「
シャークネード」のクモ版ですね。それ以上でもそれ以下でもない。
フィンもカメオ出演してるし、あからさまに2匹目のドジョウを狙っています。
しかしクモ映画でこれほどハイクオリティな作品は観たことが無く、
今のところクモ映画というジャンルの中ではぶっちぎりの1位ですね。
火を噴くクモなんてネタにこれほど予算をかけられるとは実に驚きでした。
これもみんなシャークネードのおかげですね…
シャークネードはもはやサメ映画界のみならずモンスターパニック映画界のスーパースター的な存在になりつつあるのかもしれません。
「全員出動!」と付け加えられた邦題がいまいちかっこ悪いと思いましたが
ポリスアカデミーという映画のパロディらしく、
とりあえずそれでコメディ仕立てであることが示されています。
クモ映画の良作はどうしてもコメディ仕立てのものしかありません。
たまにはシリアスなクモ映画を観たいんですが、まあ今回は(も)諦めます。
ストーリーはだいたいシャークネードみたいな感じです。
違うのは主人公コルトンが映画俳優でかつての大スターだったことぐらい。
今は全然冴えないし家族にも嫌われている…が、クモ退治でそれらを挽回して本物のヒーローになるという実に王道な話ですね。
この作品、CGのクオリティといい、演出や音楽もテンポの良い進行具合も何もかもシャークネード並み、もしくはそれ以上の出来と言ってもいいでしょう。
観ている間、退屈する時間などほとんどないしひたすら楽しいシーンを詰め込んであります。
クモ映画としてはあり得ないほどハイレベルだしその辺のモンスターパニック映画と比べてもずば抜けた優良作品であることは間違いありません。
出てくるクモは、火山の噴火と共に出現し溶岩を吹き出す怪物。
CGの出来は極めて良好で、出し惜しみもなく大量に出現してきます。
ただ、熱く燃えているので変な話ですが清潔そうなイメージがありあんまりキモくはないという欠点(?)があります。人をムシャムシャ喰らうということもなく、火を噴いて焼き殺したり、抱き着いて焼き殺したりと人間側の死因が主に焼死なのでおぞましさがない。
明るく楽しいコメディ寄りの映画だしシャークネード級のヒットを見込んでいる、つまりファミリー向けも少し意識していると思われるのでそれで間違ってはいないんですが、
モンスター映画の醍醐味をスポイルされているようで若干の物足りなさは否めません。
ただ口から子グモがウジャウジャ出てくるところだけは死ぬ人の意外さといい気色悪さといい賞賛に値するシーンでした。
あと、「火を噴くクモ」というネタ自体が普通すぎて「サメ台風」の奇跡的なトンデモインパクトに比べるとかなり弱いという致命的欠点があります。
まあサメ台風と肩を並べられるようなトンデモネタを出せと言っても無理な話でしょうけど。
比べなきゃいいとは思いますが、フィンのカメオ出演といいスピーチのシーンといいどう見てもシャークネードのオマージュなので比べざるを得ません。
クライマックスでのコルトンとママランチュラの一騎打ちはこの映画のトンデモレベルを一気に引き上げるファンタスティックな激闘となっています。
が、やはりシャークネードのサメ台風の中でチェーンソーを振り回すフィンを想起させるわりに、フィンのそれよりもインパクトが薄い。あれと比べなければ素晴らしいシーンなのですが、どうしても比べて観てしまう…
あと気になったのはコルトンの奥さんですね。
これもシャークネードと同じく、やたら戦闘能力が高い。キックボクシングやってたり手裏剣投げたり。しかし、あっちと違って中盤以降戦いには参加しません。これはちょっともったいないですね。活躍の余地を続編に残しておいてるのかもしれませんが。
まあ、二匹目のドジョウゆえにインパクトという点ではシャークネードにかないませんが
パニック系の映画が嫌いじゃなければ見て損はないでしょう。
クモ映画好きならば必見と言えます。できればシャークネードシリーズより先に観ておいた方が楽しめるでしょう。
ところでこの作品は映画業界の内輪ネタが多いんですが、その中で気になったセリフがひとつ…
「巨大ゴキブリの映画だ 誰を出しても売れる!」
…本当かな?