B級映画の邦題にはよく西暦年がくっつけられていることがありますが、
それって正直好きじゃないんですよね。
一気に安っぽい印象のタイトルになっちゃうし(本当に安いとはいえ)、
何よりそれが賞味期限のように見えてしまいます。
本作の邦題は「キラー・ビー2013」(原題:DragonWasps)なわけですが、
どうしても賞味期限を5年も過ぎてしまった生ゴミのように思えてしまい、なかなか手を付ける気になれずしばらくそのまま発酵させていました。ちなみに本作のDVDはレンタルではなく購入してあったのですが、どこに買うほどの魅力を感じたのかと言えばやはりジャケットの
「ブン ブン ブォーン!!」
というどうしようもない煽り文句(?)にです。よくよく考えると、本作は例え賞味期限内だったとしても生ゴミのようなものかもしれません。私はさしずめそれにたかるハエかカラスといったところでしょうか。
本作は、あのマーク・アトキンス監督作…ではなく、脚本でした。
マーク・アトキンスと言えば、
サメの電気でロケットを発射したり、
サメを操る能力者同士のバトルを描いたりと攻めっ気のあるモンスターパニックを撮っている異才ですが、安定して100点満点中30点ぐらいの映画を出してくるB級映画職人でもあります。本作ではベリーズのジャングルでアメリカ軍と巨大殺人蜂が戦う内容なのかと思いきや、そこに何と食人族を絡ませるという試みが盛り込まれております。さすがマーク・アトキンス、当たり前の王道では満足しない男です。
というか、あんまりキラービーが出てこなくて
むしろアメリカ軍と武装した食人族との戦いがメインのような感じになっていました。
そして主演はまたしてもこの男、コリン・ネメック。
このエンカウント率の高さは一体何事なのか。
この人はヒーロー役にはちょっと線が細すぎるかなと思いながらいつも見ていますが、
本作では「オレは痩せているから食人族に喰われる心配は無い」などと痩身のメリットを語っておりちょっと笑えました。
キラービーは1mぐらいなので超巨大と煽るほどの大きさでもないんですが、
代わりに火を噴くという特性があったりします。
当然そんなサービスシーンはごくわずかしかありませんが。
ただ、他にも人体に卵を産み付けて幼体が食い破って出て来たり、
人間を捕まえて飛んで行ったりと安いCGの割には頑張って人を襲ってくれるのは大変良いです。良いのですが、あとで思い返すとハチなのに人を刺すシーンが一度もなかったような気がします。何か物足りないと思ったらそれか。それハチ映画では一番の基本なのに。
そういや
「刺すのはメスだけだけど、オスばかりでメスはほとんどいないわ」みたいな説明台詞がありました。何でわざわざそんな設定にしたのか全然分からんぞ。
「昆虫界ではオスよりもメスが強くて凶暴なの」なんて前フリ台詞もあったのに、弱くて刺さないオスばっかり出てくるハチ映画とは一体…
それだけではなく、当然ながらラスボスとしての「女王バチ」の存在も示唆されていたのに、全く出てくることなく巣を爆破してオワリ。
ハチのCGは安いながらもそれなりに良く出来ている方なのに、ハチ映画としてのやる気が全くありません。
なので、ハチ映画というよりは武装食人族とコリン・ネメック率いるアメリカ軍との確執と戦いを描いたアクションとして楽しめばまあまあいける方かなと。30点分ぐらいは。
欲を言えば「
グリーンインフェルノ」…とまではいかずともそれなりの食人描写を入れてくれればもう少し緊張感が出て良かったのかなと思いますが。
いずれにせよ生ゴミであることに変わりはないので、スカベンジャー的な人以外は手を出さない方が無難かと思われます。