だいぶ前にみた「ホステル」がボチボチ面白かったので同じイーライ・ロス監督作品である本作も観よう観ようとは思っていたのですが、私は大変気が弱くてゴアなシーンが苦手なので2年も先延ばししてしまっていました。だってこれ食人族映画だもんなあ…。
ふつうのスプラッターホラーの類は色々観てますがカニバリズムはどうも抵抗が大きいんですよね。だから私は昔流行った食人族映画も何一つ観ていません。
過激な慈善活動をしている学生グループは、資源を狙った企業の森林伐採により絶滅の危機に瀕しているヤハ族を救おうと現地へ乗り込む。しかし、彼らの乗った飛行機はエンジントラブルを起こし、熱帯雨林に墜落。生き残った学生たちは助けを求めるのだが、そこにいたヤハ族とは、人間を食べる習慣をもつ食人族だった…。捕らわれた彼は一人、また一人と喰われていく―。
(ポニーキャニオンHPより)
国連大使の箱入り娘ジャスティンが、なぜか怪しげな慈善活動グループにホイホイついていき、えらい目に遭うという流れの導入部。
リーダーのアレハンドロにちょっと惹かれたから…という理由にしろ、わざわざペルーの奥地まで乗り込んでいって、企業の雇っている傭兵部隊と丸腰でやり合うなど慈善活動というレベルではない危険さです。
ジャングルなので当然ながら黒ヒョウやヘビなどの危険野生動物もウジャウジャいるわけで、
立ち小便ひとつするにもタランチュラにチ〇コを噛まれそうになるほど危ない地域。
見ず知らずの部族を助けるためにそんなリスクを冒すなど、相当意識の高いボランティア集団のはず。まあ、ノリが軽くてとてもそうは見えないんですけどね。所詮自分のためにやってるボランティアというわけです。やらない善よりやる偽善という言葉もありますが。
ところが、その助けようとしていた原住民・ヤハ族が実はカニバリズムの習慣を持つ首狩り族だったからさあ大変。
彼ら慈善活動グループはあっさりとっ捕まってしまい、肥えてるヤツからムシャムシャされていくことになってしまいます。
最初のカニバリズムシーンは大変衝撃的な出来になっていました。
目ん玉えぐり出してパクリ、ベロを切り取ってモグモグ、無造作に四肢を切断してこんがり蒸し焼きに。観たいような観たくないようなシーンですがカメラワークでごまかすことなく一部始終をしっかり全部映し出してくれます。
そこまでやっちゃって大丈夫か?と心配になるくらい酸鼻を極めた光景です。
とはいえ、本格的なカニバリズムシーンはここだけなので、ここさえ乗り越えてしまえばあとはヌルいゴアシーンしかありませんので血が苦手な人でも安心してご覧になれます。
喜んでいいことなのか分かりませんが。
ヤハ族にとって彼らは神の恵みも同然。
蒸し焼きにした部分は切り分けてみんなでニコニコ美味しく頂きます。牛や豚を調理するのとまったく同じような感じで加工→配布→実食と濃厚な描写が続き、なかなか気分が悪くなりました。
檻に監禁されてる他のメンバーはそれをみて嘔吐するわ下痢をブリブリ大量に漏らすわで実に臭そうな状態に陥ります。変な笑いの取り方するなよと思いましたが正直ここが本作で一番印象に残ってしまったかもしれません。
こんなシーンはさすがに初めて見ましたが、あんな風に仲間が喰われてしまったらそうなるのも止む無し…か?
このような極限状況に陥ったということでリーダーのアレハンドロ君が次第にえげつない本性をさらけ出し始めるのですが、この手の映画でも突出していると言えるほど凄まじいクズ人間でした。予想通りボランティア精神など一切なく、金と名声目当ての行動で実は企業と組んでいたとかは序の口で、脱出しようとする仲間の足を引っ張ってオトリにしたり、いきなり性欲を豪快に発散してみたりと信じられないゲス行為を連発します。
当然ここまで明確にゴミクズ描写するからには、さぞかしエグイ死に方を見せてくれるのだろうな!? と期待で鼻の穴もふくらみますがなかなかその時が来ない。他のメンバーはアリンコにたかられて死んだり、うっかり麻薬を吸ってハイになった原住民にむしゃぶりつかれたりといった変な趣向の死に様を見せてはくれますが最初の犠牲者のインパクトには遠く及ばず。
主人公ジャスティンは女性割礼というある意味カニバリズムよりも嫌そうな刑(?)に処されそうになり、それはもうこれ以上ないほどスリルを煽ってくれるのですがそんなことよりなぜか一向に手を付けられずに放置されるアレハンドロ君が気になって仕方がない。
どうなるんだ、どこまでアレハンドロ君のトサツシーンを引っ張るのだ!! 美味しい物は一番最後に取って置く主義か!? と気をもんでいると、ジャスティンが脱出に成功。そのままアレハンドロ君を見捨てて帰りましたとさ…。というエンディング。
結局喰われないのかよ!なんでだよ!
……いや、あそこで「仲間を見捨てる」という選択肢をとること自体がかなり珍しい状況だし、「見捨てないでくれ!助けてくれ!」と悲痛に叫び続けるアレハンドロ君を観るだけでも溜飲が下がったとはいえるのですが。でもやっぱり一番派手な死に様を見せるべきキャラクターだったと思うなあ…。
無事生還したジャスティンはなんとヤハ族が首狩り族であることを伏せ、あくまで彼らの保護を主張。
あれほど酷い目に遭わされたのにそんなことをする理由って何なの?
と言ったらもうアレハンドロ君をそれほどまでに助けたくないってことしかないですよね。
普通だったら爆撃指令出してもおかしくないですからね。
あんな奴喰われてしまえ!ということですね。
しかし彼は結局しぶとく生き延びてることが(エンドロール中に)判明するという変な後味のオチ。最後まで期待を裏切り続ける男です。続編への布石みたいですが、いつ公開するんだろう…。
ということで、カニバリズムに興味のある人、またはクズウォッチングが好きな人にオススメです。