2018年製の南アフリカ映画です。
南アフリカ映画って珍しいな、観たことないなと思ったんですが
普段意識してないだけで意外とあるようですね。
たとえば「
ダーク・タイド」とか「
シャーク・キラー」とか
「ブルーサヴェージ セカンドインパクト」
なんかが南アフリカ製作みたいです。
…サメ映画ばっかり!
まあ、そんな感じで本作も意識してないと気づかないくらいにはアフリカっぽさが薄いです。
そこは私の貧困なアフリカ観にも問題があるのでしょうが、
本作はだいたい薄暗い民家の中だけで話が進むのでそれも致し方ない。
ジャケの「ママ、ぼくを殺さないで」という煽りの通り、
100年前の呪いのせいか、または精神異常に陥った若い母親の狂気によるのか、
赤ん坊への殺意を描いたホラー映画です。
「赤ん坊への殺意」…これは非常にキツいテーマですよ。
終始鬱オーラ全開の胸糞映画でした。
家出した数ヶ月後、私生児を伴って実家に帰った主人公クロエ。
息子リアムと母親ルビーとの3人暮らしを始めるが、
赤ん坊を殺せと囁く不気味な幻覚を見始める。
という話です。
本作は南アフリカのどこかにあるらしいエデンロックという村が舞台ですが、
そこは100年前に大英帝国軍の侵略を受けて凄惨な事件が起こった曰くのある土地でした。
…と言っても、それが心霊現象として作用したという明確な描写はありません。
多分この呪い話は心霊ホラー演出を使うための言い訳みたいなものでしょう。
父親は誰なのか?
なぜ子供を殺せと囁く幻覚が?
という謎で引っ張りますが、これはもう冒頭で語られた100年前の事件を考えると一つしかありえない。
子供を愛そうと努力しているのもツライところ。
そもそも産まずに済ませる方法はなかったのか…
そこら辺は国によって法律も違うでしょうし、宗教によっても決められていそうなので分かりません。が、産んでしまったがためにこんな悲惨なことになったと思うと相当鬱な気分にさせられます。
狂気に陥るのもやむなしか。
ただいきなりデカイ音を出してビックリさせる…そういう手法をジャンプスケアというらしいですが、とにかくそのパターンが多い。これには結構ゲンナリ。
さらにゲンナリさせられるのが、
赤ん坊を傷つけたり殺したりする幻覚がたびたび映されるってことです。
いくら幻覚とは言え、そういう不快シーンをこれだけ見せてくる映画というのもそうそうないでしょうね。ツメを切ってやるにしろ風呂に入れるにしろ毎回嫌なハラハラ感を味わわせてくれます。
しかし、それより一番きつかったのは搾乳器でしぼったら母乳ではなく血がブシュッと出てきた場面でした。マジキモイ。
そんな狂気に陥ったクロエを治療する精神科医役はまさかのブランドン・オーレ。
サメの電気でロケットを発射するのに一役買ったこともある漢です。
本作でも、さも重要そうなポジションで、さも有能そうなオーラを出しながらあれこれクロエの世話を焼こうとするものの、
まるで何の役にも立ってなかった。
一体何のために出てきたのか。本作での彼はかなりの肩透かし野郎でした。
呪いがあろうがなかろうが、
狂気に陥っても仕方のない境遇、そのうえ周囲の人間はろくでもない。
一見やさしそうでもねえ…お前それしか頭にないのかと…。
終盤に狂気を爆発させるクライマックスは起こるべくして起こった事件だと受け止めざるを得ず、事件が終わっても底なしの狂気に沈み続けるクロエを見ていると、
本当に男って嫌な生き物だな…
と思ってしまいますね。
特に楽しい要素は何も無いですが、悪い出来ではないので
鬱映画でも構わないという人は観てみても良いかと思われます。