製作:2017年アメリカ
発売元:エクリプス
渋滞にはまっていたら突如意識が飛び、病院で目を覚ましたエイミー。
そこは恐ろしい人体実験が横行している殺人鬼だらけの危険な精神病院だった。
何とか脱出を試みるが、なぜか意識を失っては状況がリセットされ、何度も13時13分に帰ってきてしまうのであった。エイミーはこの危険な病院と時間渦から脱出することが出来るのか?
予備知識なしで本作のジャケットを見ただけでレンタルした人は、まずSFサスペンスだと思ってレジに持って行ったことでしょう。私もそうでした。
しかし、いざディスクを取り出した時に気付いたことがあります。
そう、本作のDVD発売元はエクリプス。
「日本に良質な
ホラー映画を配給&ソフト化する」という崇高な理念を持って業界に貢献していらっしゃる素晴らしい会社です。
つまり、本作もSFサスペンスというよりはホラー映画に近いわけですね。
見るからにおぞましく、不快感、不条理さの溢れるオープニングクレジットが出てきた段階で本作はそういうものだと気づかなければなりません。
本作の主演はダニエル・ハリスという方です。
ん?どこかで聞いた名前だなあ…と感じるホラー映画ファンもいるかと思われますが、
「ハロウィン4」と「5」でジェイミー・ストロード役をやっていた人です。
あの少女がこんな立派なオバ…いや、中年女性に…と彼女の不自然な眉毛を見て感慨に浸ったりしてしまいました。未だにホラー映画に出ていたとは。
そんなダニエル・ハリス演じる主人公エイミーが脱出不能のタイムループに巻き込まれる舞台は危険な精神病院。
見るからにサイコな医師やスタッフたちが徘徊し、あちらこちらで患者を切り刻んで内臓を引きずり出してグチュグチュしたり、脳みそむき出しにしてチューブで吸ったりとむやみに過激なスプラッターシーンが画面に映ります。
かなり低予算の割りに内臓は素晴らしく良く出来ていますよこれは。
私もグロは得意ではないので久々に「オエー!」と声が出そうになりました。
SFサスペンスだと思って観た人はひっくり返るんじゃないでしょうか?
しかし一応単なるグロ祭りというわけでもなく、
同じ時間をループしている仲間二人を見つけて、ハリケーンと政府の実験施設とか量子がどうの番号がどうのと色々謎解きらしい何かをこねくり回そうとしている様子も見られます。
全体的に支離滅裂な感じは致しますがね。
この奇怪な現象に悩むエイミーをタイムループ仲間のジェンがなぐさめるシーン。
それは構わないのですが、長身ブロンド美女がいいトシのおばさんに対してかける言葉が
「家に帰ったらテレビゲームしましょ」
はいくらなんでもないんじゃない?
…という具合に何かズレてる、言い方を変えれば不条理。
グロシーン満載。タイムループ、心霊、秘密実験、災害、殺人鬼、怪しい神父とやけにゴチャゴチャしており整合性を取る気も無さそうな展開。
タイプループをえらく小刻みに繰り返すわりには毎回同じような行動ばっかりしていて何の進展もない。脱出に使うキーとなる「番号」が単に前の車のナンバーだったとか何の意味があるのか分からないにもほどがある。
これは、まさか…
まさか、あの禁じ手を使おうとしているのでは…
などと思ったら案の定、臆面もなく「全部精神異常者の妄想でした~!整合性なんて無くて当然でした~!」エンド。マジかよ…そりゃあ支離滅裂でおぞましい雰囲気で当然でしたね。むしろヤバイ奴の危険な妄想という感覚をリアルに見せていたという点では評価できるような気がしないでもありません。SFサスペンスだと思って鑑賞すると間違いなく核地雷級の超危険物ですが、不条理系サイコホラーだと思って鑑賞すればボチボチいける。原題は「inoperable」なので、手術不可能、つまり「医者でも手の付けようがないほどヤバイ奴」ぐらいの意味なんじゃないでしょうか。
「サイコキラーの妄想を見てみたい」と思える人であれば、
本作はそこそこの再現度で持ってそれを見せてくれるホラー映画です。
ネタバレしてしまいましたが、本作は謎解きもくそもない雰囲気映画なので別に構わないでしょう。というか、そういうものと分かったうえで観るべきかなとも思います。