その夜、“人類最良の友”は“人類最悪の敵”になる
謎の隕石が地球に運んできたのは、想像を絶する災厄だった。
突如牙をむき人間に襲いかかる犬たち、成す術もなく喰いちぎられてゆく人々。
反逆する野生、破滅の淵に立たされた人類に、明日はあるのか?
全ての犬たちが牙をむく!スリラーの金字塔「ヒッチャー」のクリエイターが放つ、衝撃のアニマル・パニック!!
(プライムウェーブHPより)
「犬が人を襲う」という要素以外は何もない虚無映画です。
ただひたすら犬が人を襲う映像が羅列されてるだけなので、
ストーリーや人間ドラマなどは全く持って皆無に等しい。
この手のアニマルパニックは大抵そんなもんじゃん? と思うかもしれませんが、
さすがにこれほどまでに人間ドラマを排除し切ったパニック映画は滅多にありません。
謎の隕石が地球に降り注ぎ、その影響で世界中の犬が凶暴になった…
という設定らしいのですが。
緑色に輝く怪しい隕石がそこら中に落っこちているにも関わらず、
誰一人としてその隕石に関心を示しません。
なので科学者や警察による分析シーンなんかも普通は尺稼ぎ的にも挿入されるのですが、
本作はそんなことには目もくれずひたすら犬が牙を剥きます。
テレビニュースがちょっと映りますが、犬の凶暴化と隕石の関連については何も言わないし。
本当にただただ犬が人を襲うシーンを撮りたかっただけなんだなあ…
かなり邪悪な面構えのダルメシアン。
本作は様々な種類の犬たちが大量に出てきますが、
「ウルフ・タウン」などと違って可愛らしく映るシーンはあんまり見当たりません。
犬嫌いな人が、「犬なんか飼うんじゃねえよ」というメッセージを伝えるためだけに撮ったかのようなアンチ犬ムービーのようです。
とはいえ、主人公ロズリンの飼い犬シェップだけはなぜか隕石の影響を受けず、最後まで正気を保ちます。それに何か意味があるのだろうと思って観てたら…特に何もなし。これぞ虚無映画。劇中に登場するあらゆる物に意味など無いのです。
街が大量の犬によって地獄絵図と化すクライマックス。
本作は「ウルフ・タウン」などと違って、犬の襲撃シーンにごまかし臭さはさほど感じませんしスプラッター描写は必要以上にがんばっています。
その点だけは、まあ評価できないこともないのですが…。
名無しのモブキャラクターがいくら惨殺されたところで何も感じるところなどありません。
だというのに、この映画はひたすらモブが犬に惨殺されるシーンのみをうず高く積み上げて行くだけ。
こういう箸にも棒にも掛からないジャンクムービーは何かしらのぶっ飛んだトンデモ要素をねじ込んで頂かないと、どうにもいじりがいが無さ過ぎて困ります。
阿鼻叫喚の犬地獄のなか、車の下に隠れようとするロズリン。
視点の高い人間や巨大モンスターならともかく、犬相手にそんなところに
隠れても何の意味もないのは明らか。とっとと車に乗ればいいのに。
ちょっと面白いツッコミどころと言えばここぐらいなもん。
犬が人を襲う映画としては、「
ウルフ・タウン」よりもはるかに費用をかけ、大量の犬を動員し、血糊やマネキンを使ってスプラッターしているというのに、なぜか「ウルフ・タウン」よりも圧倒的につまらない。あんなZ級クソカス映画以下という悲惨すぎる偏差値に戦慄を禁じ得ない。
ただただ犬が人を襲うシーンを並べることに終始してしまったため、クソ映画的なツッコミどころにも乏しく。「ウルフ・タウン」での最大の見どころだった「犬の死体」も用意できないからと言ってほぼ映さないという姑息っぷり。ちゃちいぬいぐるみでも映してくれればなあ。
盲導犬が暴走して飼い主を車に轢かせるというブラックなシーンも一応ありましたが…足りなさすぎる。そういう工夫がもうちょっとあればまだマシでした。
犬好きにすらオススメできない犬映画に何の価値があるというのか?
それどころか並みのクソ映画好きにもオススメできないほどのクソっぷりなので本気で何の存在価値もない虚無映画です。
それでも「
デビルシャーク」や「
ロストジョーズ」のような哲学的領域にはほど遠いですが、下手に中途半端なのでネタにもなりません。
ジャケットはちょい面白そうに見えますが近寄らないようにしましょう。