「ドルフの屈強な肉体に、果たしてサメは歯が立つのか!?」
サメ映画の煽り文句として、サメが挑戦者側というのは非常に珍しい。
…シャークネード5にドルフ・ラングレンが出ていたので
こっちも観てみました。
邦題に主演俳優の名前まで入れちゃうというのは、
そうまでして役者の名前をアピールしないと誰も観てくれない
と思われているわけです。つまりハズレ率が高い。
…しかし、ラングレンやヴァンダムの場合はもともと「当たり自体が無いようなもの」(※)なうえに
サメ映画も大概ジャンク品ばかりなので、何気にこれは最悪の食い合わせ。
下手に手を出すと食当たりを起こしてしまうでしょう。
(※私はラングレンもヴァンダムもDVD集めてたぐらいのファンです)
おまけに原題は「SHARK LAKE」です。
湖にサメが出没する映画はなぜか大量にありますが、
海に出るよりつまらない傾向である気がします。
不吉な予兆がいくつもある…これは逆に凄いものが観られるのでは!?
…しかし、そんな私の期待も虚しく、わりとまともな作りの映画でした。
これは「主演:ドルフ・ラングレン」とか言いつつ実質は婦人警官役のサラ・マラクル・レインという方が主演だったからでしょう。ラングレンの出番は思ったよりだいぶ少なく、アクションシーンもほぼ皆無です。
ちなみにこの婦警役の方、
シャークトパスなどにも出演しておりサメ映画が好きなようです。サメに関わらなければもっと上を目指せる人材だと思うのですが…
まともと言っても見どころがないわけではありません。
最初の犠牲者が出るシーンからしてかなりおかしく、ヒザ下ぐらいの水深しかないところで襲われます。
サメ映画というと無駄にメガロドンを出したがるように、巨大さをウリにしたやつが多いものです。もしもこのシーンがスタッフのボケでやらかしてるわけじゃないとすると、かなり小さいサメと思われます。…もしくは空を飛ぶやつ。
まあこれくらいはネタバレしてもいいでしょうから言っちゃいますが、
サメは小さいやつも大きいやつもいて、計3匹の親子でした。
CGはかなりショボイです。
特に水面から出てる背ビレはおもちゃにしか見えないヘッポコぶり。
全体像も、ヘッポコだけならまだしも、何か妙に丸っこくてぬいぐるみのようにカワイイです。
人間ドラマの部分に関してはシリアスに出来ているのに、いざサメが出てくると途端にコメディの空気になってしまうところにサメ映画としての業を感じます。
サメもサメですが、この映画のドルフ・ラングレンはかなりアレな人です。
まず自宅に6回も無断で侵入されています。約90分の映画なので15分に1回はそういうシーンが出てくるわけで、やけに多く感じます。
外出する時でも一つもカギをしないのが当たり前のようですが向こうの田舎はそれが普通なんでしょうか。
おまけに湖にサメを放っちゃったのはドルフ・ラングレン自身です。身から出た錆だった…
年老いてからのラングレンは大したアクションをやらないイメージなので、
今回も武器を使って適当にサメを仕留めて終わりなんだろうな、と思ってましたが
なんとクライマックスは水中でサメと素手で格闘します。
「果たしてサメは歯が立つのか!?」とか煽るだけのことはありました。
と言っても大して強いサメでもないんで、そのまま素手で倒しきってほしかったところですが、
妙に真面目な映画なのでそこまではしませんでした。
ただサメに噛みつかれまくって重傷を負ったはずなのに誰にも全然心配されないところを見るとやはりあの屈強な肉体にサメの歯は立たないようです。
しかしこの映画で一番印象に残ったのは、婦警さんのワガママに散々振り回されたあげく食われてしまった学者さんですね。いい人だったのに。マスの交尾を調べに来ただけだったのに。食われてもすぐ忘れ去られてるのが最高に哀れでした。
トータル的に見ると、ドルフ・ラングレン出演作としても、サメ映画としても、
平均よりちょい上ぐらいの出来でした。
ドルフ・ラングレンもサメも両方大好きだ、という奇特な人ならば結構楽しめるでしょう。