ある好事家の記録 主に変な映画の感想

変わった映画を見つけたらそれを語りたいブログ。  主にモンスターパニック映画、特にサメ映画の感想が多め

ドント・イット 感想  ”それ”がやって来たら、終わり




2日連続で「IT/イット “それ”が見えたら、終わり」のパチモン鑑賞。
というだけではなく、実は本作は「ドント・ブリーズ」のパチモンも兼ねた、
ハイブリッド・パチモンに仕立て上げられたアイルランド映画です。
ちなみに原題は「A DARK SONG」で、中身は「イット」とも「ドント・ブリーズ」とも全く似ても似つかない魔術映画です。ホラーかどうかも怪しいぐらい。


ジャケットには何やら
「シッチェス・カタロニア国際映画祭作品賞受賞」
「ポルト国際映画祭監督賞受賞」
「モンスターフェスト作品賞受賞」
「サスカトゥーンファンタスティック映画祭作品賞受賞」
などなど、モンドセレクション金賞みたいな勲章が過剰にトッピングされております。
おまけに「99%の批評家が熱狂」(ロッテントマトのこと)。
これは期待出来ますね。


“それ”がやって来たら、終わり。
息子を殺されたソフィアは、黒魔術を使って犯人たちへの復讐を企てる。オカルト信仰者のソロモンを雇い、儀式を行おうとしていたソフィアは、彼を家まで連れていく。しかし拷問のような儀式は半年間にもおよび、もし失敗すれば何者かに魂を奪われるという大変危険な賭けだった……。
(アメイジングD.C.HPより)




主人公ソフィアは、殺された息子の復讐のために黒魔術に手を染める。
というのは実は後半で明かされることで、それまでは単に「死んだ息子に会いたい」という体で話が進みます。
進みます、というか本作は1時間40分ぐらいの尺ですが、そのうち1時間20分ぐらいはソフィアと黒魔術専門家のソロモンの2人による、超絶リアリティあふれる黒魔術儀式の描写に費やされます。
黒魔術オタク以外の人は何を楽しめば良いのか全く分からんレベルで濃密な黒魔術儀式を観せられますのでその手の人以外にはかなり苦しい1時間20分となるでしょう。



「アブラメリン」「カバラ」「セフィロトの樹」といった謎ワードが何の説明も無く駆使される、という異常に難解な会話が繰り広げられるため、本気で本作を楽しもうとするならば謎ワードが出てくるたびに一時停止してネット検索して意味を調べる必要があります。

ちなみに私はあとからまとめてウィキペディアで調べてみましたが、
「アブラメリン」とは魔術書グリモワールの一種で、世俗を忘れて心身を極限まで清めて6か月間隠遁生活をしながら懺悔や祈りをこなすことで守護天使に会える、というものだそうです。どうやって復讐に使うんでしょうね。
まあつまり本作はそのアブラメリンの儀式を1時間20分かけてお見せしてくれる趣旨の映画ということですね。




↑なんかちょっとうまくいきかけてるシーン。



しかし、このソフィアと、専門家であるヒゲのおっさんソロモンはなんか妙に短気で、突然ブチ切れて暴力を振るったりバケツで水をかけたりナイフで刺したりとかなり情緒不安定です。
そもそもアブラメリンの儀式とやらが、ソロモンの体毛を綺麗に剃ったり(でもヒゲは剃らない)、ソロモンの血をソフィアに飲ませたり、6日間糞尿垂れ流しで石を見つめたりといった内容。
心身を清める、と言って禁酒、断食、性的欲求も断つ、と徹底しているわりにはタバコだけはやたらプカプカ吸いまくり。魔術的にはタバコは許容されてるのか?

こんなの私のような無宗教者にはただのサイコな行動にしか見えないので2人の情緒不安定さや弦楽器をキーキーかきならす不協和音的BGMと相まってかなり不気味な光景に見えます。
クライマックスよりこっちの方がサイコホラー的恐怖を味わえるくらいです。



一軒家で出演者もほぼ2人だけ、と貧乏臭くはあるものの、演出的にはある種の格調高さすら感じなくもない映像ではあります。が、いい加減ウンザリしたソフィアが儀式のルールを破ってしまい、いよいよ超自然的な現象が起きてくる…と一気にC級映画化。
ものすごい安っぽいゾンビみたいなのが徘徊し出すシーンは別の意味で絶望に打ちひしがれることになるでしょう。
どんなすごい天使や悪魔を見せてくれるのかと期待してたらこれか…とね。


とはいえ、最後の最後に出てくる「守護天使」には何とかこの世ならざる神々しさのようなものを感じられなくもない。
という点において、まあ一応ソフィアにも視聴者にも救いはあったとも言えます。
「”それ”がやって来たら終わり」なんて煽ってましたが、これはむしろ始まりでしたね。
ジャケットみたいなバケモノなんて出てこないんすよ。
「モンスターフェスト作品賞受賞」って一体何なの? モンスターなんていたか?



他にもソフィアの大事な持ち物が無くなっていたとか、ソロモンが「電動自転車を持っている夢を見るんだ」と言って2人で爆笑してるくだりとか、息子との写真を破いたりその後ゲロの中に埋まってたりとか、とにかく意味の分からなかったシーン山盛りでした。私の映画鑑賞スキルが低いだけですかね?

「アブラメリンの儀式」の映像化、と聞いて興味を抱けるような黒魔術マニアの方のみご鑑賞ください。

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岩石入道
性別:
男性
自己紹介:
B級~Z級映画が主食。ホラー、モンスターパニック系が特に好き。目についたサメ映画全てチェックしたい
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