製作:2011年アメリカ
配給:チャンスイン
暑さを紛らわすために視覚的に涼しそうなモンスターパニック映画を観ようとして
「
トレマーズ コールドヘル」を選んで失敗したので、
別なものを探していたらこんな類似品をうっかり見つけてしまいました。
「トレマーズ」に便乗したパチモンのわりに、ジャケットはなぜかワニ映画風。
特に「
マンイーター」とそっくりですね。
凍り付いた湖の下から巨大ワニが襲ってくる映画なのでしょうか?
爬虫類のワニと寒冷地は相性が悪いんじゃないかと思うんですけどねえ。
まあ「
アイス・ジョーズ」や「
アイス・シャーク」「アイス・スパイダー」なんてのもあるし別に「アイス・クロコダイル」があってもいいけど。
…かと思ったら、全然違いました。ワニなんか影も形も出てこない。
「クリフハンガー」や「レプリカント」などでおなじみの名優マイケル・ルーカーとその一家が湖畔の別荘で氷上釣りを始めたところに謎の巨大魚が現れます。
そしてそれをお隣さん親子と一緒に協力して釣り上げようぜ!
という話になります。
尺がたったの72分しかないし、
ジャケットの雰囲気からしてしょうもないクソ映画かと思いきや、
マイケル・ルーカーなどという一流どころのメジャー俳優が主演しているし、
映像や編集、脚本もそこまで酷すぎるというわけではなくそこそこ観られるレベル。
ちなみにおふざけ・コメディ要素は皆無で、完全に大マジメでシリアスな雰囲気の映画です。
ちょっとイヤな成金野郎感あふれる隣人と何とかうまく付き合おうとするマイケル・ルーカー。
氷の下に見え隠れする巨大魚の不気味さ。
前半の不穏な空気はそれなりに悪くありません。
しかし、いざ釣り上げようとした時ついに姿を現した巨大魚の正体とは…
こ…これは!?
率直に言って驚くほどヘボイというか、
さすがに私でももうちょっとマシなのが作れますよと断言できるぐらい
ヤケクソな面構えのバケモノが!
デンデデンデデデ デンデデデンデデデ
と、これまたヤケクソ感全開のBGMに乗って
ペタペタと小走りで襲ってくるこの半魚人(?)は一体何者なのか!?
…何者なのか?
それは最後まで全く明らかになりませんでした。ヒントの一つすらない。
ヒレに毒があるとか、毒に冒された人間も半魚人になりかけるとか、
そういう思わせぶりな描写があったので若干期待してしまいましたが本当に何もありませんでした。
まあ別にどうでもいいんですけどね。
それにしても、ここまでひどい造形のモンスターも久しぶりに見ました。
それに反してスプラッターシーンはなぜかかなり気合が入っているし、切断された死体の出来などもやけにリアル。マイケル・ルーカーはこんな映画でもシリアスに素晴らしい演技を見せてくれている。
だというのに、なんで肝心のモンスターの見た目をここまで手抜きして妥協しまったのか。考えれば考えるほど謎の映画です。一応製作者も恥と言うものを知っていると見え、半魚人の出番を最小限に絞ってはいます。暗闇に紛れたり、逆光で見えづらくしたり。しかしここまでひどいんならいっそのこと全く画面に映さない方がまだ良かったのは明らか。スタッフや役者の努力を一撃で灰燼に帰す威力を誇る生物兵器であったと言えるでしょう。
それならせめてお笑いに走れば良かったのに…。
いや、これはシリアス感全開だからこそ輝くタイプのクソ映画かな。
いい役者がいい演技をしているのに
紛れも無いクソの塊に仕上がってしまった映画は
初めて見たかもしれません。オチもヒデエっす。
しかし、そういう意味では珍品としての希少価値は大いにあると言えるでしょう。
昭和の香り漂う特撮(?)クソモンスターを楽しむ気が無くもないという方には
もしかすると悪くないクソ映画かもしれません。
こういうクソ映画こそテレ東の「午後のロードショー」でさりげなく放映していてほしい。そんなクソ映画でした。