製作:2017年アメリカ
発売:わからん
アメリカのどっかの森林公園でビッグフットの親子が出現し、出くわした男が子供を銃殺。怒り狂った親に惨殺される。その後、人間の子供がビッグフットに誘拐された。通報を受け、刑事と公園管理官とビッグフット専門家の3人組が捜索に当たるが、子供は自分で勝手に逃げ帰って来たのであった。
いつの間にかプライムビデオで配信されてたビッグフット物のZ級映画。DVDはどうやら発売されていないようです。
本作、オープニングからかなり飛ばしています。私はZ級映画の映像を表現する時によく「ホームビデオに毛が生えたような」という例えを使うことが多く、どんな珍しい毛が生えているのかを楽しみにZ級映画を鑑賞しているんですが、本作の場合毛も生えていません。脱毛済みのツルツルです。つまり、限りなくドシロウトに近い人間がスマホかデジカメで撮ったと思しき映像。こんなのに字幕を付けて金をとろうとしているのか!?と久しぶりの超本格的Z級オーラに期待が膨らみます。
この映画、映像は紛れもなく超Z級クオリティなのですが、どうしたことか出演者の演技がすごくマトモです。映像のヘボさと釣り合っていなくて激しく違和感を覚えるくらいマトモです。
普通これくらいのZ級となると、出演者は技量が無いとかやる気が無いとか照れてるとか、それ以前に役者ですらなく製作者の身内っぽい人しかいなかったりすることが当たり前なんですが、本作はどういうわけかちゃんとした役者が出ています。
ちゃんとした役者っていうか、なんと主演は「グレムリン」シリーズに出ていたザック・ギャリガンでした。いや、なんでこんな映画に??落ちぶれたっていうレベルじゃねえぞ!と思ってウィキペディアを見てみたら、彼は「グレムリン」以降はヒット作に恵まれず、2003年にレコード店でCDを万引きして捕まったりしていたそうです。
だからってZ級映画にまで出なきゃ食っていけんのか??そもそもこれで出演料もらえるの??とかなり疑問ですが、まあ…人生色々ですね。いつか「グレムリン3」で出番がもらえるといいですね。
出演者の演技力は(Z級にしては)素晴らしいのですが、ストーリーは恐ろしく空虚です。
何しろ上に書いたあらすじが本編の全てなんです。子供を殺されたビッグフットが人間の子供を誘拐し、刑事と管理官と専門家が捜索するっていう話なのに、子供は捜索チームと一切接触することなく勝手に帰ってきます。
ビッグフットは若者グループを散発的に惨殺したりしますが、基本的に出番はかなり少ないし着ぐるみと仮面の出来はいまいちです。
捜索チームの面々とビッグフットが戦う展開になるのかと思いきや、一瞬だけ遭遇して管理官が足の骨を折られるだけで終了です。
残り数分になっても傷の治療をしたりテレビ局が取材に来たりと事態が収束する気配がまったくなく、一体どんなぶった切りエンドになるんだろうかとワクワクしていたら、特にこれといってオチも何もなく適当にフェードアウト。何も、ない…? これは逆に新しいパターン。誰がどう考えてもやらないほうがいいことをあえてやってしまう蛮勇。それぐらいの大物じゃないとこういう映画は作れないのでしょう。
あと褒めなければならないポイントとして、本作は夜のシーンをちゃんと夜に撮っています。
変なフィルターをかけてごまかそうとしている手抜きZ級映画に比べると誠意を感じられて良いです。その代わり暗くてよく見えませんけどね。ということで、Z級ビッグフット映画の序列としては
1「アメリカン・ビッグフット」
2「
獣人プレデター」
3「
ビッグフットvsゾンビ」
となります。
要するにこれでもこのジャンルとしては一番マシな出来栄えですので、どれを見ようか迷ってる人には本作をオススメしておきます。