邦題といいジャケットといい、恐ろしいほどの腐敗臭がします。
レンタル屋や動画配信サイトでコレを目にしても、普通の人なら観るかどうか検討すらしないでしょう。
レストランとゴミ捨て場、どっちに行くか悩むようなものです。
私はプレデター大好きっ子なので、邦題にプレデターと入ってるだけで一応鑑賞してみることにしました。…が、
…最初の1分で、観るのをやめるかどうか悩みました。
夜の森でカップルがイチャついてるところを獣人プレデターが襲うのですが、
何もかもがチャチい…
獣人に捕まった男を彼女が引っ張るんだけど足からちぎれてしまったりとか…
いやそんな突っ込みよりも、役者が棒読みとかエフェクトや効果音が適当すぎるとか、そういう基本的なところで観る気を失わせるクオリティ。
しかし驚くべきことにプロローグはまだマシな方だったのです。
なぜなら夜のシーンをちゃんと夜に撮影してるからです。
ここから後は夜のシーンでも昼間に撮影してます。
いくら安い映画とはいえここまであからさまに手抜きしてるのは初めて見たかもしれません。
観ている間、何度も意識が飛びかけたのでストーリーには突っ込まないことにします。
明らかにおかしな脚本でしたが内容をイマイチ把握できなかったので…
それにしても、1時間20分ぐらいの尺だというのに
「もうそろそろ終盤かな?」と思って残り時間を確認したらまだ57分もあった時は時空の歪みを実感しました。
そんなことより、夜の森で色んな勢力の人々が交錯しつつ獣人プレデター(イエティ)に襲われていくという話なのに、明らかに冒頭以外全部昼間です。
普通に昼間に撮影して、動画加工ソフトで明るさを下げて夜だと言っているだけ…
たき火の周囲をちょっと明るくするとかそういう加工すらしてません。画面全部が一律に暗くなってるだけ。ものすごい違和感です。
こんなみっともない映像をよくもまあ金取って見せる気になりますよ…
ちょっとだけならまだしも、ほとんどが夜のシーンですからね…。
明るさ加工以外にも、妙に合成臭いシーンが多くて気になります。
特に車を運転している場面は背景が全部合成です。
そりゃ、大昔の映画はみんなそうでしたが…
いや、今でも合成してる映画はあるんでしょうけどパッと見ですぐ分かるようなのは…。
カメラワーク自体は普通に出来てたので撮影者の腕が特別ヒドイとは思いませんが、
夜の撮影を嫌がるほど面倒くさがりにとっては、2010年代の今でも
運転シーンの撮影は難しいということなのでしょうね。…やらなきゃいいのに。
この映画の主役は保安官と人類学者のコンビらしいのですが、
彼らが森に入って捜索してもなかなか獣人プレデターと出会いません。
クソ映画を観ているとついつい「まだ終わらないのかな」と残り時間を気にしてしまいますが、
なんかウダウダしてるうちに残り時間が10分ぐらいになってました。
…普通のモンスター映画だったらまだ序盤程度の内容しかありません。
どうやってオチをつけるの?
と思ってたら人類学者がいきなり裏切って保安官の頸椎をねじ切って殺害。
保安官…モンスター映画の主人公なのに最期までモンスターに出会えず仕舞いとか肩透かしにもほどがありますって。
で、人類学者の方は一人で帰ろうとしたら獣人プレデターの群れと出会ってしまい、
「何これ 信じられない」
↓
「THE END」
クソ映画のラストって観た人の心情を代弁しているかのようなセリフで締めることが多い気がします。「
シャーク・プリズン」もたしか「ふざけんな!」とかだったような…
製作者の照れ隠しっぽく感じられて少しモヤモヤします。
あとこの手のジャンク映画の共通点として、エンディングでキャストの紹介があるのですが、どうでもいい役の人までしっかり紹介してくれます。多分みんな身内に近い人間なんでしょうね…
総評すると、これは知らない人の葬式を眺めるよりも面白くないシロモノです。
これを見るくらいなら、カラスがゴミを漁っているところでも観察した方がはるかに有意義な時を過ごせるでしょう。
いくら私が物好きなクソ映画ハンターと言ってもこれはちょっと辛い。
ただ一つだけほめられる部分があるとするなら、死体の出来だけは良いです。
冒頭で殺されたカップルの死体を検分するシーンにおいて、そこだけは妙にリアルでした。
ご飯食べながら見てたのでむしろ手抜きしてほしかった部分ですが。