幼い娘を誘拐されて2年、失意のどん底に陥った夫婦が
人里離れた森の一軒家に隠遁したところ、
宇宙人からの信号(ショートウェーブ)に共鳴してしまい
妙な幻覚を見て精神がおかしくなってゆく…
という感じの低予算SFホラー映画です。
多分アホにはわからん映画です。
つまり私には何が何やらわかってません。
ジャケットには、この手のちょいアート的低予算ホラーではおなじみの
「シッチェス・カタロニア映画祭」をはじめとして
なんたら映画祭なんとか賞ノミネートだの正式出品だのと
モンドセレクション銀賞みたいな勲章をずらずらと並べ立ててありますがこれは
あの黒魔術マニア専用映画「
ドント・イット」
のジャケを思い出してしまいちょっと警戒したくなるところです。
しかもよく見るとあれと違ってほとんど受賞していません。
大半が出品してるだけです。
とはいえ学習能力というものをどこかに置き忘れてきた私は
しっかり新作料金500円を払って本作の鑑賞に臨んだのですが、
果たして本作はあの「ドント・イット」とかなり似たような感覚を
もたらしてくれる難解でマニアックな映像作品でした。
かたやアブラメリンの黒魔術、かたやSETI(地球外知的生命探査)とテーマはだいぶ違いますが、子供を失った母親が人知を超えた存在とのコンタクトをとるために、人里離れた一軒家で何やかんや意味不明なことをする。
という基本構造はやっぱり似ています。
どっちもその一軒家から全然外に出ないし。
しかし本作はセリフがかなり少なく、思わせぶりな幻覚やフラッシュバックだけで
「言葉にしなくても、何となく分かるでしょ?」
と語りかけてくるかのような見せ方。
…いや、わからんから。
そのうえ怪電波を受信しておかしな幻覚を見まくっている妻イザベラが
夫ジョシュとヒステリー全開で喧嘩したり、壁を殴ったり、
パーティ中にいきなり発狂して人を刺したりと
観ていて不愉快になるシーンばかりで辛くなってきます。
何というか、娯楽的要素が一切ない。
何でお金払ってまで辛い思いをしてるんだろうと憂鬱な気分になりました。
加えて静かな場面でいきなりデカイ音、耳障りな金切声をあげるなど
ビックリホラーな演出でとにかくこちらの神経を逆なでしてきます。
時おり真っ黒なエイリアンらしき姿が映り込んだりしてきて、
そこはなかなかの恐怖感を出せておりSFホラーとして優秀かな?
とちょっとだけ思えなくもありませんが、
終盤まではひたすら思わせぶりなだけで何も起こらないので
盛り上がるような場面も何もなく、非常に退屈な思いをしました。
単なるクソ地雷映画だったか…
こんなのに新作料金出してしまったか…
と嘆きながら鑑賞していましたが、
ラスト15分になって本作はようやく色々と爆発します。
SFホラーっていうか完全に心霊ホラーを観ている感覚に陥りますが、
この際どっちでも良いです。
今まで起こった出来事の何から何まで実はとある人物の陰謀だったとか、
エイリアンと共鳴しすぎておかしくなったイザベラがそいつを懲らしめるためにすげえ怖いビジュアルになったりとか、低予算なりになかなか良い感じに不気味で気持ち悪い映像を見せてもらえます。
そうそう、こういうのでいいんですよ。
幸せ絶頂だった頃の思い出もついでにフラッシュバックさせることによって
何となく哀愁を誘う感じになっているのも一つの工夫として楽しめます。
それまでの展開でこの夫婦にちゃんと感情移入できるようになっていれば
もっと良かったんでしょうけどね。
映像的にちょっと面白いものが観られた、という以上の満足感は得られませんでした。
…ただ、本作にはサメ映画ファンにはおなじみのサラ・マラクル・レインさんが
脇役で出演していまして、彼女の出演シーンだけはちょっとテンションが上がりました。
この人は何だかすごくブサイクに見えることもあれば大変綺麗に見えることもあるというよく分からん味のあるお顔をなさっており出番が少なくともなかなかの存在感があります。
「
シャークトパス」や「
処刑鮫」が好きな方なら本作も一応チェックしておく価値があるかもしれません。