マーク・アトキンス監督作品、か…。
これ「
PLANET OF THE SHARKS 鮫の惑星」の続編なんですかね?
ストーリー的には何のつながりもないように見えるんですけども。
前作の主人公がチョイ役で出てる…ような気がした。
前作はウォーターワールド風の世界観からハードSFチックなストーリーが展開され
終盤で珍ネタが炸裂するサメ映画の佳作(?)だったわけですが
本作は「鮫使いの少女」とかジャケに書いてあるように超能力でサメを操作するファンタジー色の強い作風となっておりました。
「鮫を従えた暴君」イアン・フィエンに「鮫使いの少女」ウィローがさらわれてしまい、
それを若者ティモールが助けに行く、という話です。世界観は何の説明もありませんが陸地は全部沈んでしまい文明が後退した未来世界のようです。
このティモールという主人公格の若者、そこそこイケメンで賢そうな面構えをしているんですが
途方もない馬鹿です。
まず単独で敵の本拠地「ウミガメ要塞」にノープランで乗り込んで速攻で追いつめられすぐに命からがら撤退。
次に酒場で七人の侍チックに仲間を数人スカウトして、ウミガメ要塞へ侵入する作戦を立てます。
が、今度は集めた仲間までもが破滅的に馬鹿ばかりでした。
海水から真水を作れる「脱塩装置」なる超貴重なアイテムをなぜかいつの間にか船ごと盗んできている仲間その1。いきなりすぎる…
それをネタにフィエンに取引を持ち掛けるティモール。けど人質や村人を皆殺すと脅されて大人しく返却。
…したつもりがまた勝手に爆弾を積んでを送り返した仲間その2。
これにはサメを従えた暴君も激おこ。
何してくれてんだよ!手の打ちようがなくなったよ!と諦めて半泣きで引き返そうとするティモール…。あの仲間集めと作戦会議は何だったのか。
この中盤戦のグダグダ具合とやっちまったよムードはある意味本作の見所と言ってもいいかもしれません。仲間はコントみたいなノリで色々やらかすのにティモール一人がシリアスな顔をしている気まずさが何とも奇妙な味わい。面白くはないけど。
本作のサメですが、「サメ使い」なる今までありそうでなかった珍奇な能力を持った人間によって使役されるだけの存在に堕落させられており、モンスターパニック映画としての醍醐味はほぼありません。
そのせいかCGのクオリティも前作比50%ぐらいダウンしているような…。
ただ、中盤で暴君フィエンがこんなものを出してきます。
「カミカゼ・ザメ」!?
もうこれだけでサメ映画が1本作れそうなネタではないですか。
でも…
↑これ何サメ?ミツクリ?見た目はそこそこ凝ってますが…
その名の通り体当たりして爆発、以上。
単なる誘導魚雷扱い。所詮使い捨ての1発ネタでした。
爆弾積むならこんな強そうなサメを使わなくてもいいんじゃないですかね。
しかも海中から接近してるはずなのにターゲットにはなぜか見破られてるし。
こういう感じで時おり小ネタを挟みつつも基本的にバカな人間がグダグダウダウダしているだけなんですが、一応クライマックスでは暴君フィエンvsウィローというサメ使い同士による、サメが彼らの間を往復するサメ合戦が繰り広げられます。果たしてサメを上手く使えるのはどちらなのか。
ここは相当なオリジナリティあふれる珍奇な迷シーンと言っても良いのではないでしょうか。
ウィローを演じた女優さんはここを見返すたびに「私は何をやっているんだ…」と頭を抱えて悶絶していることでしょう。いや、観返したりしないか…
ということで、かなり無理やり見どころを探さないと楽しむことは難しい、上級者向けのサメ映画だと思います。
これに比べると前作は盛り上がるシーンが一杯あったんだなあ…と思わず美化してしまうくらい本作は平坦であっさり味でした。
とはいえ奇怪な見所がないこともないのでマニア的には一応スルーできない珍作と言えます。
「サメ使いの道を進む決心は出来たか?」
その手の方だけご覧になってみてください。
…そういや水バケツに顔漬け競争でスカウトした仲間ってどこ行ったんだ?
いつの間にか死んだ?