アルバトロス系列では最も地雷率が…、というか、Z級映画率が高いと思われる
プライムウェーブ・レーベルから発売の新作。
「ブレードランナー2049」のパチモンこと「ディストピア2049」です。
先月は「
インデペンデンス・デイ2018」という大型地雷を踏み抜いてしまったので
本作を新作で借りるのはやめておこうかな…とも考えたのですが、
今月は目ぼしい新作タイトルが少なすぎるのでやむを得ませんでした。
2018年5月は新作サメ映画もモンスターパニック映画もろくにないという寂しさ。
「SEA」とかいう組織が「平和維持者」というサイボーグみたいな兵士を
使役して市民を管理する社会。
そこで反逆者としての烙印を押され、追われることになってしまった
兄妹の戦いを描いたSF映画です。
さてどんなZ級映画かな?
と覚悟を決めて鑑賞しましたが、意外にも映像的には充分B級と言っても良いクオリティの作品でした。なので本作はまずまず普通に楽しめる領域にはある映画で、
個人的にはそれだけでも新作料金を出しても後悔無し
と言えます。プライムウェーブさんありがとう…いつもおもしろい映画を配給してくれて…。
武装したサイボーグ兵士「平和維持者」がそこら中に配置され監視されている街でのこと。
犯罪は劇的に減り、それを歓迎する声も少なくなく、「SEA」は州から全国に、その勢力を順調に伸ばしつつある近未来。(でも多分2049年ではない)
しかし問題が一つあって、
それはこの平和維持者がとてつもなく弱いということです。
本作にはコメディ要素などカケラもなく、完全シリアスな作風ですが、
このサイボーグ平和維持者は、なんと主人公ジーンがフライパンで2回殴っただけで死にます。
また、やたらメタリックな重装備で、特にヘルメットなんかはいかにも銃弾などはじきそうに見えるというのに
ただのハンドガンでも普通にどこでも貫通するので1発撃たれるだけで当然のように死んでしまうという尋常ではない脆弱ぶり。
おまけに射撃の腕もからっきし、重装備(笑)のせいか動きもトロい。と見事に何も良いところがない。
つまり彼らはビジュアル的には一番目立つ存在ですが、その実態は単なる糞ザコです。
それに対して、ジーンの兄ショーンの方はただのオッサンのはずなのに、
銃弾を腹や胸に受けてもちょっと痛がるだけで何ともないし、
後ろからいきなりナイフで深々と脊髄近くをブッ刺されても
ピンピンしているという謎のスーパータフネスを見せつけます。
実はこっちの方がロボかレプリカントだったんだよ!
という伏線かと思いましたが別にそうでもなさそうでした。
平和維持者などという糞雑魚はたとえ銃を持っていようとも、彼ら兄妹に軽く蹴散らされてしまいます。
そんな超人兄妹が、「SEA」に対抗すべくレジスタンス組織と合流して何やかんやするんですが、まあ裏切りとか意外な真実があったとかそれなりに山あり谷ありで
冗長とはいえ何とか楽しめないこともないです。
しかし本作の本当の見どころは、そんなかったるいストーリー展開ではなく、
まして平和維持者のアクションなどでもなく、
無駄に力が入りまくったスプラッター描写でした。
「人体解剖学の授業だ」とか抜かして明るいロックミュージックをかけながら
電動ノコギリで意味も無くオッサンをバラす変態野郎。
コイツが何者で、何のために出てきて、どうしてそんな鬼畜的所業をやらかす必要があるのか
全く分かりません。あとそのふざけたフェイスペイントとドヤ顔は一体何のつもりなのか?
これにはダリオ・アルジェント監督の「インフェルノ」において何の脈絡も無く
ホットドッグ屋のオヤジが突然殺人をやらかす場面を思い出してしまったくらいです。
でも後で考えるとこれは本当に文字通りただの「授業」だったのかもしれませんね。洗脳して平和維持者になるためのね。
直接人間を切り刻むところは見えませんが、過剰に撒き散らされる血糊と臓物がまあまあの気色悪さを演出してくれてました。
クライマックス近くではさらにパワフルなスプラッターシーンが出てくるので
苦手な人は要注意です。低予算に見合わぬ過激な人体損壊を鑑賞させてもらえます。
と、いうことで「ブレードランナー2049」と間違えて借りてしまった人は
無駄にレベルの高いグロシーンで苦しむ羽目になり、
普通にB級SF映画を期待して借りた人もやはり同じ目に遭うでしょう。
かと言ってスプラッター映画マニアがそういうつもりで鑑賞しても、
102分という長尺の中にそういうシーンが大量にあるわけでもないのでやはり物足りなくて苦しい。
そこまでつまらないわけではないんですが、
いや予想していたよりはだいぶ面白かったのですが、
どういう層をターゲットに想定しているのかが全く分からん映画でした。
多分「やりたいことは全部詰め込んでやったぜ!」的なノリで撮ったんでしょうね。