11発の核爆弾が合衆国を直撃! 街は燃え、着陸する大地は消え去った…。
上空で孤立した無数の航空機と乗員たちの奮闘を描く、
スカイ・パニック・ディザスター超大作!
(トランスフォーマーHPより)
金持ち大学生5人のグループが、プライベートジェットで羽目を外しに行こうとしたら
アメリカ全土が核攻撃され、着陸することが出来なくなった。
というなかなか珍しいシチュエーションでの航空パニック映画です。
細かいことを気にしていたらこんな映画そもそも作れないよ!ザックリでいいよね!
と言わんばかりの猛烈に荒削りな描写とトンデモ展開が
好事家魂をツンツン刺激してくるB級快作でした。
これドイツ映画みたいなんですが、舞台も登場人物もみんなアメリカなんですね。
この映画、核爆弾が云々という以前に、まず金持ち学生しか乗っていないはずのプライベートジェット機に銃で武装した見知らぬオッサンが隠れていてハイジャックされる。
…というサスペンス要素がジャブ的に繰り出されます。
サイレンサーにレーザーサイトまでついたやけにプロっぽい銃で飛び続けることを要求するオッサン。
かなりの危険人物、というか面構え的にも完全に冷酷無比なテロリスト。
この後大した理由もなく副操縦士カイルのどてっ腹に風穴を開けます。
が、北欧神話の神オーディンと機長のマットによって取り押さえられ、
拘束…
されません。
?? ? ? ? ? ? ? ↑ どう目を凝らしても拘束されている様子がない。リラックスしている様子のテロリスト。
あれだけの凶行を目の当たりにしておいて、なぜに野放し?
これは一体どうしたことか??
全体的に超荒削りな本作においても、視聴者の100%が絶対に突っ込まずにはいられない謎展開。
しかも「エリック」とかファーストネームで呼ばれてるし、
なんかむしろ仲良さそうに会話してるようにさえ見えてきます。
撃たれたカイルも恨み言ひとつ言わないし。どれだけ心広いんだコイツら。
あまりにもトリッキーすぎる存在に、薬物による「幻覚」までもが疑われますが、
結局エリックは糖尿病の発作を起こして勝手に死亡。何だその設定。
彼は電子機器トラブルや核爆弾との関連も特になく、
あろうことか単なる引き伸ばし要員であったことが露見。何という脱力感。
無駄な重量物は燃料の浪費につながるということで死体も放り捨てられました。
たとえ尺が50分ぐらいになったとしても、最初からコイツを省いておけば良かったのに。
前半をなんちゃってテロリストで引っ張っておいて、
中盤でようやくアメリカが核攻撃されたことが発覚します。
邦題でもあらすじでも「大地が消滅する」と大げさに煽っていますが、
当然ながら別にどこも消滅していません。
しかし、アメリカ大陸は完全に放射能で汚染され切ってしまい、
もはやハワイへ向かうしかない。という結論が導き出されます。
まあそこに至る流れも激しくおかしいし、そもそもアメリカ大陸のどこに降りても即死級にヤバイという認識にちょっとついていけませんが。大丈夫な場所もあると思うよ。
しかしハワイまで行くには燃料が足りず、航続距離を延ばすには、
極限まで機体の重量を軽くするしかない!
ということで
「エンジンを一基切り落とす」なんて暴挙に出たのは目を剥きましたね。
もちろん飛びながら手作業で切ります。
並みの発想じゃありませんよこいつは…
しかも道具は小さい手斧だけ。
切れるわけねーだろ!…なんて常識に囚われているようでは、クリエイティブな発想力が育たないのでしょう。
私が平凡な会社員にしかなれていないのはその辺が問題なのかも…
これぐらいぶっ飛んだ脚本を書けるような脳みそを所有してみたいものです。
で、エンジンを切り落とした結果、何をどう見ても完全に墜落していましたが、
なぜかみんな身綺麗なままハワイの海岸に無事打ち上げられておりハッピーエンド。
何だそれスゲエ…
感嘆の声が漏れざるを得ない、見事な締め方でした。
ということで、映像的に派手なシーンはほとんどなくて地味な絵面の映画ではありますが、
発想力という点においては頭の中ディザスターパニック必至の豪快珍作です。
頭のネジを少々緩めたいなあ、という気分の時にオススメです。