製作:2017年アメリカ
販売:NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
最近、異常に暑いですね。
私はもともと暑さには弱いうえにエアコンの無い部屋に住んでいるので、連日の30℃超えで死にかけておりここ数日映画鑑賞どころではありませんでした。
しかし、人間がモンスターに喰われたり殺人鬼に襲われたりする映画を定期的に観られないと、今度は精神的充足感が得られない。猛暑のおかげで肉体的にも精神的にも弱る一方です。
そこで、
「寒冷地を舞台にした涼し気なモンスターパニックを観ればそれらの問題を一挙に解決できるのではないか?」
という我ながら素晴らしいアイデアを思いつきました。
それで今日はこの「トレマーズ コールドヘル」をチョイスしたというわけです。
モンスターパニック映画のド定番シリーズである「トレマーズ」に加えて寒冷地獄という素晴らしいサブタイトル。
シリーズを長く重ねた映画って6~7作目ぐらいで氷雪をテーマに持ってくる傾向がありますよね。
「ワイルドスピード アイスブレイク」とか、「アイスジョーズ」とか。
本作も
北極を舞台に巨大人喰いミミズことグラボイズとの戦いが繰り広げられるとあって、見るからに寒そうな映像が拝めそうで期待が高まります。
ところで、私はトレマーズシリーズは1作目を20年ぐらい前に一度観たきりというグラボイズビギナーでして、シリーズを続投している役者やキャラクターを全く把握していません。
とはいえ、特にストーリーが重要な映画でもありませんからバートの野球帽がどうとかバルの娘がどうというファン向けの小ネタはスルーすれば済むことではあります。
「トレマーズ」は巨大人喰いミミズが襲ってくる映画、ということだけ分かっていれば大丈夫なはずです。
ただ、問題は
北極を舞台にしているはずなのに、全くそうは見えないということです。
全然寒そうじゃない。
それどころか温泉とか湧いたりしちゃってる。これは明らかにおかしい。
何でよ? と思ったら
「思ったほど寒くない」「熱波で雪解けも加速してる」「今年は記録的な暖かさだ」などと科学者による言い訳が入りまくります。
しまいには
「暖かいからグラボイズがここまで生息域を広げているんだ!」ということになります。
何のために寒冷地を舞台にしたんだよ。
寒さに特化した突然変異種とかそういうネタじゃないのか…
ノーマルグラボイズなのか…
これにはさすがに相当ガッカリしました。
グラボイズがどうとかより涼感を求めて本作を鑑賞したというのに。
しかも全然寒そうじゃないというだけでなく、
グラボイズの前座としてまず火を噴く括約筋ことアスブラスターが暴れまくるため、むしろ非常に暑そうな火炎地獄が展開されることになってしまいました。ちょっと勘弁してくださいよ。
なんでそこで絶対零度の凍える吹雪を吐き出す新種のケツブリザーダーを出さないの?
ロケ地は北極ではなくカナダかどっかの山岳地帯付近だと思いますが、
やたらチ〇コだのタマだのケツだのと下品なセリフが飛び交いまくる映画のわりに、映像的には非常に美しいカットが散見されます。
↑やぐらの男がチ〇コから放出する暖かい水分に釣られて地中をズゴゴゴと移動するミミズ型モンスター・グラボイズ。汚いけど映像は素晴らしい。
コールドヘルというからにはさぞかし雪氷の中を動き回るんだろうなあと思ったのに、結局地中オンリー。正直なところ、印象としては1作目と何が違うのか分かりません。何も新しいところは無い。リメイクと言われても納得しそう。
ただ、前作で主人公のバートがグラボイズの毒に冒されたらしく、その治療のためにグラボイズを生け捕りにしなければならない、というミッションはおそらくシリーズ初のようでした。まあ確かに地中ミミズを生け捕りにするというのは非常に難儀なことですし、グラボイズハンターの称号を二代目へと受け継がせるくだりと合わせて、一応そこが本作独自の見どころにはなっていました。
とはいえ、人が喰われるシーンがほとんどないというド健全ぶりに加え、終始コメディ的なゆるゆるしい空気。
シリーズをこれだけ重ねても結局大した進化も変化もないようでした。
まあ、だからといってそれが気に喰わないというわけではなく、まるで昔ながらの味を頑固に守り続ける老夫婦がやっている小汚い場末の老舗食堂のような味わい深さがあるのも事実です。
この安定感はそれはそれで素晴らしいものと思います。
そういうものを求めている人にはジャストフィットすることでしょう。
何だかんだ言ってモンパニ映画としては満足度の高い作品でした。
…これで、もっとちゃんと極寒地獄でグラボイズとの戦いを描いててくれればなあ。
コールドでもヘルでもないという肩透かしはちょっと…。