製作:2017年南アフリカ
配給:彩プロ
新種のコガネムシの調査のため「自殺者の渓谷」の奥地へと入った
昆虫学者のアダムとその妻アバズレ・ビッチ。
夜、テントで眠っていると世界最強の毒蛇ブラックマンバが侵入してきてしまい、絶体絶命の窮地に陥ってしまう。
そんな中、ビッチの浮気&妊娠が発覚してしまい勃発する修羅場。
醜い闘争に巻き込まれてしまった哀れなブラックマンバの運命やいかに――
…などというかなりどうしようもないストーリーのアニマルパニック映画です。
「そのヘビ、凶暴につき」という煽り文句が実にむなしい。
これブラックマンバ側は完全に被害者だったろうが…
こんなもん先行レンタルしてGEOに何のメリットがあるのか理解しかねますが、
私のような趣味嗜好を持った顧客も案外多いのかもしれませんね。
「
ロアー」のような200頭以上の猛獣と触れ合っても何ともない映画が
あるかと思えば、たった1匹のヘビでもこの世の終わりのように大騒ぎする映画もある。
アニマルパニックもなかなか奥が深い。
本作は出演者がたった二人しかおらず、舞台は人里離れた大自然のただ中。
シチュエーション的に言えば、
「
ブラック・ウォーター」とか「
ブラックフット クマ地獄」と同じような雰囲気ではあります。どうせなら「ブラックマンバ ヘビ地獄」っていう邦題にしてくれれば面白かったのに。
しかし本作、どう考えても毒蛇ブラックマンバが主役とは言いづらい。
明らかに昆虫学者夫妻の痴話喧嘩がメインとなってます。
なのにその人物描写というか情報が少なく、
夫の方には何の非も無いようにしか見えない。
妻の方は浮気しているうえに、それを隠すために夜中テントを出てスマホいじりをしていたせいでブラックマンバがテントに侵入してきちゃうので、
明らかに何もかも女が悪い。
何というひどいクソビッチなのか。同情の余地がなさすぎる。
専門家である夫の言うことにいちいち逆らって事態を悪化させまくる彼女を見てイラつかない人がいるのだろうか? いや、いない!
世界最強の毒蛇であるブラックマンバ。
それほど大きいわけでもないし、顔だけ見ればカワイイものなんですがね。
CGにしちゃクオリティが高すぎる気がするし、実物のヘビ使ってるのかな…
いや本当に見た目は可愛らしいですね。
字幕だとヘビがしゃべってるようにも見えるし。
どうしてもこっちに肩入れして鑑賞しちゃいますよ。
まあ、何にせよ人間側はひと噛みでもされれば死は免れない。
体の上を這い回られてもじっとしている他に何も出来ない
緊張感は確かにありますが、そんなんで86分も持たせるのは相当キツイ。
ライトがわりにスマホを使ってたら妻の浮気相手とのSNSメッセージを見てしまい、ブラックマンバ君そっちのけで戦争が始まってしまうとかもう本当に何やってんだ。
こんなプロットで面白い映画を撮れと言われても困っちゃうんじゃないでしょうか。
そう考えると監督は相当頑張った方だろうなあとは思います。
ドローンで撮ったであろう空撮映像やヘビ毒でわけのわからん幻覚を見せて来たりするあたりに努力の痕跡が見てとれました。
しかし、そんなことよりくだらないイザコザに巻き込まれてしまっただけのブラックマンバ君がえらくかわいそうに見えるのが困る。あの愚かな人間共は何なんだよ本当に。
アニマルパニック映画においてこれほどまでに動物側が完全被害者というのも珍しい。
ブラックマンバ君を応援する手にも思わず力が籠ってしまいした。
そして痴話喧嘩の決着の付き方が何か玉虫色というか何だかオチていないような終わり方。
どこを取っても「は???」と声が出てしまいそうになる残念系の珍作でした。
それにしても、彩プロさんの配給する映画も大概こんなのばっかな気がしますね。でも嫌いじゃないよ。