生存率0% 迫力の海洋パニック・ムービー!
シャーク・ダイビング…そこは、あまりにも危険すぎる海
海洋生物学者のケイト(ハル・ベリー)は、同僚のダイバーがサメに殺されたことをきっかけに、サメとの仕事から遠のいていた。いまはオットセイ・ツアーをしているが、銀行に船を差し押さえられそうになる。そんなとき、昔の恋人ジェフ(オリヴィエ・マルティネス)が、高額報酬の仕事を持ちかける。スリルを求める金持ちが、檻のケージから出てサメと一緒に泳ぎたいと言うのだ。葛藤しながらも依頼を受けたケイトは、世界で最も危険とされるサメの餌場に、ダイビングの場所を設けるのだが…
(ジャケット裏解説文より)
本物のサメ!本物の恐怖!…とジャケットで煽っている通り、
ほぼCGではなく実物のサメが全編通して出演しまくりのなかなか本格的なサメ映画です。
しかもアカデミー賞受賞経験者ハルベリーが主演。まさかのA級サメ映画。
まあ、生存率0%じゃなくて60%でしたけどね。
画面には映りまくるけど案外襲ってこない系サメ映画。
本作は南アフリカのシール島からケープタウン周辺が舞台のサメ映画です。
エア・ジョーズで有名なホホジロザメの聖地ですね。
ドキュメンタリー番組でよくやるのでサメ好きにはおなじみの海域ですが、
サメ映画では意外とここを舞台にした作品は少なく、
覚えている範囲だと他には「
シャークキラー」ぐらいしか心当たりがありません。
主人公ケイトは海洋生物学者で、サメのドキュメンタリー映画を撮影するために
ケージから出てサメと並んで泳ぐことが出来るほどのサメの専門家ですが、
ある時に事故で同僚を喰われてしまい、やる気を失くします。
が、オットセイ観光ツアーでは食っていけず、
命知らずで性格の悪い金持ちの依頼で、「サメと一緒に泳ぐツアー」を
やることになります。
そんなことしたらいくら専門家がいても80%ぐらいの確率で死ぬと思うんですが、この金持ちは自然をナメきっており、あろうことか子連れでそれをやろうとします。
サメ・パニック映画のテンプレートからはかなり逸脱したストーリー展開に
期待が膨らみますが、本作は113分でかなり冗長なこともあり、テンポが非常に悪いです。
特に、アワビの密猟者たちがサメに襲われるシーンは真っ暗でサメが見えない上に
ストーリーの本筋に何一つ関係がないという肩透かしっぷり。
C級サメ映画でもなかなかこんなことしないよ。
誰がどう見てもカットすべき露骨な水増しシーンでした。
無駄を削れば100分ぐらいに収めてもう少し見やすくできるだろうに…。
いけ好かないオーラ出しまくりの腐れ金持ちは3m級のサメでは満足せず、自分勝手にケージから出たりと危険な行動を連発。
ケイトは恋人とのイザコザもあり、イライラがMAXに達し完全にヤケクソで
6m級のホホジロザメがウヨウヨしている海域に突撃します。
が、そこへ行った途端に嵐は来るわ、船のステアリングやらエンジンやらアンカーやらがなぜか一斉にポンポン壊れ出すわ。
機械仕掛けの神の手を感じざるを得ない勢いで船が転覆。
腐れ金持ちがホホジロザメにエア・ジョーズを決められ、
微妙な爽快感を与えてくれたところでレスキュー。
その後、ケイトたちはすごいサメドキュメンタリー映画を作りましたよ、というものすごい雑なエンディング。
…これ、もしかしてサメ「パニック」映画じゃなかった?
だとすると…
ケイトがサメとの距離感を見誤ったトラウマを払拭し映画を完成させるまでの物語、
だとは思うんですが、ヤケクソになって判断ミスしまくった揚げ句に顧客をエアジョーズされてしまったわけで、もう死にたいぐらいの自己嫌悪に陥ってもおかしくない気がするんですが。
なんでこんなうまくいった「いい話風」に締めるのか?
まあ、この事件を通じて正しい距離感を体得した、ってことなのかもしれませんが説得力は皆無。
A級映画のはずなのに知名度が低いのは多分その辺のいい加減さが原因なんでしょうね。
とはいえ、サメ映画というカテゴリーの中で見れば平均点を大きく超えるクオリティなのは間違いないでしょう。
難あり商品・訳アリ商品当たり前のサメ映画というものに慣れているサメ映画ファンには安心してオススメできます。