製作:2013年アメリカ
発売:アットエンタテイメント
ラスベガスへ遊びに来ていた若者グループ。ギャンブルにプール遊びにと羽目を外していた彼らは、カジノに展示されていたトトメス三世の宝剣に興味を持ち、盗み出してしまう。
すると古代エジプトの呪いが解放され、ラスベガスを激しく襲うのであった。
いやいやいや、何ですかこれ?
自然災害としてのメガ竜巻が襲ってくるタイプのディザスター映画かと思って観たら、全然違うじゃないですか。マグロの刺身かと思って食べたら実は羊羹だったぐらい違うじゃないですか。
「メガストーム」だなんてありきたりな邦題を付けてる場合じゃありませんよ!
原題は「ブラストベガス」みたいだけど、そっちの方がまだいいと思う。
にしてもアホな学生がカジノから古代エジプトの宝剣を持ち出して地面に刺したら呪いの暴風砂嵐が!!っていくらなんでも斬新すぎますね。思わず「は?」って声出ちゃいましたよ。
序盤で若者グループが展示されていた宝剣を見つけてあーだこーだ話してる場面があるわけですが、どうでもいいシーンだろうと思ってスルーしてましたからね。まさかそれがメイン素材だったとは…
知能指数が低い映画はいくらでもありますが、ここまでのは滅多にないですよ。こんなアイデアが出てくるのも変だし実現するのも頭おかしい。一周回って高度なテクニックのような気がしてくるぐらいです。
↑で、砂嵐がラスベガスの街をビシバシ破壊していくわけですが、どっかで飼われてるトラが脱走しちゃったりなんかしてね。「砂嵐」だなんていまいち地味なメイン食材には柴漬けのごときアクセントを加えておこうという粋な計らい。メインと言いつつ合成感丸出しで安っぽすぎる砂嵐に対し、なぜかかなりリアルなトラ。クオリティ高すぎて逆に目を疑います。力の入れどころを間違いすぎてない? まあ、大したことは何もしないんですけどね。あくまでもアクセント。
それより何より、その辺の建物が爆発したりガレキが飛んで来たり人間など軽く吹っ飛んで行ったりするような猛烈な暴風砂嵐が吹き荒れているはずなのに、なぜか街路樹の枝葉はほとんど揺れていません。あとヒロインのお美しいロングヘアーも揺れず乱れず。砂まみれにもならず。
ヒロイン周辺だけ見てたら明らかにそよ風程度の好天気じゃないですか。他の人は吹っ飛んでるのに。なんとまあシュールな光景。
なかなかこれほどまでに、どうぞ突っ込んでくださいと言わんばかりの絵面を見せてくれるバカ映画もないですよ。そしていよいよ追いつめられたヒロインがちょっと凄んだだけでサッサと逃げて行くトラ。何だそれは。もうちょっと襲う素振りがあってもいいんじゃないか。CG班が力尽きたか。
クソ映画ソムリエをも激しくうならせる見事な展開と言わざるを得ません。
どうやったらトトメス三世の呪いを鎮めることが出来るんだぁ~と悩むバカ学生グループ、無駄に人数が多いんですが、気が付いたら残り4人になってたりします。あまりにも雑に死んでいくので気が付かなかった。で、呪いを解くためには伝説の通り三種の神器をお供えしなければ…という実に奇怪な展開。それが出来るのは伝説の勇者だけらしい。
もはやディザスター映画の雰囲気は微塵も無し。では何なのかと言われてもワカりません。もうジャンル分けすら不可能です。
そしていよいよ三種の神器を揃え、呪いは鎮まった…
かと思わせてからの、チンピラの襲撃。
本編80分しかないのに、恐ろしいほど露骨な尺稼ぎ。この終盤に来て今さらチンピラ1人に絡まれるとな。せめて前半にやっとけよって話ですよ。逆に凄い。読めない。
これぞ正に「面白いクソ映画」というやつです。
クソ映画が好きな人は是が非でも見るべき秀逸極まりないクソ映画です。
いや、普通の映画好きがうっかり本作を観てしまったらそのうち1%くらいの人がクソ映画マニアへと覚醒しかねない威力すら秘めたスーパークソ映画と言えるでしょう。いや、バカ映画と言う方が正しいのかな?
私の中では
「
スカイバウンド 大地消滅」
「
トラックス」
「
ジョーズ・リターン」
あたりに比肩するレベルのバカ映画として脳みそに刻まれました。
上の3つが大好きな方はご覧になる価値があるかと思います。
1. 無題
いただきました。読むだけで鮮やかに、シーンが眼に浮かびます!しかし、岩石さんのz級映画に対する情熱はすばらしい!
過去ログを全部見るのが楽しみです。
ではまた、旭川の雪はスゴい!
Re:無題
読むだけで鮮やかに「メガストーム」のシーンが目に浮かぶ、Z級映画への情熱に溢れる文章…
冷静に考えると、そんなものを書いて一体何になるのかという気もしてきますが、一部の人にでも面白がってもらえるのなら有り難い限りです。