本来だったら絶対見逃すはずないのに、
その時たまたま忙しくて後回しにして、
その後何となく手つかずのまま何年も過ぎてしまう…ってことありますよね。
私の場合「ピラニア」がそうでした。
もともとアレクサンドル・アジャ監督作品は「ハイテンション」「ヒルズ・ハブ・アイズ」に
感銘を受け、「ミラーズ」までは強い関心を持って追いかけていたのですが
「ピラニア」「マニアック」以降はスプラッターホラーから離れてしまったようで
もう違う世界に行ってしまった人のように感じていました。
ちなみにこの監督はフランスの人です。
人体破壊描写にかけてはフランス人とドイツ人は特に容赦しない傾向がありますが、アジャ監督もその例に漏れません。
私はどちらかというとグロいのは苦手な方なので、それも本作をしばらく見る気になれなかった理由でもあります。
ストーリーは…あってないようなものですね。
前半がエロ祭り、後半がグロ祭りと実に即物的かつ享楽的な展開です。
主人公はシングルマザーの保安官に高校生の長男、幼い弟と妹ということもあり
まあ、彼らは死ぬはずないな…という安心感はあります。
こんな明るい作風でそんな胸糞悪いことをやるはずがありません。
…子供は出す必要ないんじゃないかな、とは思いますがね。
彼らだって自分の出演作を観たいだろうし、友人にも見せたいだろうし…
しかしお子様にこんな刺激の強い映画を見せるわけにはいかないというジレンマ。
地底湖で200万年生きていたピラニアがずっと共食いしていた、という設定はかなり無理があると思いますが、CGのクオリティは大変素晴らしいです。
禍々しいぐらい強そうな牙とアゴを持っていながら、単体だと微妙に愛嬌があってカワイイ。
ピクサーのファミリー映画に出てきても違和感ないかもしれませんね。
そのピラニアが、濡れTシャツ巨乳カーニバルでドンチャン騒ぎしまくる若者たちに一斉に喰らいつきまくる地獄絵図は素晴らしすぎる盛り上がりです。
ピラニアに喰いつかれて骨だけになったり半身がちぎれたりはもちろんですが
自分勝手な奴が他人をボートのスクリューに巻き込んだり、
ワイヤーで切断したりと人体破壊の見本市状態。
スプラッターもやりすぎるとギャグになるということで生々しい気持ち悪さは全くありません。
モンスターパニック映画の見せ場として一つの理想形と言えるでしょう。
返す返すも公開当時に映画館で3Dで観なかったのが悔やまれます(まあ、田舎なんでやってませんでしたが)
そしてこの手の映画にはどんな愛すべきバカがいるのか?
ということも一つの楽しみですが、本作はそこにも抜かりはありません。
主人公のジェイクを引っ張り回すポルノ映画監督が色々と憎たらしい役割を演じた後、
ピラニアに下半身が全て骨になるまでゴッソリ喰われてしまいます。
その後しばらく経ち、とっくに死んだと思った彼がいきなり目覚めて一言。いや二言。
「濡れたTシャツ」 「見たいよ」
本作屈指の爆笑シーンをネタバレしてしまいましたが
ここは分かっていても絶対に笑わずにはいられないでしょう。
しかもこれだけではなくピラニアにチ〇コを「マズッ!」と吐き出されたり
ジェイクにピラニアのオヤツ扱いされたりと色々たたみかけてくるという
笑いの高等技術を見せつけられます。
酒でも飲みながら友人と楽しく鑑賞するにはうってつけのスーパー娯楽大作と言えるのではないでしょうか。
私も今更ですがブルーレイを購入しようと思います。