパチモンです。いくらなんでもジャケット似せ過ぎですね。
これは確実に間違えてレンタルしちゃう人続出だと思います。なんてアコギな商売だ(でも好き)
とはいえ、原題は「BEDEVILED」なので本国では別にパチモンのつもりで作ったわけじゃないだろう?と思ったら内容的にもバッチリ「IT/イット」に便乗する気満々の類似作でした。
高校三年生の仲良しグループの一人、ニッキという女の子が原因不明の心臓麻痺で死亡。ところが、死んだはずのニッキから「ビー・デビル」というスマホアプリの招待状が彼らに届き、それから怪奇現象が…
という話です。
呪われたアプリが拡散する、という内容なので初めは「リング」系統の話かな?と思いましたがスマホアプリはビデオよりもはるかに進化したハイテクぶりを見せつけてくるので、ここまで来たらもうリングの亜流とは全く別種の味わいを持ったホラーになっていました。
私は使ったことありませんが「SIRI」みたいな感じで、
このビーデビルというアプリも使用者と会話ができます。
まあこれは悪魔なんですが、主人公のアリスを始め高校生グループは
特にこれを不思議に思うこともなく普通の人工知能会話アプリの一種だと
認識して活用しようとします。
周囲のピザ屋を探したり、家電製品を操作したりといったことが全て音声のみで可能ということで一昔前ならSFでしかなかったことが現代では当たり前。ジョークを交えた雑談すらも普通にこなします。
とはいえこのアプリの正体は現代に合わせてハイテクも駆使するようになった悪魔なので、素直にピザ屋を探したり楽しい会話はせず、いきなり暴言を吐いて来たりもします。
そして結局この悪魔は「使用者が最も恐れるもの」を具現化して襲ってくる。
という、「IT/イット」のペニーワイズそのまんまなことをしてくるわけです。
で、主役の高校生たちが怖いものは、死んだ祖母だったり、ピエロだったり、テディベアのぬいぐるみだったり、親戚のおばさんだったりするんですね。
そんなもんが怖いだなんてカワイイ奴らですね。
本作での恐怖の煽り方は、それらがいきなりドギャーンと現れる。というだけです。
まあ…ビックリはしますが、怖いわけありませんね。
こんなばあさんがシャカシャカ愉快な動きで迫って来てもね…
しかも対象を殺すシーンすら一切なく、ドギャーンと現れた直後にカメラが切り替わり、
その後死体を発見するシーンになるだけ。異常なほど健全なホラーです。
かと言って駄作と切り捨てるには惜しいくらい丁寧に作ってはあります。
↑の黒人が周囲を怖がらせないために、クラシックの口笛を吹く。というクセをちょっと効果的に使っていたり、わりと細かいところまで気遣いの行き届いた演出は悪くないです。
映像的にも編集のつなぎとかもB級以下特有の、あのテキトーな感じは一切ありません。
正体を現した悪魔の姿など、いい大人の鑑賞に堪えうるホラー映画だとはとても思えませんが、ティーンエイジャーがキャーキャー騒ぎながら観る分にはそこそこの良作と言っていいのではないでしょうか。
「IT/イット」と間違えて借りてしまった人にはお気の毒でしたと言うほかありません。