2004年アメリカ映画。「NU IMAGE」社製作作品。
原題は「RISING SHARKS」なのに邦題は何の意味も無く「インパクト」で
ジャケットにはサメ要素が何一つない。一体何がインパクトなのか。
おかげで私はつい最近まで本作の存在にすら気付いていませんでした。
これはいつもとは逆パターンの詐欺ですよ。
配給会社的にはサメ映画として推すより潜水艦映画として売った方がプラスになると言うことなのか。また一つ勉強になりました。
バミューダ・トライアングルの謎に挑む
究極の潜水艦パニック・アクション超大作!
(ジャケ裏より)
「エイリアンの宇宙船でトラブルが起き、謎のシリンダーが
バミューダトライアングルの海底に落下。
そのシリンダーの中の謎の物質のせいで、サメが凶暴化。
オショナ深海研究所はサメの被害で孤立、
海軍は潜水艦で研究員たちの救助へ向かう。
しかし研究所に殺人鬼が紛れ込んでしまい…」
あらすじはそんなような感じですが、見ての通り
異様に盛り沢山なサメ映画となっております。
SFでもありサメパニックでもあり潜水艦モノでもありサスペンスでもある。
…そんなもんうまくまとめ切れるはずもなく、だいぶとっ散らかっております。
プロローグ。エイリアンたちが何やら謎の宇宙語でしゃべっていたら
爆発が起き、砂時計みたいな変なもんが飛んでいき地球の海に落下。
サメが凶暴化する原因が思いつかなかったと見え、トチ狂ったNU IMAGE社。
別にそんな凝らなくても海に変な密造酒を垂れ流したとかで充分なのに。
本作の主演は毎度おなじみコリン・ネメック。
結構前の映画なのですごく若い。
長髪メガネでおでこのシワがまだ少なく、かなりフレッシュな印象を受けます。
本作はあの「NU IMAGE」製作作品ということで、
これまた毎度おなじみ、いつもと全く同じ資料映像の切り貼りを
思う存分楽しむことができます。
ここまでくるともはやこのサメ映像には
祖母の焼いたクッキーのような安らぎを覚えるレベル。
「
ディープ・ライジング コンクエスト」
においてはサメのお口に色々飛び込ませていたNU IMAGEですが、
本作は純粋に資料映像を細切れにツギハギすることで
スタイリッシュかつ濃密なサメの襲撃映像を演出。
使いまわしの映像だということを知らなければ普通にそこそこ出来の良いサメ映画と錯覚できなくもないハイクオリティぶりを見せてくれます。
いよいよ既出映像の使い方が堂に入ってきている感。
NU IMAGE社が現在どうなっているのか知りませんが、
この伝統芸能の域に入って来たシャークアタック映像制作法が途絶えたのは非常に残念です。
孤立した海底研究所を襲撃したり、
バミューダ海岸で海水浴客を襲ったりと
前半では景気よく人間を喰い散らかしてくれるサメたちですが、
後半に入るとパッタリなりを潜めてしまいます。
そこからはサメパニックではなく、
閉鎖された海底研究所で殺人事件が起き、潜入していた殺人者との戦いがメインのサスペンス・アクション映画へと急激にジャンルが変化。
こちらはシチュエーションは良いのにいまいちダラダラしていて眠たくなります。
最後までサメパニックで行ってくれればなあ…
しかし本作はバミューダ・トライアングルの謎にも挑まねばならないからか、
唐突にエイリアンの宇宙船がシリンダーを回収しに来たりします。
この宇宙船のCG…いや、模型か?
わざわざこの映画のために作ったのかなあ。
そんなもんに金かけるより新しいサメの映像を撮るとか、
新しい資料映像の版権を買うとかした方がいいと思うんだけど…
わざわざ生身で回収しにくるエイリアンたち。プレデターみたいな口してます。
これがなんだったのかは結局分からずじまい。
無駄に製作費がかかってそうなエイリアンたちの造形がちょっと腹立たしい。サメに金かけろ。
もしくはこのエイリアンが人間を襲うなりなんなりコンタクトをとればいいのに、特になんもないとか…。
で、バミューダ・トライアングルを舞台にした意味は何だったのか。結局何も無かった。
ということで、まとまりには欠けますが、
それだけ観客を楽しませようという努力・創意工夫は充分感じ取れますので
NUIMAGE作品としてはかなり上等だと言えますし
サメ映画としても平均点くらいの面白さは保証できると言えるでしょう。
サメ映画ファン、またはクソ映画マニアにはそこそこオススメです。