製作:2017年アメリカ
発売:AMGエンタテイメント
親友と恋人を連れて古い屋敷に越してきた大学生のエリオット。これから楽しい学生生活が始まるはずだった。しかし引っ越しパーティの夜、古いナイトテーブルに刻まれた「バイバイマン」という文字を見つけてしまう。それは口に出すどころか考えるだけでも死に至らしめられる恐るべき怪人の名前だった。
「『名前を知る=死』という過去最高に生き残る難易度の高いホラー」
…とか言われてますが、難易度が高いっていうか普通に絶対無理ですよね。考えるなと言われれば言われるほどそれが思い浮かんでしまうもんですしね。本編中でもバイバイマンのことを知ってしまった人は四六時中そのことばかり考えていました。抵抗するだけ無駄と言った感じです。
私は頭をぶん殴って無理やり記憶喪失になるエンディングかな~とか予想してましたが全然違いました。
主人公のエリオットは恋人と親友の3人で古い屋敷に引っ越してくるわけですが、その屋敷のだだっ広いことと言ったら…。私が学生の頃に住んでいたアパートの部屋など、この屋敷のトイレより狭いぐらいでしたよ。今は2LDKに住んでますが、それでも彼らの寝室の方が広そうなくらいです。しかもそれぞれ自家用車を所有してるし、裕福な学生もいるもんだなあと。そのうえ引っ越してきた日に大勢呼んでホームパーティを開いて踊り騒いでいるし。要するにリア充、パリピというやつです。
ただ、主演のダグラス・スミスという人が「
アンチヴァイラル」でアレな顧客を演じていたこともあり、いくらリア充を気取ってもどうも最初から病んでる風に見えてしまう気もしますが。
まあ、そんないい御身分の方々が卑怯臭いほどに無敵すぎるバイバイマンによって地獄に叩き落とされる様子を見て爽快感を味わえ、というタイプのホラー映画なんでしょうね。
…と思ったんですが、このバイバイマンという怪人は直接手を下さないタイプの脅威でした。
被害者は恐ろしい幻覚を見せられ、気が付いたら周囲の人を殺してしまっていた…というやり口。なので、エリオットたちが「恐ろしい光景を見る→幻覚だった…」というパターンを延々と繰り返すコケ脅し恐怖シーンが続き、事情を知らない人にはヤク中扱いされてしまう…という、個人的には非常に萎える展開が中心です。
バイバイマンの謎を探るサスペンス展開も、まずはググる。最近のホラー映画の主人公はみんなグーグルに頼りすぎ!そりゃ検索もしたくなるでしょうけど、検索結果がゼロ件だったからといっていちいち絶望しないでほしい。何でもかんでもネットで解決するわけではない。
そんな感じで確かに彼らは充実した学生生活から一気に地獄へ叩き落とされますが、爽快感があるかって言ったら全く無い。やっぱり幻覚じゃ駄目ですね。頼むから直接襲って来てほしい。
↑近年のホラー映画では当たり前のように最新デジタル機器に対応済みのオカルト怪異。名前を知られた人のスマホの中に、こっそり自分と愛犬の写真・動画を忍ばせるというお茶目さ。
それはいいのですが、本作にはバイバイマンが何者なのかという掘り下げは全くありません。バイバイマン自身が何かをするということもほとんどありません。何でもいいからもうちょい何かしてほしかったね。これは激しく物足りないと言わざるを得ないですよ。
そんな何もしない奴をどうしてあれほど恐れる必要があるのか?
…というのもあるし、結局のところ彼らはただ幻覚を見ているだけなので本当にバイバイマンなんて超人レスラーみたいな名前のオカルト怪異が存在するのかも本来曖昧なのではないか。
ホラー映画の怪人ならもうちょっと自己主張してもらわないと、人気は取れないでしょう。
見た目もピンヘッドからピンを抜いてしまったような印象の薄さでしたしね。てっきり連れてる猟犬が人を襲い喰らうシーンがあるのかと思ったら死体をちょっとかじるだけだったし…。
全体的にホラー映画初心者向け、または中高生あたりがお泊り会の時に適当に怖がる分には悪くないかなという感じのぬるま湯ホラー映画でした。