製作:2018年南アフリカ
発売:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
大企業の悪行を暴く活動をしていた若者グループ。彼らは元仲間の挑戦を受け、有害物質で汚染されたという噂のある山奥の湖へと向かう。そこには悪徳巨大企業のバイオ研究所跡が存在したが、同時に研究の産物である超巨大ワニも生き残っていたのであった。
2018年も相変わらず乱発されまくるサメ映画を横目に雌伏の時を過ごしていた全ワニ映画ファンが泣いて喜んだであろう「レイク・プラシッドシリーズ」の最新作(6作目)。
前作の「
アナコンダ vs 殺人クロコダイル」に引き続き邦題からは「レイク・プラシッド」要素がもみ消されており、まるでオリジナルの新作ワニ映画のような体裁となっておりますが、原題は
「LAKE PLACID:LEGACY」
です。
別にそのまんま「レイク・プラシッド レガシー」っていう邦題でいいんじゃないかなあ。と思うんですが、「ジュラシック」などという不吉極まりないワードが組み込まれ、既に公開から3年以上経っているマッドマックス怒りのデスロードに今さら便乗(?)した感じのサブタイトル。そしてやっつけくさすぎるワニの姿と爆発の雑な合成。
安心安全のレイク・プラシッドブランドだというのに何と地雷臭が凄まじいジャケットなのか。どんだけふざけたC級ワニ映画なのか。期待は高まるばかりです。
しかし、予想に反して中身は恐ろしくクソマジメでドシリアスなワニホラーとなっていました。
「レイクプラシッド」と言えば、1作目から一貫して笑いを取りに来るノリの軽いワニ+コメディ映画シリーズだったはずなのに、本作には笑いの欠片も無い。6作目にしていきなり作風が180度方向転換しており、ファンとしては戸惑うばかりです。今更ただの巨大ワニを怖がれって言われても難しいよ。サメほどじゃないけど…
これは製作国がなぜかアメリカから南アフリカになっているせいでしょうか? 監督も「
マザー・ドント・クライ」という陰惨で胸糞悪い産後鬱ホラーを撮ったダレル・ルートになっており、コメディ要素などハナから捨ててる感じでジョークの一つも飛ばしてくれません。
しかも笑えないだけではなく、本作はワニが出てこない系のワニ映画でした。
もう全っ然ワニの姿が映らない。
肝心の襲撃シーンも、追いつめられた人間の怯えた顔を映した後、悲鳴と共に場面転換してばっかり。
↑遺伝子組み換えにより全長15M越えとなったジュラシック・クロコダイル…の目。
全体像は終盤になるまでお預け。初代プレデターのように、正体不明系モンスターホラーなら全身像を引っ張るのも分かりますが、本作は最初からワニだと分かってるんだからとっとと見せろ!!と叫びたくなりました。死体が凄惨なのは大変結構だが、喰われるシーンも足りなさすぎる。終盤でようやく一人だけバリボリと踊り食ってはくれますが、たったそれだけでは見せ場が不足気味。
レイクプラシッドシリーズではCGはヘボいながらも大量にワニを出しまくり、アホな若者を出しまくり、とにかくパクパク捕食するシーンだけはやたら充実している(2作目以外)というイメージだったのにそれすらも覆してしまっています。ワニたった1匹しかおらんし。
共通点が何も無さ過ぎてもはやシリーズものである意味が無い。舞台もいつものブラック湖じゃないし、ストーリー上多少の関わりがあると言ってもこじつけすぎて何とも言えない。
しかしよく考えてみれば、もともと大して出来が良いシリーズってわけでもないし、これでも文句を垂れるほど酷いわけでもなかった。むしろホラー映画として見れば、恐怖演出はものすごく頑張ってる感はあります。ダレル・ルート監督もまた「見せない恐怖」にこだわりがあるのか、それとも単に金が無かったのかは知りませんが照明や閉塞感などの雰囲気で煽る系統のホラーであり、少なくともクソ映画感は全くありません。至極真っ当な作品です。
まあ問題はレイクプラシッドファン、ワニ映画ファンがそういうのを求めてないってことなんですけどね。どうせならやはり「レイク・プラシッド in ロボクロコ」とか「ワニの惑星」みたいなトンデモ系もたまには作ってほしいですね。
というわけで少々期待外れな感は否めませんが、それでもワニ映画ファンならご覧になってみても損はないかと思います。(他に観る物もないし)