製作:2018年カナダ
発売:アメイジングD.C.
悪徳企業の御曹司たちにナンパされてクルーザーに乗り込んだ女子大生コンビ。しかし痴話喧嘩が勃発し、クルーザーまでもが故障してしまう。仕方なく近くにあった無人島に上陸すると、怪しげな研究施設を発見。何とそこには、悪徳企業が密かに開発していた生物兵器が徘徊していたのだ…
「イット・フォローズ」の製作陣による期待の新作ホラー「イット・カムズ・アット・ナイト」がもうすぐ日本でも公開されます。実に楽しみですね。…で、本作はそれに先駆けてDVDリリースとなったカナダのパッチワーク的パチモン映画です。原題は「The Ninth Passenger」なので配給会社が独自にパチモンに仕立てたパターン。
ジャケデザイン的には「ドント・ブリーズ」のパクリであり、煽り文句では
「音を立てるとそれが来る」などと「クワイエット・プレイス」にもガッチリ便乗。
それなのに「海洋パニックホラー」ときた。もうごちゃ混ぜすぎて何が何だか。コーリー・ラージって誰だよ。
とはいえ本作の内容自体は実にシンプルかつ極薄味で、そのうえ尺はたったの73分しかありません。が、驚くべきことに初めの50分ほどは全然、全く何も起こりません。クルーザーで痴話喧嘩をしているクソバカップルが何組か映っているだけ。
かろうじて悪徳企業の秘密を探る企業スパイが1人いて諜報活動に励んでいるのが救いになっていますが、本当にそれだけ。こんなもん私に編集させてくれれば5分に圧縮してみせますよ。まあ、痴話喧嘩の尺が異様に長いなんてのはC級ホラーの世界じゃ珍しいことでも何でもありませんけどね。私もその手の精神攻撃に対する耐性はしっかり身に着けているつもりです。
だがそれにしたって無為な時間と言う他ない。
辛く永い時をやり過ごし、ようやくクリーチャーが姿を現しはじめたと思ったらこれ。
↑「
アイス・トレマーズ」の半魚人を彷彿とさせるクオリティの着ぐるみ感丸出しモンスター。ちょびっとしか画面に映らないから判断が難しい。お口の部分の作り込みだけは半魚人をやや上回っているだろうか。何となくだがカネゴンのような外見でもありました。しかし当たり前ですがお金に対する執着があるわけでもなく、特に「音」への特性がフィーチャーされたモンスターというわけでもなく、ただ何となく襲ってくるだけ。というか特性とか何もない。せいぜい水陸両用というくらいかな…。総出演時間は多分1分を少し切るぐらいですかね。
で、この手のクリーチャーホラー映画では、襲われた主人公たちがどう立ち向かいどう逃げるのか? とか、敵の弱点や出自を探るサスペンスな展開があったり、もしくは単純に爽快な捕食スプラッターなどの娯楽的要素を一つくらいは期待したいところなのですが、
本作にはそのどれもありません。
なんと、多少パニクった後にただ信号弾を撃って助けを待つだけという体たらく。クリーチャーによる殺人シーンはことごとく省略されてしまうという有様。
もうちょっとなんかやってよ。なんか見せてよ。何もしてなさすぎてこれじゃ何を観たんだか分からんくなりますよ。もしかして痴話喧嘩がメインテーマだったんでしょうか。
モンスターが本格的に襲って来てからの尺が10分程度しかないので仕方ない…か?
というか、結局何も解決されてない…どころかあのクソバカップル共と企業スパイは結局何もせずただ全滅しただけ!だし、普通のホラー映画だったらプロローグの5分で終わらせるべき内容なのでは?
と言う他ない程度の純然たるクソ映画なので、クソ映画マニアの方にオススメです。短いのでサクッと観れていいですよ。