ある好事家の記録 主に変な映画の感想

変わった映画を見つけたらそれを語りたいブログ。  主にモンスターパニック映画、特にサメ映画の感想が多め

ブラックフット クマ地獄 感想




私はホラーやスプラッターをギャグとして「笑って楽しむ」というのはあまり好きではなく、怖い物はちゃんと恐怖を味わいたい方の人間です。
ホラー映画を楽しむ時は、「自分が同じ状況に置かれたらどうするか?」ということを想像しながら鑑賞するのが一番なのでいつもそうしていますが、あんまり現実離れしていたり、自分では絶対とらないであろう行動をされるとそれが難しくなり、結局あまり怖がれなくなってしまうことも多いです。そういう時は笑って楽しむしかありませんね。


しかしその観点で言うと、本作は…おしっこちびりそうなぐらい怖かった…。



アレックスとジェンという30歳ぐらいのカップルが、カナダの森にキャンプしに行ったら、クマに襲われる。
実話ベースのようですが、本当にただそれだけの話です。
オープンウォーターのクマ版だと紹介されていますが確かにそういう感じでした。


オープンウォーターにしろジョーズにしろ、本当に怖いサメ映画を観たとしても、
「もう海には入らない」
と心に決めてしまえばそれほどサメを恐れる必要はないわけです。
普通の人はマリンスポーツ系の趣味でもないかぎり、サメを生で見ることなど一生に一度も無い。
まあ、だからこそフィクションのサメはあの手この手で陸地に進出しているのかもしれませんが。


しかしこれがクマとなると我々日本人にとってもぐっと身近な題材となります。
私もデスクワークで一日中パソコンに向かう毎日ですので、せめて年に一度くらいはと心の洗濯を兼ねて人里離れた山中に入り、タケノコ採りをすることにしています。

この時にクマの恐怖が心をよぎらないわけではないし、それほどお気楽な気持ちで山に入っているつもりではありません。
が、実際に出会ってしまったらどうするんだ?
という疑問に関しては、「その時はその時」としか言えない。
想像力に乏しいからクマの恐怖をリアルに想定出来ていないんだと言われても仕方ないかもしれません。



本作はそんな能天気人間にもガツンと効いてくる超辛口なリアルクマホラーでした。

主役となるカップルは色々と愚かなことをやらかすし、お互いの失態をなじり合って雰囲気が悪くなったりするので、あまり感情移入は出来ません。
アレックスの方は見栄で地図を持たず、携帯も持たず、うろ覚えの知識だけで立ち入り禁止区域の「ブラックフットの小道」へ行こうとして遭難してしまいます。
ジェンの方は、せっかく恋人同士で来ているのに、たまたま出会っただけの見知らぬ怪しい青年と仲良くなり、2人きりでイチャイチャしたかったアレックスの機嫌を損ねたりします。この青年も別れ際にかなり強い悪意を見せたり、アレックスを煽ったりするので事態を悪化させた大きな原因には違いなく、落ち度は両者に存在すると言えるでしょう。


まあそんなこんなでカナダ映画らしく本作も後半に入るまではなかなかクマが出てきません。
カナダ映画は恐怖の対象を出し惜しむ傾向がある気がします。
しかし本作はただ単にじらすだけの能無しではなく、冒頭からずっと不穏な気配が濃厚に漂いまくっており、今か今かと緊張感の途切れる時がありません。
つまんないC級映画ほど「早くクマ出せよ!」とイライラさせてくれるんですが、
本作は「怖いから出てこなくてもいいよ」と思わせてくれるレベルの恐怖演出。

そして、実はこの映画ってクマなんて出てこないんじゃない?
などと現実逃避的思考に陥った頃、






出ました。


やめろ頼むどっか行ってくれ!と願っても








当然近づいてきますよね。
私だったらもう失禁&失神は必至の状況。

さてどうやって乗り切るのか!?

などとエンジョイ&エキサイティングするような雰囲気の作品ではないので、かなりリアルに

「実際クマに襲われたらこんな風になるんだろうな…」

と思わざるを得ない、説得力満点かつ迫真のパニック&スプラッター描写で悶絶級に悲惨なことになります。

さすがにいくら愚かな選択をし続けたと言っても、自業自得だなどと簡単には切り捨てられない、生きながら喰われる無惨な姿が私の脆い精神にクリティカルヒット。
これCGでも着ぐるみでもない、本物のクマだけどどうやって撮影しているのかな?
なんてことに想いを巡らす余裕もありません。
テレビから貞子が這い出てきた時より怖いです。
今年から山に入れるかどうか怪しくなってきました。
まあ、既にサメ映画の見過ぎで海に入れない体になってしまったし、せめて山には入れる状態を維持したいところですが…。


総評すると、素晴らしく出来の良いクマホラーです。
オープンウォーター系のおふざけなし・リアルなアニマルパニック映画では一番恐ろしいと感じました。上記のクマに最初に襲われるシーンが最大の見どころで、それ以降はホラー映画的には盛り下がってダレてしまった感があるのが欠点ですがそれを差し引いても非常に秀逸と言えるでしょう。オススメです。

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プロフィール

HN:
岩石入道
性別:
男性
自己紹介:
B級~Z級映画が主食。ホラー、モンスターパニック系が特に好き。目についたサメ映画全てチェックしたい
krgm200@gmail.com

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