6人の宇宙飛行士が火星探査訓練のため、南極に設置されたタンクで471日もの間
外界と隔絶されることになる。
しかし、その中には精神鑑定で異常が出た人物が紛れ込んでいてえらいことに…。
という感じのスリラーです。
舞台はほぼ狭い密室のみだし、さほど刺激的な事件が起こるわけでもない、
かなり低予算で地味な映画ですし結構ツッコミどころも多い気がしますが、
個人的には
前日に観た物が酷すぎたため、割と楽しめました。
本作は序盤からNASAの査問委員会でこの火星探査訓練プロジェクトの責任者2人が
激しく糾弾されているシーンが入ってきます。
余った予算消化のためにずさんな計画で人命を弄んだとか
精神鑑定に問題のあった人間を採用してしまったとか…
責任者の悪辣さがこれでもかと描写されますが
後半はフェードアウトしてしまうので別に必要なかったような感じ。
たびたび出てくる南極タンクの映像は雪も含めてCG感が強く、
「
ディープブルー・ライジング」をちょっと思い出しますが
アレよりかはだいぶましなクオリティ。
嵐でひっくり返ってしまうというのはどうかと思いましたね…
細長すぎたのかな?
そんな狭い密閉空間で、寄せ集められた宇宙飛行士6人が
471日間も籠って訓練の日々。
最初は和気藹々と楽しそうにやっていますが、
ささいなトラブルからだんだん険悪なムードに。
しかし、私にはそんなこと当たり前すぎるとしか思えません。
学校や職場だってそんなに素晴らしい人間関係を維持出来ているところは滅多にない(多分)というのに、1年以上も同じ空間で暮らして仕事するとかたとえ家族であっても険悪になることでしょう。
だからこそ南極に行ってまでこういう訓練をする価値があるのかもしれませんが。
そしてついにトム君のチョコが盗まれるという事件が発生。
471日も補給が無いし基本マズイ宇宙食しか食えない中、これは重大ですよ。
誰が盗ったのかは最後まで不明でしたが。気になるなあ…。
チョコを盗る奴がいたり、キモい奴がいたりで
だんだん疑心暗鬼に陥っていき、ついに仲間同士で殺し合いが…
という定番の流れですが、
切っ掛けを作った一番凶暴なヤツがあっさり退場してしまうため、
あとは普通に極限状況でのサバイバル劇がメインに。
スリル感は一切ありませんが、まあこれはこれで悪くはない。
しかし閉鎖空間でのバトルを期待していた身としては相当の肩透かしでした。
敗血症を防ぐために足を切断する、という見せ場が最大のクライマックス。
目を背けたくなるグロシーンではありますが、テンションは上がらない。
そこからは、まあ何となくそうなるよね
としか言いようがない淡々とした尻つぼみ感。
何でもいいからもうちょっとヤマが欲しかった。
そして放置されまくる布石の数々。
ネリーは重傷を負った親友ジュリアを放置して何をしていたのか…
ジュリアが家族に残したメモの中身は…
デーンはなぜネリーを探さずに死体の後片付けばっかり熱心にやってたのか…
トムはただの変態だったのか…なんでバレたのか…そしてあの発作は…?
どうしてこのプロジェクトに、精神鑑定で問題のあった奴を入れたのか…
そしてチョコを盗ったのは誰だっのか…
かなりの疑問が残ってしまいましたが、
まあ想像の余地を残してくれたと捉えておくことにします。
閉鎖空間でのサバイバル劇が好きなB級映画ファンならそこそこ楽しめるでしょう。
そういった方には「ディープブルー・ライジング」と合わせてオススメできると言っておきます。