半分サメ、半分タコのハイブリッドモンスター「シャークトパス」
見た目も名前もインパクト抜群なのでC級クソサメ映画の中では規格外の知名度と人気を誇る一作です。レンタル開始当時に鑑賞済みですが忘れたので再見しました。
この手のC級映画ではお馴染みのエリック・ロバーツや「
処刑鮫」にも出ていたサラ・マラクル・レイン等、出演者は見覚えのある顔が多く、「豪華キャスト」と言っていいのか分かりませんが多少の安心感はあります。
本作は1984年のイタリア映画「ジョーズ・アタック2」(別名:死神ジョーズ戦慄の血しぶき)のリメイク作品でもあるらしいのですが、タコザメというアイデア以外は何一つ共通点がありません。まあ「ジョーズ・アタック2」は15年くらい前に一度観たきりですが、タコザメがほとんど姿を見せてくれず、退屈すぎて何度も意識を失いかけたせいもあって内容をほとんど把握していませんが多分そのはずです。「ジョーズ・アタック2」もDVDは持っているのでそのうち再見したいと思います。
で、本作のストーリー概要ですが「エリック・ロバーツが海軍の依頼で開発した生物兵器シャークトパスが暴走したので捕獲しようとしたが無理なのでやっぱ殺す(+父と娘の絆)」という、多用されがちなあっさり風味のテンプレートの一つをなぞっているだけなのでそれ自体には何のインパクトもありません。端役の会話もかなり無駄に多い。だから眠たくなるしすぐ忘れるんですよね。
しかし、本作はいよいよ眠くなりそうなタイミングで目覚まし効果抜群、インパクト絶大な容姿を持つシャークトパスが現れて適当に暴れるシーンが挿入されるので寝落ちする心配はございません。
「ジョーズ・アタック2」ではCGが無い時代だったせいでロクに姿を見せることが出来ませんでしたが、2010年代の今、C級映画でもこんなややこしい姿のサメモンスターを存分に見せつけることが出来る。CGって素晴らしいですね。C級クソサメ映画という一つのジャンルの中で本作が頂点に近いランクに位置することに異議を唱える人は少ないでしょう。なぜならシャークトパスが暴れるシーンを出し惜しみしていないからです。質感は今一つなものの、動きに関しては奇跡的なほど出来が良い。この手の映画はそれが最重要ポイントです。
タコとサメが合体したから何なんだよ?
と思っちゃう方もいるかもしれませんが、サメがタコの触手を手に入れたことにより、活動範囲が陸地に広がっただけではなく襲い方のバリエーションが無限大に広がりました。船に乗っているのに上から喰いつかれるという、荒唐無稽極まりない珍シーンですら無理なく説得力のある描写で映し出すことができるのです。安全圏にいると思って油断した人間を長い触手で貫いて口へ運ぶなどという反則技も多用します。ただまあ、人が喰われる描写についてはいまいちソフトすぎて物足りなさが残る面は否定できません。
殺傷力満点の鋭い触手を振り回して襲ってくるシャークトパス。
何だかサードパーソン・シューティングゲームのような絵面が多いですが、
同じような高さの目線から襲ってくるサメに対してはおそらくこういう構図が映えると判断されたのでしょう。
シャークトパスと戦うステージもまるでゲームのように分かりやすく移り変わっていくのでもしかするとヒットしたらゲーム化しようなんて野望を持って作られていたのかもしれません。
サメ成分は必要だったの? これただの巨大タコモンスターでも映画が成立しない?
と思われるかもしれません。実は確かにその通りです。しかし、純粋なタコ映画なんて「オクトパス」ぐらいしかないので、そもそもジャンル映画として成立していません。本作を鑑賞する際はあくまでもサメありきの企画であることを理解してからにしましょう。
まあこんなブログに来るような人なら本作はだいたい鑑賞済みだとは思いますが、もし未見であるならば、期待のしどころを間違えなければかなり楽しめるC級クソサメ映画なのでぜひご覧になってみてください。