前作が面白かったので続けて続編も鑑賞しました。
これ、セル版は普通に「ラバランチュラ2」となってますが、なぜかレンタル版は「ボルケーノ・スパイダー」という邦題に変えられてるんですね。なんでそんなややこしいことをするのか。
原題は「2LAVA 2LANTULA」と出ますが、
これって「2FAST 2FURIOUS」(ワイルドスピードX2)
のパロディですよね。
ワイルドスピードもシャークネードもシリーズを重ねるごとにどんどんスケールアップしていきましたが、残念ながらラバランチュラ2は相当なスケールダウンとなってしまいました。
製作資金、前作の10分の1ぐらいになってると思いますコレ。
ワイルドスピードで例えると、「アイスブレイク」の次に「トーキョードリフト」を出されたような感じと言えば分かってもらえるでしょうか…。
ストーリーは、フロリダにラバランチュラが現れ、娘が危機に陥り、コルトンが助けに行く。
前作で息子を助けに行ったのが娘に代わっただけで、大筋としては全く同じ。
娘側の行動も前作での息子のものとほぼ一緒。
新しい要素は何一つありません。
コルトンは最初から頼りにされており、最初から対ラバランチュラ用ウェポンの液体窒素弾もあり、本人も自信ありげで終始ヘラヘラしており緊張感も何もありません。
予算の都合上か、市街地を破壊しまくった前作のようなスペクタクルなシーンも一切ありません。
なのでパニックに陥る群衆もほとんどいません。
あとコルトンの威厳は回復済みだし奥さんは出てこないし、人間ドラマ的なものは何一つありません。
つまりほぼ単なるコメディ映画ですが、笑えるシーンがありません。
ラバランチュラのCGは明らかに劣化しており、人間と絡むシーンは合成の不自然さが見られます。その辺のC級映画と比べてもさほど優れているとは言えません。
火炎や溶岩のCGが手間なのかわかりませんが前作ほど炎をまとっていないので熱そうに見えず、人間を焼き殺すシーンもなく、普通に噛みついて殺すか、トゲを飛ばしてチクチク攻撃するかです。
前作から続けて観てつくづく思うんですが、この映画には「演出」とか「BGM」というものが欠落しているようです。
映像はただぼんやりと俳優の演技をそのまんま映しているだけだし、
BGMはほとんど無音と変わらないぐらいの薄さ。
前作ラバランチュラやシャークネードでおなじみの演説シーンでも素材そのままを出しているという素っ気なさが気になってしょうがない。クライマックスも同様。
スーパーの安売り豆腐にネギも乗せず醤油もかけないまま出されたようなわびしさを感じます。役者が真面目に演技してるのがかわいそうになってくるくらいですね。
それでも、ジャケットからは前作のママランチュラを上回る超巨大グモの存在が示唆され、実際「ガルガンチュランチュラ」というややこしい名前の大ボスが出てきます。
ここに金と力を注ぎ込んだのかな!?というかすかな期待も虚しく…。
アメリカ軍の戦闘機とのバトルも、コルトンたちとのバトルも、何かどうでもいい感じにウダウダしてるだけで全然迫力もスリルもありません。飛行機内のセットも安い…。
ガルガンチュランチュラも特大火炎弾とかを吐き出してる風なのですが描写は必要最小限を大幅に下回るぐらいにとどめられ、街を破壊したりなんなりする場面はほぼ見せてくれず。
倒し方も、コルトンがよく分からない体の張り方をしますが前作のようなトンデモ空中大決戦には何もかも遠く及ばず、ただ薬品をぶっかけてあっさり終了。
これはねえ…
ごく普通のC級映画クオリティですよ。
ありていに言えば普通のクソ映画ですよ。
サメ映画で言ったら多分「
フライングジョーズ」とどっこいどっこいのレベル。
前作がすごく良い出来だっただけにこれはガッカリさ加減が半端ありません。
主役を含むキャストが一部続投だっただけにスタッフも続投したんだろうと勝手に思ってしまいましたが、多分総入れ替えに近い状態だったんでしょうね。
制作会社ごと変わっていそうです。
で、予算は10分の1と。
前作の劣化コピーを青息吐息で何とか形にするまで持って行くのが精いっぱい、といった風情でした。
前作をまだ観ていない人で、かつジャンク映画慣れしてる人が期待せずに観ればボチボチ楽しめるかもしれません。
前作を観た人は、前作をもう一回観た方が有意義な時間を過ごせると思いますがそれでも観るなら色々覚悟したうえで鑑賞に臨んでください。